エンジニアのスキルを伸ばす“テスト駆動開発”を学んでみよう
2014年7月30日(水)
- [古谷] えーっとストライクを取ると直後の2投球の特典が加算されて、スペアは直後の1投球が加算されて…。
- [高梨] 大丈夫です。今いきなりすべてを把握しなくても、TDDでインクㇼメンタルに設計していきましょう。まず、全投球すべてで1本も倒せない場合、どうなりますか?
- [古谷] 全フレームで1本も倒せないということですよね?全部ガタ―ということでしょうから、0点ですよね?
- [高梨] そうです!では、まずそのテストケースからテストしてみましょうRubyの1.9.3以上がインストールされているWindowsもしくはLinux等Rubyが動く環境に、適当にフォルダを作成してbowling_game_test.rbというテキストファイルをUTF-8で新規作成した後、ひたすらこちらを写経して、実行してください。
- [古谷] bowling_game_test.rbは作成しました。で、次はbowlingGameクラスを作成するんですかね?
- [高梨] いや、そのままテストを実行してください。
- [古谷] それじゃ、上手くいくわけがないじゃないですか!
- [高梨] TDDは最初、Red(失敗)から始まります。先程説明した通りですよ。
- [古谷] それはそうですけど・・・
- [高梨] 気持ちはわかりますが、今回は初めてということもありますので、TDDの価値でもある「良いリズムをもたらす」ことを優先しましょう。実行したらどうなりましたか?
- [古谷] はい、「ファイルがみつからないからロードできません」というエラーが出ました。
- [高梨] それでは、次はGreen(成功)に進みましょう。まずはbowling_game.rbファイルを新規作成して、 BowlingGameクラスを作成してください。今回は、クラスの定義だけで、メソッドも変数も必要ありません。
- [古谷] こ、これでいいですか?
- [高梨] それで大丈夫です。インクリメンタルにやっていきましょう。
- [古谷] 通りました…。
- [高梨] 無事、Green(成功)に進みましたね!では設計を進めていきましょう
- [古谷] うーん…。
- [高梨] 今後はちゃんとメソッドのロジックを想定してテストコードを書きます。下記資料の通りにテストコードを入力して実行してください。
- [古谷] テストコードにrecord_shotとscoreというメソッドが出てきますね。
- [高梨] そうです。ここで、空っぽだったBowlingGameクラスの設計を、ちょっとだけ進化させました。まずは「倒したピンの本数を記録する」、「スコア計算する」という最低限の仕様を満たすメソッドだけ定義します。
- [古谷] なるほど!で、それを、bowling_game.rbのBowlingGameクラスに定義する前にbowling_game_test.rbに記載して、まずテストをするわけですね!
- [高梨] そういうことです。そしてこの状態でテストを行った場合、今古谷さんが言った通り、BowlingGameクラスにはrecord_shotメソッドとscoreメソッドが定義されていないので当然まだエラーになります。
- [古谷] では、BowlingGameクラスにrecord_shotメソッドとscoreメソッドを定義します。何もロジックを書かないままテストしたら、またRed(失敗)になりますけど大丈夫ですか?
- [高梨] 大丈夫です。
- [古谷] ようし、ここから、いよいよ、メソッドのロジックを考えていくわけですね!えーと、まずrecord_shotで引き渡ってきた値を変数に格納してえーとえーと…
- [高梨] いや、今回はオールガタ―の場合のテストケースなわけですから、ゼロ返ってきたらいいわけですよね?
- [古谷] ?ええ、まあそうですけど…?
- [高梨] なら、何も計算せずにいきなりゼロを返したらいいじゃないですか?
- [古谷] え?も、もしかして、こんな感じですか?
- [高梨] ほら、Green(成功)になったでしょ♪
- [古谷] そりゃそうですけど・・・でもまたすぐ修正しないといけないですよ!?
- [高梨] でも、テストケースはずっと使えますよね?
- [古谷] ま、まあ…。
- [高梨] さて、ここまで難しかったですか?
- [古谷] いや、さすがにこれは、別に難しくはないと思います。でも、これをテストと言っていいのでしょうか?
- [高梨] テスト駆動型開発はいわゆるテスト手法ではありません。インクリメンタルな設計を促す開発手法です。その前に、プログラミング設計について認識を合わせましょう。プログラミング設計は、おおきく、下記のような2つの設計要素にわけられます。
- [古谷] 正直、あまりそういう風に意識したことはなかったですが、確かにそうですね。
- [高梨] そして今回、ここまでで古谷さんと僕とで行った設計を整理するとこのようになります。
- [古谷] こうしてみると、何か結構凄いことやってきたようや気がしますね。
- [高梨] そうですね(笑)。まあまだ最初なのでTDDのメリットはぴんと来ないかもしれませんが、後半になれば凄いことになっているはずです。どんどん進めていきましょう。
<協力:株式会社ハウインターナショナル>
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