神出鬼没! サブクエリについて(Part.1)
はじめに
今回からは「サブクエリ」について解説していきます。サブクエリは神出鬼没で、SQL文のさまざまな箇所に出現します。しかし、敬遠されがちなサブクエリも、出現パターンを覚えてしまえば怖くはありません。パターンが複数におよぶため、今回と次回の2回に分けて紹介しますが、出現する場所ごとに使い方を解説しますので、しっかり習得してください。
訓練に使用するデータベースは、これまでに引き続き、いつもの「SQLite」を使用していきます。
それでは、今回もパワフルに訓練へ行ってみましょう!
「サブクエリ」って何?
SQL文の問い合わせのことを「クエリ」と呼びますが、サブクエリとは、その名の通りSQL文の中に入れ子でSQL文を記述することを指し、「副問い合わせ」とも呼ばれます。SELECT文やFROM句、WHERE句はもちろん、INSERT文やUPDATE文など、さまざまなところで使用できます。
サブクエリのメリットとして、複数のSELECT文を1つにまとめて記述できたり、複雑なテーブル結合を使わずに記述できたりという点があります。一方、デメリットとして処理速度が遅くなる場合があるので、使用には注意が必要です。
下図が、サブクエリの使われ方のイメージになります。
マーカーの部分がサブクエリです。それぞれ、以下の場合で使われています。
- SELECT文の項目として使用する場合
- UPDATE文の項目を別テーブルの値で更新する場合
- 別テーブルの値でデータをINSERTする場合
- FROM句で別テーブルの値をテーブルとして使用する場合
- WHERE句で別テーブルの存在チェックに使用する場合
それでは、それぞれ使われ方の詳細を説明していきます。
1. SELECT文で使用するケース
はじめに、SELECT文で別テーブルから値を取得する使用例を確認してみましょう。
サンプルデータと同様の社員テーブル(tbl_employees)と、部署テーブル(tbl_dept)を用意しましょう。それぞれのCREATEコマンドとINSERTコマンドは以下のようになります。
【社員テーブルCREATEコマンド】※前回までに社員テーブルを作成している場合は、DROPコマンドで削除してから作り直しましょう。
DROP TABLE tbl_employees; CREATE TABLE tbl_employees (emp_code INTEGER , emp_name TEXT , kana TEXT , gender TEXT , age INTEGER , dept_code INTEGER);【社員テーブルINSERTコマンド】
INSERT INTO tbl_employees (emp_code,emp_name,kana,gender,age,dept_code) VALUES ('1','HoriiTaro','ホリイタロウ','M','40','1') , ('2','IshimuraHana','イシムラハナ','F','33','2') , ('3','KitajimaRuna','キタジマルナ','F','45','3') , ('4','MuroiYuri', 'ムロイユリ','F', '27','1') , ('5','KitazawaAika','キタザワアイカ','F','33','1') , ('6','MitaniKoukiti','ミタニコウキチ','M','23','2');【部署テーブルCREATEコマンド】
※前回までに部署テーブルを作成している場合は、DROPコマンドで削除してから作り直しましょう。
DROP TABLE tbl_dept; CREATE TABLE tbl_dept (dept_code INTEGER , dept_name TEXT , valid_flg INTEGER , update_user_id TEXT);【部署テーブルINSERTコマンド】
INSERT INTO tbl_dept (dept_code,dept_name,valid_flg,update_user_id) VALUES ('1','技術部','1','YAMADA'), ('2','人事部','1','YAMADA') , ('3','総務部','1','TANAKA'), ('4','経理部','0','SATO');
作成した社員テーブルの内容を確認してみましょう。
.headers on .mode column SELECT * FROM tbl_employees;
*「.headers」「.mode」は表示内容の設定コマンドなので、ログイン後に1回実行すればOKです。
INSERTコマンドで作成した、6件のデータが表示されています。
次に、部署テーブルの内容を確認してみましょう。
SELECT * FROM tbl_dept;
INSERTコマンドで作成した、4件のデータが表示されています。
それでは、使用例のSELECT文を確認してみましょう。
SELECT emp_name , ( SELECT dept_name FROM tbl_dept AS dp WHERE dp.dept_code = emp.dept_code) AS dept_name FROM tbl_employees AS emp;
社員テーブルの「dept_code」に一致する、部署テーブルの「dept_name」を取得していることが確認できます。
ここで、3点ポイントがあります。
- SELECT文でサブクエリを使用する場合は、結果が見やすいようにAS句を使用して別名にする
- サブクエリの結果は必ず1行となるクエリを記述する
- サブクエリはカッコ()で囲む
参考までに、サブクエリを使用しない内部結合で記述した場合は、以下のようになります。
SELECT emp_name , dept_name FROM tbl_employees AS emp INNER JOIN tbl_dept AS dp ON dp.dept_code = emp.dept_code;