COBOLエンジニアはPHPとRuby on Railsのどちらを学習するべき?

2014年2月7日(金)
吉谷 愛

はじめに

この連載コラムでは「COBOLエンジニアがPHPとRuby on Railsを習得するために必要なこと」と題して、COBOLエンジニアが効率的にオープンソース・ソフトウェアの技術習得を行うためのトピックや体験談を取り上げます。

今回は、PHPおよびPHPフレームワークの市場動向と、PHPを学習する際特にCOBOL技術者の方がつまずきやすい「PHPの実行環境構築の際の注意点」を中心にご説明していきます。

PHPの市場動向と学習方法

前回は、RubyやRuby on Railsの学習効率の高さについて触れ、COBOL技術者の方は、まずRuby on Rails を学習するようにおすすめしました。しかし、実際にCOBOL技術者がWeb技術者へのキャリアチェンジに成功して最初に携わる案件は、恐らくRuby on RailsよりもPHPになる可能性の方が高いでしょう。

PHP技術者認定機構が2013 年7月に発表したプレスリリースによると、日本におけるプログラマ求人数でPHPは2位の10275件となっています。Rubyは7位で、PHPの約3分の1しかありません。また、同サイト内の「PHP市場動向」では、米国では2005年を起点にJavaの仕事数の成長率が約0倍なのに対し、PHPは2.5倍強になっている、との報告が掲載されています。ちなみに、筆者が代表を務めるフロイデ社はシステム開発と技術者教育を事業の柱としておりますが、システム開発の問い合わせはPHPが、技術者教育の問い合わせはRubyやRuby on Railsが圧倒的に多いです。

「それならRuby on Railsなど学習せずに最初からPHPを学習した方がよいのでは?」と思われるかもしれません。確かに、開発経験が浅く、かつ学習時間をしっかりとることのできる方であれば、Ruby on Railsの前に難易度の低いPHP言語から学習する方がよい場合もたくさんあります。しかし、実務経験豊富でかつ普段忙しくなかなか時間のとれない現役のCOBOL技術者であれば、Ruby on Railsを学習する過程でWebの最新技術にまず触れ、その後でPHP言語にスライドする方がきっと効率的にWebの最新技術を習得することができるでしょう。
特に最近公開されているPHPのMVCフレームワークはRuby on Railsとの類似点が非常に多く、Ruby on Railsを学習している人は非常にスムーズにそれらPHPフレームワークの習得が可能になります。

PHPフレームワークの市場動向

それでは、次にPHPフレームワークの市場動向についてお話しします。現在、市場には素晴らしいオープンソースのPHPフレームワークがたくさん提供されており、そのシェアはめまぐるしく変動しています。どのフレームワークを勉強するべきかで悩む人は多いのではないでしょうか。それでは、人気のあるPHPを知るために、Googleトレンドを使用して、日本の2010 年のPHPフレームワークと、直近12か月のPHPフレームワークのトレンドの推移を確認してみましょう。

2010年PHP MVCフレームワークトレンド(日本)

この頃はPHPのMVCフレームワークといえばほとんどCakePHPで、codeIgniterがちらほら、といったところでしょうか。次に、直近の過去12か月間で見てみましょう。

直近12か月間 PHP MVCフレームワークトレンド(日本)

CakePHPの人気は依然根強いですが、fuelPHPやLaravelなど様々なフレームワークが出てきており、たった3年間でCakePHPが絶対的なシェアをとっている状況ではなくなっていることがわかります。そうなると本当に何を学習したらよいか悩ましいところですが、最初にお話した通り、これらPHPのMVCフレームワークの習得は、Ruby on Railsを学習している人であればそんなに苦労することはありません。あまり心配せずにシェア率の高いCakePHP、伸び率の高いfuelPHPを選択してください。また、日本ではあまりシェア率は高くありませんが海外では高いcodeIgniterや、同様に海外で伸びてきているPhalconを勉強するのもよいかもしれません。

フロイデ株式会社 代表取締役

「最新のアーキテクチャを追及し続ける技術者集団」を目指す、フロイデ株式会社代表取締役社長。現在は、自身のCOBOLからRailsまでの非常に幅広い開発経験や、学生や未経験社員への技術指導経験を糧に、技術講師としてソフトウエアエンジニアの育成に注力している。2013年06月より、初心者向けの「はじめようRuby on Rails開発!」シリーズを考案。“技術者の立場にたった、技術者の心に火をつける”熱い講義をモットーとしている。

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