Zabbix Summit 2022、クラウドネイティブ対応を解説するセッションなどを紹介
Zabbixの年次カンファレンスZabbix Summit 2022から、クラウドネイティブなシステムに関連するセッションやIoTデバイスを監視するセッションの他、中国のパートナーのセッション、オンプレミスでクラウドを実装するOpenNebulaを使ったベルギーのユースケースを紹介する。
KubernetesでもZabbixを
このセッションを行ったのはブラジルのパートナー企業JLCPのTech Lead、Robert Silva氏だ。「Culture change to use Zabbix in Kubernetes」と題されたセッションだ。仮想マシンベースのユースケースが多いZabbixだが、クラウドネイティブの代表的なプラットフォームであるKubernetesでも使えることを訴求するセッションとなっている。
このスライドではKubernetesの標準のモニタリングツールであるPrometheusについても言及されているが、ここではZabbixを使ってKubernetesを監視することは難しくない、文化の違いがあるだけだと説明。特にZabbixが監視対象を発見するLow Level DiscoveryとKubernetesのService Discoveryが連携して動くことは素晴らしいとコメントして、2つのプラットフォームにおいて概念の違いはあっても目指しているところは同じであることを説明した。
そのあとKubernetesの概要、Kubernetesのオブジェクトの説明、導入方法(Manifest fileで行う場合とHelmを使う場合)の違い、ネットワーク接続の概要、CI/CDを活用して自動化する方法、Helmの解説などを行ってセッションを終えた。
Helmを用いてKubernetesにZabbixをインストール
その次に登壇したChristian Anton氏は「Install and operate Zabbix in Kubernetes and OpenShift」というセッションだが、内容としてはHelmを使ってKubernetesにZabbixを入れることをデモ交えて紹介した。
その他の関連セッション
この他のセッションをいくつか紹介する。最初は中国のパートナー企業のGrandageのCSO、Cindy Lu氏によるセッションだ。これは中国市場でZabbixを販売するパートナーの活動報告という内容である。2022年10月時点では中国から海外に渡航した場合、帰国時に新型コロナウィルス対策として10日間の隔離処置が必要になる状況であったことを考えても、上海からラトビアのリガにまでやってきてプレゼンテーションを行ったことの意味は大きい。
またGrandageはZabbixのローカライゼーション、つまり中国語への翻訳にも関わっており、Zabbixに関する書籍の執筆も行っていることを紹介した。
非常に特徴的だったのは、草の根の啓蒙活動から実際の顧客になるまでの「ファネル」を紹介したことだろう。マーケティング関連のカンファレンスで目にする販促活動への参加者から実際の顧客に育て上げるための段階を、数値を交えて紹介している。ここでは16000という数値がさまざまな啓蒙活動を通じて47の顧客になるまでを解説している。
IoTデバイスとZabbix
次に紹介するのは自宅にRaspberry PiベースのIoTデバイスを設置して家庭内の監視を行う事例を紹介したセッションだ。これはフィンランドのパートナー企業Forepoint社のシニアシステムエンジニアであるJanne Pikkarainen氏が発表したもので「What's up home - monitoring your IoT devices with Zabbix」というタイトルのセッションだ。
Cozifyはフィンランドで販売されているIoTハブということだが、そのデバイスにPythonからアクセスする非公式のライブラリーを使ってZabbixにメトリクスを送って監視をするという内容だ。
このプレゼンテーションではフレンチブルドッグの寝床にも温度センサーを付けて夜、犬が眠っているのかを監視するという例も紹介され、会場から賞賛する声と温かな笑いが起こっていた。
プライベートクラウドとZabbix
最後に紹介するセッションは、ベルギーの政府機関におけるユースケースだ。これは「Using Zabbix to monitor our OpenNebula private cloud infrastructure」というセッションで、プレゼンテーションはGeert Willems氏だ。ベルギーのフランドル地方の政府機関において、OpenNebulaを使ったプラットフォームの監視にZabbixが使われているというユースケースになる。
OpenNebulaをプラットフォームとして採用、3つのデータセンターで稼働しており、2セットがデータストアとして相互にバックアックとして稼働するという構成だという。
IT要員としては5チームで合計50名のデベロッパー、運用チームは7名の1チーム構成、開発はJavaでSpring Bootを使用、仮想マシンは2200台以上が稼働という内容だ。OpenNebulaというOpenStackやCloudStackと比較されるプラットフォームを使っているところがポイントだろう。
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