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ネットワークの基本を知ろう!

2015年4月14日(火)
榊 正憲(さかき まさのり)

本連載では、コンピュータなどの情報機器を相互につなぐネットワークについて解説していきます。
現在、パソコンや携帯情報機器などは、なんらかのネットワークに接続しており、さまざまな情報をやり取りしています。ネットワークについて理解するために、まずはデジタル機器の間でのデータのやり取りから見ていきます。

ネットワークとは

世の中で「情報ネットワーク」と呼ばれているものについて、大雑把に考えてみましょう。今日、コンピュータをネットワークで相互に接続するのはほぼ当たり前のこととなっています。 職場であれば、自分のパソコンは社内ネットワークに接続され、そのネットワークはインターネットにも接続しているでしょう。自宅のパソコンは、ほかのパソコンには直接つながっていないかもしれませんが、ルーターや内蔵の通信機能を介してインターネットにつながっているでしょう。あるいは、無線LANなどを介して、スマートフォンやタブレット、携帯音楽プレイヤーなどと連携しているかもしれません。外出先では、スマートフォンやノートPCを使い、インターネットに接続することも多いでしょう(図1)。

多数の機器が接続されたネットワーク

図1:多数の機器が接続されたネットワーク

こういった今どきの情報機器の利用とは別に、昔から使われているネットワークサービスもあります。銀行のATMを使った預金の出し入れや振り込み、駅や旅行代理店の窓口で指定席切符や航空券を買うことなども、ネットワークの利用です。いろいろな人と自由に話ができる電話サービスも、ネットワークにほかなりません。

簡単にいってしまうと、ネットワークとは、多数のコンピュータや情報機器が、相互にデータのやり取りを行うことができる通信環境のことです。ここで重要なことは、「多数の機器」が通信を行えるという点です。多数といっても、数台から億の単位まで、その規模はさまざまです。とりあえず、2台以上であるということは間違いないでしょう。

ところで通信の世界では、2台の機器の通信と3台以上の機器の通信では、事情が大きく変わってきます。従ってネットワークの場合は、2台も含め、3台以上の機器が通信できる環境ということになります。

パラレル伝送とシリアル伝送

ネットワークについて具体的に見ていく前に、まずデータ伝送の方法を紹介します。デジタルデータを送るには、パラレル伝送とシリアル伝送という2種類の方法があります。

パラレル伝送

コンピュータでは、データは一定の単位で扱われます。典型的な単位は、8ビットのデータから構成されるバイトです。処理能力の向上した現在のコンピュータはバイトだけでなく、32ビットや64ビットという単位でデータを扱います。

パラレル伝送は、データのビット幅に応じた数の信号線を使ってデータを送る方式です。1ビットのデータを1本の信号線で送るように回路を組み立てれば、1バイトのデータは、8本の信号線で伝送することができます(図2)。信号線が16本あれば、同時に2バイトのデータを送れます。このようにデータを送る際に、そのデータを表現するために必要な数の信号線を使う方法をパラレル伝送といいます(実際にはデータのやり取りを制御するための付加的な信号線も必要になります)。

パラレル伝送

図2:パラレル伝送

シリアル伝送

シリアル伝送は多数のビットからなるデータを、1ビットずつ順番に送っていく方法です(図3)。例えば8ビットのバイトデータであれば、1ビットずつ順番に8回に分けて送ることになります。データを受け取る側は、1ビットずつ送られてくるデータを受け取って並べ、元の8ビットデータに復元します。一度に1ビットずつしか送らないので、パラレル伝送と異なり、1本の信号線ですべてのデータを送ることができます。しかし、例えば8ビットのデータを送るためには、8回の送信が必要になります。

シリアル伝送

図3:シリアル伝送

シリアル伝送とパラレル伝送には、それぞれ長所と短所があります。シリアル伝送のメリットは、データ伝送に必要な信号線の数が少ない点です。8ビットのパラレル伝送には8本の信号線が必要ですが、シリアル伝送なら1本で済みます。信号線の数は、機器の内部など短距離の接続なら大した問題ではありませんが、ネットワークなど、遠距離の通信を行う場合には大きなメリットになります。

またデータ伝送速度が高くなると、信号が配線を伝わる際の遅れが問題になります。多数の配線を使うパラレル伝送では、個々の信号線の間での遅延時間の差(スキュー)が問題になる場合がありますが、1本しか配線のないシリアル伝送では、このような問題は起きません。

シリアル伝送のデメリットは、同じ量のデータを同じ時間で送る場合、パラレル伝送よりも高速な信号線が必要なことです。単純化した例を考えてみましょう。例えば1Mバイトのデータを1秒で送る場合、パラレル伝送なら毎秒1Mビットのデータを送れる信号線を8本使います。しかしシリアル伝送の場合、1バイトの伝送を8回に分けて行うため、毎秒8Mビット送れる信号線が必要です。パラレル伝送と同じ速度を実現したければ、8倍の速度の信号線が必要なのです。またデータの送受信部で、パラレル/シリアル変換が必要になります。データの開始位置やビット位置のタイミング判定などの処理も行わなければなりません。

こういった理由により、シリアル伝送の送受信回路はパラレル伝送に比べて複雑になります。しかし現在では、この種の送受信回路は小さなLSIにまとめられており、回路規模やコストが負担になることはほとんどありません。現在では、各種のデータ通信にはシリアル伝送が広く使われています。もちろんネットワークの通信も、シリアル伝送を使っています。

パラレルからシリアルへ

パソコンでは、パラレル伝送が広く使われていました。CPUとメモリ、拡張スロット、ディスクインターフェイスなどはすべてパラレル伝送でした。シリアル通信を使っていたのは、伝送速度の低いモデムやキーボード程度でした。しかし最近はかなりの部分が高速なシリアル伝送に置き換えられており、現在のパソコンでは、パラレル伝送が使われているのは、CPUやメモリの周辺くらいです。

たとえばプリンタやスキャナなどの周辺機器は、かつてはパラレルポートやSCSI(Small Computer System Interface、ディスクやスキャナ、テープ装置などを接続するインターフェイス規格)によるパラレル接続が中心でした。現在はシリアル伝送のUSB接続、さらにはネットワーク接続となっています。ディスクドライブのインターフェイスも、パラレルのATAからシリアルのSATAや外部接続用のUSBになっています。

シリアル接続の方式が進化、高速化したことで、かつてはパラレル伝送が当たり前だった分野でも使用できるようになりました。さらには、今までのパラレル伝送規格よりもシリアル伝送のほうが高速になり、シンプルな配線で済むシリアルが中心になったのです。

顕著な例として、パソコン内部の拡張スロットがあります。かつて使われていたPCIというパラレル伝送のバス規格の速度(最高で533MB/S)は、新しい高速なディスクやネットワーク、ビデオカードのインターフェイスとして不十分なものとなり、現在ではシリアル化されたPCI Expressという規格に置き換わりました。PCI Expressにはいくつかの規格がありますが、初期のものでもパラレルのPCIと同等の速度が実現でき、新しい規格ではさらに高速化されています。また必要に応じて複数のレーン(シリアル通信チャネル)を使うことができるので、用途に応じて必要なデータ伝送レートを確保することができます。たとえば単純なディスクコントローラなら1レーンで済みますが、大量のデータを扱うビデオカードでは、16レーンを同時に使用するといった構成になります。

この記事のもとになった書籍
完全マスターしたい人のためのイーサネット&TCP/IP入門

榊 正憲 著
価格:2,000円+税
発売日:2013年12月19日発売
ISBN:978-4-8443-3511-5
発行:インプレスジャパン

完全マスターしたい人のためのイーサネット&TCP/IP入門

世の中で広く知られているイーサネットとTCP/IP、つまりインターネットや社内LANなどで、標準的に使われているネットワーク方式とプロトコルについて詳しく解説。 各項目については初歩的なレベルから解説し、中級レベルまで掘り下げています。 その過程で、仕組みや原理についてなるべく詳しく、そしてなぜそのような仕組みになっているのか、といったことを説明しています。 「これはこうなっている」という知識だけではなく、「これは何をするために、どのような原理でそうなっているのか」まで、きちんと体系立てて理解できる、ネットワーク初心者必携の1冊です。

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著者
榊 正憲(さかき まさのり)

電気通信大学卒業。プログラミング、システム管理などの仕事のあと、フリーランスで原稿翻訳、執筆などを行う。現在は、有限会社榊 製作所 代表取締役。著書に『復活!TK-80』『コンピュータの仕組み ハードウェア編(上・下)』、翻訳書に『Inside Visual C++ Version 5』(いずれも旧アスキー発行)、『Pthreadsプログラミング』(オライリー・ジャパン)などがある。

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