教科書には載っていない午後試験対策「基本情報技術者」「ネットワークセキュリティスペシャリスト」
今回は、第2回で予告していた通り基本情報技術者試験(以下、FE)の午後対策の続きと、新たにネットワークスペシャリスト(以下、NW)午後試験対策について説明していきます。記述式の午後試験は、直前になってあわてて勉強し始めても間に合いませんので、早めにしっかり対策を行ってください。
FEの午後試験対策 Part 2
FE午後試験には,前回説明した問1~7のほかに,問8(アルゴリズム)と問9~13(プログラム言語)があります。問9はC言語,問10はCOBOL,問11はJava,問12はアセンブラ言語(CASLⅡ)の問題です。そして問13は表計算問題です。
平成21年度春期から25年度春期の各問題のテーマを表1に示します。
アルゴリズム問題とプログラム言語問題の時間配分は,ともに各30分をめどとします。これ以上時間をかけると,問1~7に解答するための時間が短くなり,アルゴリズム問題等で得点を取っても他の問題で正解できず,結局は午後試験に合格できません。必ず時間を区切って解答を進めましょう。
アルゴリズム問題とプログラム言語問題に共通するテクニックは,トレースを行うことです。トレースによってアルゴリズムやプログラムの処理内容を正確に把握し,穴あきの部分を埋めることが重要になります。たとえば「行番号26の命令を3回目に実行したときの変数x(アセンブラならGRn)の値を答えよ」といった問題ではトレースを行わないと解けないため、トレーステクニックが必須になります。
ただし,過去問題集(以下、過去問)を使った練習時はトレースに時間を掛けても構いませんが,試験本番では時間を短縮するため,プログラムの一部だけをトレースするという工夫が必要です。どの部分をトレースすると正解できるかを明確に判別するには,何度も過去問を解いて訓練を繰り返すことが重要です。同じ問題を1週間程度の間隔をとって何度も演習し,トレースに掛ける時間を徐々に短くしていくような方法で,正確かつ迅速にトレースできるようにしましょう。問題に慣れていくことで,空欄の前後やプログラムの先頭部分など,主要な処理が行われている個所を経験則で理解できるようになります。
プログラム言語系の問題については,過去に正解として頻繁に出題された内容を一覧表で示します。各言語について,これらの内容を押さえておくことで正解しやすくなります。
多くの言語に共通しているのは,if文や繰返し(while文やfor文。COBOLではPERFORM文)の条件式を解答させる問いが多いことです。繰返し処理をどのタイミングで終了させるかを理解しているということは,プログラムの処理内容を正しく理解できているか確認する上で重要なので,if文や繰返しの条件式について問う問題が多くなっています。他にも,Javaではクラスや継承・インタフェースに関する問いが多く,オブジェクト指向の知識が必要です。アセンブラではシフト命令が多く,ビット操作を頻繁に行うので,汎用レジスタの内容をビット表記してトレースすることがポイントです。また,2進数と10進数を相互に変換する操作がトレース中に必要になるので,アセンブラ受験者は基数変換を確実かつ迅速に実行できるようにしなければなりません。
表計算問題はほかのプログラム言語と比較してとっつき易い感じがしますが、,決して簡単ではありません。ほかのプログラム言語の問題よりもページ数が多く,問題を読むのに時間が掛かるため,30分以内に正解できない可能性が高くなります。また,出題される解答群の計算式も複雑で長いものが多く,誤答しやすくなっています。表計算問題の受験者は,事前にExcel等で過去問のワークシートを再現してみるなど,入念な学習が必要です。
NWの概要と受験者の傾向
NWでは,ネットワークに関する広範かつ高度なテーマが大量に出題されます。試験の概要は下記の通りです。
前回説明した情報セキュリティスペシャリスト(SC)と同様に,午前I問題は他の高度試験と共通しており,難易度はAPと同程度です。午前II問題は,ルーティングプロトコル,LAN間接続装置,ネットワークセキュリティなどに関する専門分野の知識が出題されます。
午後I問題では1問数ページ(4ページから5ページ)の文章を読解して解答します。午後II問題では1問10数ページの長文を読む必要があります。SCと同様に,ネットワークに関する高度な知識がないと合格できません。
NWの合格率は13.8%(H24年度秋期)です。そのうち社会人の合格率は13.9%,学生の合格率は15.4%となっており,学生の方が若干合格率が高くなっています。実務では用いることが少ない高度な内容が出題されることが多いので,過去問の学習時間を多く取れる学生の方がより有利と考えられます。
図1,2に,平成24年度秋期の午後I試験及び、午後Ⅱ試験の受験者数と合格者数のグラフを示します。
図1と図2から,午後Ⅰ試験をあと数点とれば突破できた人が午後Ⅰ試験受験者全体の22%,午後Ⅱ試験をあと数点取ればNWに合格できた人が午後Ⅱ試験受験者全体の27%いたことがわかります。また,50点以上の受験者が午後Ⅰでは58+22=80%,午後Ⅱでは46+27=73%と受験者のほぼ全員がこの範囲に入っています。よく,「惜しかった」などという話を耳にしますが,あと数点であっても不合格は不合格です。NWの午後試験ではケアレスミスなどによって数点を失うことが命取りにつながります。何度か受験経験がある人は,まず過去の答案の自己分析をすることからはじめてください。
NWの午後対策
NW午後試験の各問題及び各設問は,主に①LAN,②TCP/IP,③セキュリティ,④運用の4つのテーマに分類できます。各テーマの問題で出題される主要な項目を表4に示します。
NWに受験するためには,これらの項目の知識が必要です。これらのうち知らないもの,または説明できないものがある場合,早急にNW午後の過去問を解く演習をして,不明な用語がないようにしておかなければなりません。また,表4に掲載されていない新しい技術であっても,今後出題される可能性があるので,ネットワークの書籍などを用いて常に新しい知識を吸収しておかないと合格は望めません。過去の午後I問題を毎日1問ずつ解くなど,反復演習で知識の強化をしていきます。平成21年以前の過去問も試験センタで公開されているので,必要に応じてそれらの問題も解いてください。
午後II問題は解答に時間がかかるので,設問1~3は本日,設問4~6は明日というように2日に分けて解答するなどの工夫が必要です。ただし,本番では規定時間内に解答できるようにしなければならないので,試験が近づいたら規定時間内に解答する訓練をします。
さらに,NW午後では20~30文字,場合によっては80~100文字といった比較的長い文を解答として記述する必要があります。ひとりよがりの意味が通らない文では採点されないので,他人が自分の答案を読むことを想定し,誤字脱字などがなく,日本語として意味が通り,かつ設問の指示に従った適切な文面の解答を記述できるように,日々訓練しましょう。「本番ではちゃんと書くからいいや」などと考えてこの練習をしない人が意外と多いのです。訓練の際も,試験センター公表の過去問の解答と自分の解答の文面とを厳しく照合してください。
午後対策は今回で一旦終了。次回は,FEとAPの午前(AM)対策について説明します。
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