システム状態のエンドツーエンドの可視化でIT運用管理をあるべき新たな姿へ
はじめに
企業のIT運用管理といえば、これまでシステムの安定稼働を確保するためにあると考えられてきた。しかし、デジタルトランスフォーメーション(DX)の潮流が本格化するなか、その役割はシステムが支えるビジネスの状態を良好に保つことへと広がってきている。そうしたIT運用管理の変革のために必要な機能を網羅的に提供しているのがSplunkだ。その全容について、Splunk Services Japan合同会社のオブザーバビリティストラテジスト、松本 浩彰氏に話を伺う。
ITシステムのビジネスパフォーマンスを
高いレベルで確保するために
近年、日本企業の間でデジタルテクノロジーとデータをビジネスの変革に役立てるDXの取り組みが活発化し、企業のビジネスとシステムとの結びつきはかつてないほど強まっている。つまり、企業システムのパフォーマンスが、ビジネスのパフォーマンスに直接影響を及ぼすようになっているというわけだ。例えば、DX戦略の一環として、コーポレートサイトなど、オンライン上での顧客や取引先、ないしは一般生活者との接点を強化すべく、何らかの仕組みを追加したとしよう。その仕組みの可用性や処理性能が低かったり、セキュリティ上のトラブルを引き起こしたりすれば、すぐさま顧客や取引先、一般生活者からの信頼を失い、ビジネスに負のインパクトが与えられることになる。
「今日の企業にとって、ITシステムは経営やビジネスを支える戦略的な仕組みであり、そのユーザー体験(UX)の良否によって、企業の競争力が決定づけられると言っても過言ではありません。ゆえに、システムのパフォーマンスとセキュリティを高いレベルで維持することは、事業のパフォーマンスと健全性を維持・高めることと同義といえ、きわめて重要な経営課題となっています」(松本氏)
一方で、進行しているのが企業システムの複雑化だ。過去数年来、企業におけるクラウドプラットフォームの活用が進み、かつ、新型コロナウイルス感染症の流行に伴うリモートワークの一般化により、多岐にわたる業務でSaaSが使用され始めた。加えて、DXの潮流の中で顧客や取引先、一般生活者に向けたシステム(アプリケーション)を、クラウドネイティブな技術を使ってマイクロサービス化しようとする動きも活発化している。結果として、企業システムがオンプレミスのシステムと各種のクラウドサービス、そして多数のサービス(マイクロサービス)から成る複雑な構成をとるようになった。ゆえに、企業システムの可用性や処理性能、セキュリティレベルを適切に保つIT運用管理の難度は非常に高くなっているといえる。
そうした問題を抜本的に解決する仕組みとして注目を集めているのがSplunkだ。Splunkは、企業システムの状態をモニタリングし、パフォーマンスとセキュリティを高いレベルに維持するソリューションだ。システムを構成するあらゆるデバイス、アプリケーション、サービスからデータを収集して分析し、その状態を可視化できる。また、問題の検出時には速やかなトラブルシューティングへとつなげる。その活用を通じて企業は、自社の経営戦略、ないしはビジネス戦略を支える企業システムのユーザー体験(UX)を良好に保つことが容易になる。
これからの時代に対応した
先進的で効率的な運用の実現に向けて
Splunkは、システム管理の根幹としてデータを非常に重視している。システム環境がクラウド利用も含めて急速に複雑化している今日、人的な管理作業に頼る運用には限界があるのはもはや明白だ。データを活用することで、人的管理では実現できない量・質でシステム稼働状況の分析・把握が行えるようになる。
マイクロサービスのような、とても人的管理では対処できないシステムの運用だけでなく、レガシーシステムに対して行われてきた労働集約的なシステム管理業務についてもSplunkは効果を発揮する。企業のビジネスに関連するすべての管理対象から、例外なくデータを収集することが可能で、それらに対して適切な監視・分析を行うための、さまざまにパッケージ化された機能を利用できる。
運用管理ツールについては、運用の動線が短縮される、システムの監視・切り分け判断・根本分析ステップなどさまざまな業務が効率化される、属人性が削減される、対処のスピードが向上するといった効果が得られなければ、利用する意味はないと言える。Splunkはそのような今までの運用業務に変化を与える多彩な機能が提供されている。
例えば、多様なデータを収集し、AIも活用して解析を行うソリューションの根幹をなす「Splunk Cloud」がある。これにより企業の管理対象を網羅的に扱うことが可能になる。さらにインフラ管理担当者に最適化されたデータの可視化・分析を行う「Splunk Infra Monitoring」やアプリケーション管理担当者に最適化された可視化・分析を行う「Splunk APM」、End to EndでのUXを可視化・分析する「Splunk RUM」や「Splunk Synthetic Monitoring」など多彩な機能を提供している。これらの機能によって生み出されるデータはすべて Splunk Cloudに集約され、「Splunk ITSI」によって統合監視に利用される。Splunk ITSIは企業が管理するシステム全体の健全性を、機械学習を利用しながら横断的に評価・監視できる。
また、「Splunk On-Call」は、インシデント発生時の関係者への通報・対応依頼などのインシデント対応プロセスを自動化するほか、セキュリティ監視の観点では「Splunk Enterprise Security」などが提供されている。
「今日において統合運用管理ツールの役割というのは、システムの死活を管理するというレベルではなく、ビジネスのレジリエンスを確保するための多様な機能を提供することにあると考えます。また、そういった機能群には、UXの改善やビジネスのレジリエンス向上、運用効率の改善といった明確な効果を生み出すことが求められています」(松本氏)
松本氏によれば、大手の自動車メーカーや小売事業者など、多くの日本企業がIT運用管理を目的にSplunkを導入し、監視業務、問題検知、障害対応の大幅なスピードアップといった効果を手にしているという。Splunkによる変革はすでに始まっているのだ。
<お問合せ先>Splunk Services Japan合同会社
URL:https://www.splunk.com/ja_jp
eメール:splunkjp@splunk.com
連載バックナンバー
Think ITメルマガ会員登録受付中
全文検索エンジンによるおすすめ記事
- DevOps全体の監視・調査・障害対応を自動化・効率化 「Splunk Observability Cloud」が DXをスピードアップする
- Observability Conference 2022、Splunkのエンジニアが説明するOpenTelemetryの入門編
- デスクトップ仮想化を支える技術
- 【本日11/28開幕!】クラウドネイティブの祭典「CNDW2024」注目のセッションを再確認しよう!
- アズジェント、データセキュリティソリューション「SecureSphere」を販売開始
- 【いよいよ6/15開催!】CNDS2024は札幌+オンラインで開催、注目のキーノート・CFPセッションを再確認しよう!
- Oracle Cloud Hangout Cafe Season4 #4「Observability 再入門」(2021年9月8日開催)
- ObservabilityのNew Relic、創業秘話と新しいプラットフォームについて語る
- マイクロサービス時代に最適なデータベース環境とは何か ─SRA OSSから2つの提案 「YugabyteDB」&「Pgpool-II on Kubernetes」
- LFとOpenSSFがオープンソースのセキュリティに関する会議「Open Source Software Security Summit II」を開催、ほか