ラストスパート!「基本情報」「応用情報」「情報セキュリティスペシャリスト」の効率的な午前試験対策とは
今回は、基本情報技術者試験(以下、FE)、応用情報技術者試験(以下、AP)及び情報セキュリティスペシャリスト試験(以下、SC)の午前対策について説明していきます。午前問題は知識を問う出題が多く、詰め込み式の暗記学習でも対応が可能そうに見えますが、範囲が広いのでポイントを絞って学習を進めないときりがありません。そこで今回は頻出度に応じて効率的に学習するためのヒントを紹介します。
FE午前試験対策
FEの午前問題は全80問です。このうちの60%=48問以上正解すれば合格となります。多くの受験者が誤解しているのは、満点を目指してあらゆる分野の学習をしようとすることです。48問以上で合格できるのに、難易度が高い問題やめったに出題されないテーマの問題まで無理に解こうとして、貴重な学習時間や本番の試験時間を浪費するのは無駄なことです。頻出テーマの問題を重点的に学習して、60%の問題で確実に正解することを目指すほうが効率的です。特に時間のない直前対策にはこの頻出テーマの見極めが大事です。
FE午前問題のうち、特に重点的に学習すべき分野は出題数の多い分野です。表1に、FE午前問題分野別出題数を示します。表1の分野(大分類・中分類)は試験センター公表のシラバスに従っています。
表1から、FE午前ではコンピュータシステムが全体の20%(16問)、技術要素が全体の25%(20問)を占めており、この2分野の問題36問に8割正解すれば、約28問を取ったことになります。残りの分野(計44問)でたとえ5割の問題しか正解できなかったとしても、22問を取れるので合格できます。
コンピュータシステムと技術要素のデータベース・ネットワーク・セキュリティについて、頻出テーマと出題回数(平成21年春期から平成25年春期までの9回分の集計結果)を示します。なお、技術要素のヒューマンインタフェースとマルチメディアは問題数が非常に少ないので除きます。
コンピュータシステム頻出テーマ(FE)
コンピュータシステムでは、ハードウェア(論理回路、メモリ(DRAM)、構成部品など)、キャッシュメモリ、及び信頼性設計や稼働率計算の問題が頻繁に出題されています。これらのテーマの過去問題を集中的に学習して、最低でも80%以上正解できるようにしなければ合格はできません。当該テーマの過去問題は必ずといっていいほど再び出題されるので、正解できるようになるまで過去問題を何回も解いてください。
技術要素頻出テーマ(FE)
・データベース
・ネットワーク
・セキュリティ
データベースでは頻出テーマが少なく、主に関係演算(結合、射影、選択など)とSQL(SELECT文)が比較的頻繁に出題されています。この2テーマを中心に復習してください。ネットワークではPCMと回線速度の計算問題がよく出題されています。これらの2テーマは両方とも計算問題なので、解答のための公式を確実に習得しておきましょう。セキュリティでは認証(認証局やパスワードの扱い)、ネットワークセキュリティ(セキュリティプロトコルなど)、暗号化(AES、RSAなどの各種暗号化方式)及びディジタル署名の4テーマが頻出しています。これらのテーマは計算問題が少なく、暗号化方式の性質などの知識が問われる問題が多いです。
AP午前試験対策
AP午前問題もFEと同様に全80問です。60%=48問以上正解で合格なのは変わらないので、FE午前と同様に頻出テーマの問題の学習が重要です。
表2に、AP午前問題分野別出題数を示します。
FE午前と比較してビジネスインダストリの問題数が増え、代わりに企業活動の問題数が減っているなど、若干の相違はありますが、大分類の問題数にはほとんど変動はありません。FE午前と同様に、問題数が多いコンピュータシステムと技術要素を重点的に学習するのが適切な対策になります。
コンピュータシステム頻出テーマ(AP)
FEと同様に、キャッシュメモリや稼働率計算のテーマが頻出します。キャッシュメモリは必ず出るものなので、絶対に落とさないという気持ちで学習に望みましょう。また、仮想記憶(FIFO・LRUといったページング方式)及び高速化技術(パイプライン・スーパスカラ)も頻繁に出題されているので、各テーマの過去問題を必ず復習しましょう。
技術要素頻出テーマ(AP)
・データベース
・ネットワーク
・セキュリティ
データベースでは、SQL、E-R図及びインデックスが3回程度出題されていますが、毎回出題されているような頻出テーマはありません。SQL(特にSELECT文)の問題を集中的に解くことと、インデックスの概要を押さえておくことが大事です。ネットワークでは、通信プロトコル(ARP、RARP、SNMP、SMTPなど)及びインターネット技術(IPアドレス、TCP/IP)がほぼ毎回出題されています。この2テーマを十分に学習していないと合格は望めません。セキュリティでは、認証(ディジタル署名やハッシュ関数含む)及び公開鍵暗号方式が頻出です。FEと同様に、この2テーマを重点的に学習しておきましょう。
なお、FE・APともに言えることですが、午前試験では、過去に出た問題とまったく同じか、一部の字句を変えただけで実質的に同じ内容の問題がよく出題されています。平成25年度秋期試験の場合、平成24年度春期以前の試験の過去問題から出題されることが多いので、過去問題を使った直前対策を行う際の参考にしてください。
SC午前試験対策
SC午前試験のうち、午前I問題(高度試験共通)は同じ期のAP午前問題から30問が抽出して出題されます。分野別問題数の全体に占める比率は表2とほぼ同様なので、コンピュータシステムと技術要素を中心に学習することで合格できます。高度午前I試験及びAP午前の過去問題を使って訓練しておきましょう。
午前II試験は、問1~問16までの16問がセキュリティ分野に関する専門的な問題です。残り9問はセキュリティ以外の分野から出題されます(平成25年度春期試験より。過去の試験もほぼ同様の比率)。残り9問の内訳は、ネットワーク(4問)、データベース(1問)、システム開発(2問)、コンピュータシステム(1問)及びシステム監査(1問)となります。
平成21年度春期から25年度春期までの、セキュリティ分野とセキュリティ以外の分野における頻出テーマを示します。SCもFEやAPと同様に頻出テーマの問題を重点的に学習することが重要です。表3の頻出テーマを確認しておきましょう。
FEやAPと同様に、SC午前II試験も過去に出された問題とまったく同じか,または類似の問題が多く出題されますので、過去問題を使った学習が有効です。
なお、SC午前IIでも3期前の試験から出題されることが多いです。たとえば、平成21年度秋期SC午前IIの問3はSMTP-AUTH認証に関する問題です。この問題と文面がほぼ同じ問題が、平成23年度特別SC午前IIの問5で出題されています。平成21年度秋期から3期後の、平成23年度特別試験で同じ問題が出ています。この点から、平成25年度秋期試験では3期前の、平成24年度春期午前IIで出された問題と同じ、または近い問題が登場する可能性が高いので、直前対策の際によく見直しておきましょう。
次回は、ITパスポート試験対策を説明します。
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