[実践編] Ubuntu Serverの運用・管理、商用製品の利用メリットと今後の展望(前編)
Taktukでファイルの転送を行う
Taktukは、管理対象サーバーへのファイルのコピー(put)や、管理対象サーバーからのファイルのコピー(get)も可能です。スケールアウト型基盤では、単一クラスター内で/etc/hostsファイルを全て同じ記述にするために、管理サーバーで/etc/hostsファイルを作成しておき、全ノードに配布するような運用が多くみられます。このような場合、Taktukを使って一斉に/etc/hostsファイルを管理対象サーバーに転送することが可能です。
以下は、管理サーバーの/etc/hostsファイルを管理対象サーバーの/etc/に一斉にコピーする例です。
# taktuk -l root -f ~/.hostlist broadcast put [ /etc/hosts ] [ /etc/ ]
Taktukを使って、複数の地域に散在するクラスターを管理する
Taktukは、クラスター自体が複数のグループや異なるLANセグメントに散在している場合の一元管理に威力を発揮します。Taktukは、複数のクラスターやグループ、ゲートウェイサーバーで接続された異なるLANセグメントに所属するクラスターに対してブロードキャストコマンドを発行することができます。クラスターがゲートウェイサーバーを経由して、異なるLANセグメントに所属する場合、ゲートウェイサーバーにログインし、個別にクラスターを管理する方法がありますが、部門ごとにLANセグメントが異なる場合に、ゲートウェイサーバーの数だけ、個別ログインが必要となり、管理が煩雑になります。Taktukを使えば、異なるLANセグメントに所属する部門レベルのクラスターが増設された場合のアプリケーションの配備等を一元的に行うことができます。
以下では、上図のように、LANセグメントの異なる3か所のデータセンター(東京、名古屋、大阪)にそれぞれ構築されたスケールアウト基盤を管理サーバー側で一元的に管理する例です。
# taktuk -l root \ >-G 172.16.1.254 -[ -f ~/.tokyo -] \ >-G 172.16.2.254 -[ -f ~/.nagoya -] \ >-G 172.16.3.254 -[ -f ~/.osaka -] \ >broadcast exec [ “df; free” ]
taktukコマンドに、-Gオプションで、ゲートウェイサーバーを指定します。その後にゲートウェイサーバーが持つ管理対象サーバー群を記述したリストを「-[ -f ファイル名 -]」で指定します。上記では、複数行にわたって記述していますが、1行で入力しても構いません。前提条件として、管理サーバーとゲートウェイサーバー間、ゲートウェイサーバーと管理対象サーバー間で公開鍵認証を使ったssh通信が可能であり、かつ、全てのサーバーにtaktukがインストールされている必要があります。
コマンド一斉発行および差分表示による運用管理の簡素化
コマンド一斉発行の機能を持った商用ソフトウェアとしては、HP Insight CMUが存在します。14年の歴史を誇り、科学技術計算クラスターでは枯れたソフトウェアとして定着しており、その管理性の高さから、米国HPが提供するHadoopのリファレンス・アーキテクチャに選定されている管理ソフトウェアです。
HP Insight CMUは、管理対象のUbuntu ServerにSSHによるコマンド一斉発行を行うためのxterm端末を一斉に起動させることが可能です。また、管理対象ノードで有するファイルやディレクトリ、ファイルの中身の相違を素早く発見するための差分表示機能があります。マスターノードとスレーブノードで設定が異なるようなHadoopクラスターや科学技術計算クラスターにおいて威力を発揮します。何千台の計算サーバーを管理しなければならない場合には、是非導入を検討してみてください。
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