COBOLエンジニアが次に開発しなければいけないものとは?
さて、Ruby on RailsとMOGOK(クラウド)を使うと、Web未経験者でも挫折することなく、簡単にWebアプリケーションを構築して、あっという間に全世界に公開することができます。そのため、本当に楽しみながら、作りながら、知らず知らずのうちにWebアプリケーションやオブジェクト指向プログラミングを学ぶことができ、MVCデザインパターンはもちろん、リホスト時に必要とされるクラウド、git(分散バージョン管理システム)、JQueryやUNIXコマンド等に触れることができるのです。
とはいえ、いきなりCOBOL技術者が独学でRuby on Railsを習得しようとすると、大抵、なんらかの落とし穴にはまります。
Ruby on Rails習得を阻む“落とし穴”
もしあなたがRuby on Railsの勉強をしようと思ったのであれば、大抵は、まず、Ruby on RailsのチュートリアルやWebサイトを見るところから始めまると思いますが、それらは大抵「Ruby言語の知識がある人向け」に記載されています。そこで、真面目なあなたはまずRubyから学習しようと考えます。
確かにRuby言語は柔軟な素晴らしい言語ですが、演算子や命令語までプログラマの手で書き換えられてしまう自由度は、むしろCOBOL技術者にとって最初はハードルになってしまう可能性があります。さらに、通常業務をこなしつつ、Rubyを勉強してからRuby on Railsの勉強をしようとすると、Rubyの基本を押さえるだけでも2週間から1か月はかかるでしょうから、Ruby on Railsにたどり着くまでモチベーションが保てなくなる恐れがあります。
そこをあなたはなんとか乗り越えて、Ruby on Railsの開発環境を構築するところまでたどり着いたとします。メインフレーム主体で開発を行ってきたCOBOL技術者は、UNIXコマンドに慣れていない人が多いため、あなたもまずはWindowsでの開発を希望されるでしょうが、RubyもRuby on RailsもUNIX上での構築を想定されています。もちろん、Windowsで開発環境を構築することも可能ですが、きちんと慎重に手順を踏んで行わないと、バージョンが変わるたびに、あなたは様々な警告やワーニングに悩まされるでしょう。
それもクリアして、規約に従ってコマンドを打ち込めば、あっという間にRuby on RailsのWebアプリケーションがあなたのパソコンの中に出来上がります。そしてあなたは動いたはいいものの、やはり規約通りに大量に自動生成されたフォルダやソースを前に、何から解析していけばいいのか・・・と途方にくれることになるでしょう。沢山の書籍やWebサイトには丁寧に解説が載ってはいますが、サイトの内容はRuby on Railsのバージョンにより微妙に(場合によっては大きく)記載内容が異なるので、ここもしっかり注意深く対応しないと混乱してしまいます。
あなたは必死に解決してRuby on Railsの概要をつかみ、いよいよ作成したRuby on RailsをMOGOK(クラウド)にアップしようとします。ちなみにMOGOKは、株式会社インターネットイニシアティブが提供する、Ruby on Railsアプリケーションの開発支援環境と実行環境(PaaSクラウド)を提供するサービスです。1アプリケーションまでは無償で、クレジットカード番号を入力することもありません。何より日本企業が提供しているので、チュートリアルはすべて日本語なのは助かります。ですが、このページにも、下記のような但し書きがあります。
MOGOKは以下のソフトウェアに関する知識をお持ちの方を対象としています。
- Ruby on Rails
- Git
- MySQL
ここでも、Gitをあまり現場で使う機会のないCOBOL技術者の方はひるんでしまうかもしれません。しかし、そこをぐっとこらえて、MOGOKでRuby on Railsの開発環境を構築し(インストーラをクリックするだけなので簡単です)、チュートリアルを見ながらアプリケーションの作成に着手したとします。MOGOKのチュートリアルは非常にシンプルでわかりやすいのですが、「therubyrather」「production環境」等、見慣れない単語も並んでいます。
その際、勉強だからとわからない言葉や機能を片端から調べだすと、そこでまた、わからない言葉にぶつかって調べ始めてしまうことになり、結局、プログラミングに行き着く前に投げ出したり、もしくはプログラミングにたどり着いても、先のように調べるほどわからなくなり、進まないまま頓挫してしまうでしょう。これは、COBOL技術者に限らず、Web初心者がWeb技術を学習しようとして挫折する、ひとつのパターンです。
このパターンに落ち込まないようにするための、私の知る限り最善の方法をお教えします。もし、あなたがクラウドを含めたWeb技術の勉強を行うのであれば、「知識習得」を目的とせず「アプリケーションを作ること」自体を目的としてやってみてください。それも「できるだけ楽しみながら」行いましょう。
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