今始めないと間に合わない午後試験対策!「基本情報」「応用情報」「情報セキュリティスペシャリスト」
今回は、基本情報技術者試験(以下、FE)、応用情報技術者試験(以下、AP)及び情報セキュリティスペシャリスト試験(以下、SC)の午後試験対策について説明していきます。午前試験は知識中心の出題内容なので、直前の集中学習でも得点力を高められますが、午後試験は時間をかけてしっかりと学習するしか対策法はありません。いまからしっかり準備を行ってください。なお、午前試験の対策法については今後、別の回で行う予定です。
FEの午後試験対策 Part 1
FEは、連載第1回で説明したように午前試験と午後試験から構成されていますが、午前試験は知識中心のため直前対策でも何とかなります。そこで今回は、午後試験対策について説明していきます。
午後試験の問1~問7(5問選択)の出題分野は表1のようになっています。
問1は、異例と言える平成24年秋を除いて、毎回ハードウェア(LED、センサ、レジスタ等)が出題されています。問2はソフトウェアとデータベースが交互に出題されています。問3はデータベースまたはネットワーク、問4はネットワークまたは情報セキュリティとなっています。問5は毎回ソフトウェア設計(流れ図を含む)となります。問6ではマネジメント分野のプロジェクトマネジメントか、またはITサービスマネジメントが出題されます。問7ではストラテジ分野のシステム戦略もしくは経営戦略・企業と法務が出題されます。このように、毎回の出題分野がおおよそ固定されているので、自分の得意な分野を集中的に学習し、苦手な分野の問題は始めから選択しないことがポイントです。
問8は毎回データ構造とアルゴリズムが出題され、問9~13はプログラム言語(問9から順にC、COBOL、Java、アセンブラ、表計算)が毎回出題されます。
今回は、アルゴリズムとプログラム言語の話を中心に解説します。まず、午後問題の配点を見てみましょう(表2)。
重要なことは、配点の高い問8(アルゴリズム、20点)と、問9~13(プログラム言語、20点)の得点を取れるかどうかが、合否の分かれ目になる可能性が高いという点です。この2問で高得点を取れないと合格するのはかなり難しいと考えてよいでしょう。逆に言えばアルゴリズムやプログラム言語に自信のある人は、かなり楽になってきます。
そこで、現状の実力を確認する意味で、どの年度でもよいので時間を計って過去問題(問8プラス問9~13のうち1問)を解いてみてください。時間は、アルゴリズムとプログラム言語で合計60分としてください。
ここで現在8割取れる人は、アルゴリズムとプログラム言語については心配ありません。試験直前に確認程度に練習すれば大丈夫でしょう。6割から8割未満の人は、問題によって出来不出来が左右される可能性があるので、週1回程度でよいので過去問題を繰り返し解く訓練をすれば得点UPが可能と言えます。問題は6割未満の人です。現状では午後試験で合格する可能性が低い(もしくは無い)と考えてください。
ここで合格できない人によく見られるのは、「めんどうくさがってきちんとやらない」ことや、「できてもいないのに解答を見て『あーそうだった』と納得する」といった姿勢です。このIT業界では、プライドが高く、自分に力がないから試験に合格できないことを認めない人が意外に多いのです。もちろん、いまから対策すればまだ間に合う可能性はありますので、現実を認めて効果的な対策を打っていくとよいでしょう。
アルゴリズムの勉強法として重要なのは、『問題を解く』ことではなく『問題を読む』ということです。得点の低い人は、問題文の言わんとするところを読み取れていないので解答できていないのです。ですから、ひとつの問題をきちんと読むことができれば解答は可能です。また、流れ図や擬似言語が示している処理内容の詳細を正確に把握することも重要です。アルゴリズムとプログラム言語の対策については、引き続き次回(第3回)で説明する予定です。
なお、選択するプログラム言語が現状で決まっている人は、そのまま学習を進めてください。決まっていない人は表計算(問13)を選択しましょう。学習時間が比較的少なくて済むことと、PCで入力しながら学習ができるためです。
問1~7の選択問題については、午前対策とともに学習をした方がよいため、今後別の回で行う午前対策編であわせて説明します。
APの午後対策
APの午前試験も知識中心のため、直前に対策を行っても間に合うでしょう。こちらも午後試験対策について説明していきます。
APの午後試験の問1~問11(問1、2から1問、問3~11から5問選択)で、頻繁に出題されるテーマは図1のようになっています。ここで、午後対策は得意な分野の得点をUPすることを考えてください。
APはFEと異なり、午後問題のうち、配点の高い問1または問2で高得点を取れなくても合格できる可能性が残されています。それは、問1、2の配点(20点)と問3~11までの配点(16点)に大きな差がないためです。
あくまでも目標は『合格すること』と考えれば、合計で60%以上得点を取ればよいわけです。そのためには、選択問題であることの有利さを生かし、苦手なことをやるのではなく得意な分野で重点的に得点UPを狙うべきです。具体的には、得意な分野の2問でそれぞれ80%ずつ得点すれば、残りの4問の50%だけを押さえることで合格できるのです!
また、APの午後問題は時間との勝負になります。150分で6問解答することを考えると、1問平均で25分以内に解答する必要があります。ですから、時間対策も練っておく必要があります。得意な分野だからといって、限られた時間の中で高得点を取ることは意外と難しいものです。対策のポイントは「ミスをしない」ことです。ミスする人の多くは「わかっているつもり」や「問題文を正しく読んでいない」人が大半です。ですから、問題演習をする際に『見直し』をする習慣をつけてください。『見直し』は自信がある設問からするのです。よく自信がないところを考えているうちに時間がなくなってしまったという話を聞きますが、どうせわからないものをいくら見直したって結果は変わりません。わからない問題は時間の無駄なので無視し、できるところで確実に得点することを目指して、重点的に学習するようにしてください。
図1からもわかるように過去に出題された用語は、再度出題される可能性が高いため、まずその用語や内容などを学習してから問題演習などを行いましょう。
SCの試験概要と午後対策
情報セキュリティスペシャリスト(SC)については前回触れていませんので、まずは試験の概要と合格者像について紹介します。SCでは、情報セキュリティに関する広範かつ高度なテーマが出題されます。
午前I問題は他の高度試験と共通の内容で、同年同期のAP午前問題から30問が抜粋されて出題されます。午前I問題の難易度はAPと同程度です。午前II問題は、情報セキュリティの専門分野が出題されます。FEやAPではまず出題されない高度なテーマの問題が多く、事前の学習が必要になります。
午後I問題では1問数ページ(4ページから5ページ)の文章を読解して解答する必要があります。午後II問題では1問10数ページの長文を読む必要があります。情報セキュリティに関して、広くかつ深い知識がないと到底合格はできません。
SCの合格率は13.1%(H25年度春期)です。そのうち社会人の合格率は13.1%、学生の合格率は14.0%となっており、社会人も学生もほぼ同程度の合格率です。社会人のうち業務経験がない人の合格率は10.6%なのに対して、業務経験がある人の合格率は、経験年数の区分によって違いがありますが、おおよそ14%から17%までであり、業務経験がある人の方が有利なことがわかります。
SCの午後対策は、まず出題テーマの傾向を見てみます。平成21年春期~25年春期における、SCの午後試験で頻繁に出題されているテーマを表4に示します。これらの頻出度の高いテーマを重視しながら、情報セキュリティの書籍や過去問題を用いて学習することで、正答率が高くなるはずです。
なお、午後試験では情報セキュリティの専門知識が必要になるだけでなく、文章読解力も重要です。午後試験では、問題文中に記載されている内容が、正解のヒントまたは正解そのものになっている設問があり、問題文を読めていれば正解できるのですが、なぜかそのような種の設問が解けない人が多いようです。問題文を正確に読み、設問の指示に従って正解を見つけ出すことが重要です。
具体的な午後対策については、拙著「かんたん合格 情報セキュリティスペシャリスト 過去問題集」の巻頭特集や午後問題の設問ごとの解説も参考になると思いますので、ぜひ確認してみてください。
次回は、FEのアルゴリズムとプログラム言語の詳細を説明します。
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