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Rubyは儲かる?「Ruby&Rails BIZcon2013」レポート

2013年9月17日(火)
Think IT編集部

「Rubyビジネスの戦略会議的イベントやります」をかけ声に、Ruby&Railsの技術・人材・ビジネス戦略の観点で如何に拡充させてゆくか?そのノウハウを共有する場として「Ruby&Rails BIZcon2013」は9月6日(金)、ビジネスOSSコンソーシアム・ジャパン(以下:BOSS-CON JAPAN)主催で開催された。
基調講演を中心に当日の模様をレポートする。

実行委員長を務める株式会社コンテンツワン取締役川井健史氏の「本日はRubyがビジネスでもっと使えるようなヒントが皆で見つけられれば」との開催への思いのこもった挨拶から講演の幕が上がった。

株式会社コンテンツワン取締役 川井健史氏(クリックで拡大)

Ruby&Railsの最新技術動向と今後の予想

基調講演ではmasudriveのハンドルネームで著名な増井雄一郎氏が登壇した。
まずはRailsの歴史についての「おさらい」が語られ、CoC、DRY等々の基本コンセプトが確立されたバージョン1.0から本年7月に公開された最新版4.0までの各特徴と各問題点が丁寧に解説された。

増井雄一郎氏(クリックで拡大)

経済コミュニティ活動の確立

増井氏より来場者に対して「Railsを使ったことのある方」「Railsを仕事で使ったことのある方」「Railsを仕事で使っている方」質問を順番に投げかけられていたが、質問が進む毎に挙手の数は減ってゆく。このことからも、日本でのRailsはビジネス観点では未成熟な部分もあることがうかがえる。

米国での就業経験もある同氏は事例を2つ挙げた。

「Tokaido」プロジェクトでは、プロジェクト支援のために資金調達サイト「KICKSTARTER」に「Rails.app」を立ちあげ、企業・個人から50,000ドル以上集め、面倒なOS XでのRuby on Railsの開発環境構築を容易にするキットを開発した。出資金額の半分は企業が占め、個人から小口の出資も多く寄せられた。このように金銭の伴う積極的な動きからもRailsが仕事で利用されていることがうかがえる。
また、「RAILS FOR ZOMBIE」(「ゾンビでも分かるRails」の意)ではエンジニア育成・教育を目的とした初心者向けオンライン・トレーニングを展開している。このサイトはオンライン教育サービスの"呼び水"としてフリーで提供されたものだが、精度の高いプログラムが展開されている。Railsのスキルが求められ、学ぶことがエンジニアの仕事に繋がることを示している。この2つの例から、「人材をも含め、十分に経済性を含んだコミュニティが健全に成長している」と同氏は語った。

最新版は最良版である

最新版にあたるRails4.0は大幅なジャンプはないものの、Ruby2.0もサポートすることになった。

Ruby2.0は開発者まつもとゆきひろ氏は「Rubyは言語として2.0でほぼ完成」と定義しているため、この変化は大きいという。実際には1.9.3以上もサポートするが2.0を用いるとパフォーマンスが2~3割程度の向上を示すとのこと。

Railsで良く言われるのが「バージョン・アップが頻繁で追うのが大変」ということだ。このことについては、DHH氏(David Heinemeier Hansson ※Railsの生みの親)が「常にバージョンを追うことを利用者に推奨している。早いスパンで開発を進め、最良物を提供することを志としており、プラグインも最新版に向けてリリースされることが多いのでバージョンは追従すべきである。」とし、大きくバージョンが離れてしまうとバージョン・アップ作業は大変な作業となってしまうので、1年に一度はバージョン・アップ作業が伴うことを念頭においてプロジェクト工数を組むのが健全だと訴える。

既に運用し、問題無く動いている現サービスに対しては“手を加える”ことを極力拒む「悪習慣」が業界全般にあるのも否定できないが、考え方を改める必要もあると言える。

Rails4.1への展望とRubyの拡大

次バージョンとなるRails4.1以降については日々コア・メンバー間で議論がなされており、現時点では「非同期処理」「テスト周りの強化」を求める声が多く上がっていると言う。

さらに同氏は、現在はパイロット版での提供に留まっているものの、Rubyの展開としてmrubyに注目している。
mrubyはRailsと互換性はなく、またコンセプトも異なり、ISO/JISを元にした新しいRuby実装を元にした新しいRuby実装である。特徴はメモリやCPU資源が少ない環境でも動く(128k程度でも作動する)ことで、OS上で動作する。またプリンターなどの組み込みOSとしても適している。実際に同氏はレゴ社が販売するロボットのMINDSTORMS(マインドストーム)上での動作も確認している。mrubyは数年後に普及するであろうデバイスを念頭に設計されており、mrubyの横方向への用途拡大とバージョンを重ねるRailsの深まる進化は益々注目すべき事案と言える。

Rails4.0の利用サンプルとして同氏が作成・公開している無料メモ・サービス「wri.pe」が紹介された。

“オープンソース技術の実践活用メディア” をスローガンに、インプレスグループが運営するエンジニアのための技術解説サイト。開発の現場で役立つノウハウ記事を毎日公開しています。

2004年の開設当初からOSS(オープンソースソフトウェア)に着目、近年は特にクラウドを取り巻く技術動向に注力し、ビジネスシーンでOSSを有効活用するための情報発信を続けています。OSSに特化したビジネスセミナーの開催や、Think IT BooksシリーズでのWeb連載記事の電子書籍化など、Webサイトにとどまらない統合的なメディア展開に挑戦しています。

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