Zabbix Conference Japan 2023から、InteropのShowNetでの実装例を解説するセッションを紹介
Zabbixが開催したZabbix Conference Japan 2023から、Interopのネットワーク担当エンジニアが解説するShowNetにおける導入事例を解説したセッションを紹介する。Think ITの読者にとっては既知のことかもしれないが、Interopは、ネットワーク・インフラ関連の技術、製品、ソリューション等を一同に集めた展示会であり、毎年6月に幕張メッセで開催されている。
●参考(PDF):ShowNet2023における取り組みとZabbixの活用について
セッションを担当したのは水谷和弘氏、神山卓哲氏、山﨑俊彦氏、岩佐一樹氏の4名のエンジニアだ。
概要についてはZabbixのエンジニアである水谷氏が担当し、モニタリングについては神山氏が、ラックの温度や湿度、CO2(二酸化炭素)濃度なども含めたファシリティ管理を山崎氏が、そして映像配信のモニタリングは岩佐氏が担当して解説を行った。
Interopの概要やShowNetの概要を解説した水谷氏に続いて登壇した神山氏が、ShowNetにおける監視の必要性について解説。単一企業のネットワークではなくさまざまなベンダーやユーザーが混在したネットワーク環境において「どこで何が起こっているのか?」を可視化する監視ソリューションが必要なのは明らかだろう。
ここではShowNetの構築の日程について注目したい。6月2日から16日の2週間という短期間で構築、実装されている。
1ラックに収まるサーバー群だが、実際にはベンダーが持ち込むデモ機器やセンサー群などの対応などが必要となり、ネットワークシステムの精鋭エンジニアたちが日夜協力しながらタスクをこなしていったというのが実態だろう。
数値で見るZabbixの概要を紹介したのがこのスライドだ。監視ホスト数672、Syslogのサイズが259Gバイトという大きさだ。ログの点数は6月8日に最大となっており、この日にさまざまな接続テストや実験が行われたと想像される。
現場で利用されたZabbixは主にアプライアンスでの構成となり、サーバーのメイン/サブ構成に加えてクラウドにもバーチャルなアプライアンスが冗長化構成として導入されている。
また単なる監視だけではなく、ラックをアクセス網に見立てた遅延監視も実施されていたと説明。これもインターネットにサービスを展開したい企業にとっては参考になる構成だろう。
また監視の結果としてアラートを上げる部分に関しては、ログメッセージだけではなくSlackへの通知、さらにパトライトの明滅なども実装されたことが解説された。
さらにファシリティの監視という部分では、サーバーラックに対して温度や湿度、ラックのドアの開閉に加えてCO2の監視も実行されていたことが解説された。
CO2の濃度監視はサーバーラックの前にどれだけの見学者がいるのかを検知するための方法だと説明し、想定上ではCO2の濃度が上がるとそのセンサーの前にいる人数が多いはずだと仮定していたことが解説された。
結果として、来場者数の推移とラック前のCO2農度の推移が近似していることがわかったという。
最後は映像配信という最近のストリーミングによるモニタリングの結果に関する報告となった。
ここではデータストリームだけではなく時刻同期が必要なリアルタイムでの配信がどのように実装され監視されていくのかという実証実験という形になった。
さまざまな観点でモニタリングが実装され、その機能要件ごとに担当するエンジニアが解説するというのはいかにもエンジニア的な手法だが、オープンソースソフトウェアの監視ソリューションが多々ある中でZabbixが選択されたのは、準備期間が短く実装や運用の知見が数多くあることも関係しているのだろう。ここでも導入実績が大量に露出しているZabbixの良さが評価されたというセッションとなった。
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