ZFS、DTraceで管理が楽に!
注目されるそのほかの管理機能
システム稼働中にシステムやアプリケーションの障害解析を可能にするDTrace(動的トレース)が使用できます。
DTraceを使えば、カーネルやアプリケーションをデバッグ用に再構築することなくデバッグやトレースが可能になります。プローブと呼ばれる数万の計測ポイントがあらかじめ実装されており、dtrace(1M)コマンドの実行で、トレース条件にマッチしたプローブからカーネル内部の情報などを得ることができます。通常の状態では、プローブはオフモードであり、パフォーマンスへの影響はありません。
OpenSolaris 2008.05で注目される点としては、DTraceのD言語で書かれたツールキットが/opt/DTTの下にデフォルトでインストールされており、200例以上におよぶ実行可能な解析ツールをすぐに使うことができることです。
さらに、OpenSolarisではSolarisコンテナ、xVM、xVM VirtualBoxなど最新の仮想化技術を利用できます。
なおOpenSolaris 2008.05で拡張されたSolarisコンテナの特徴としては、以下のものがあります。
1.IPSによるローカルゾーンのインストールができる
2.グローバルゾーンから独立した「ipkg」という新ブランドがある
3.最小必要構成で初期インストールし、起動後にIPSから追加インストールできる
またOpenSolaris 2008.05リリース時点でZFSブート環境に最適化されてない点などは、今後の改善や拡張を予定しています。
グローバルゾーンからの独立性が高くなったことで、Solarisコンテナの可用性が広がりました。
例えば、コンテナごとに独立したパッケージインストール構成を持たせることで、コンテナ上で動作させるアプリケーションやサービスに最適な性能とセキュリティ環境を構築できます。また、グローバルゾーン側のアップグレードの影響を受けないので、動作させるアプリケーションの互換性に最適なバージョン構成をコンテナ上で維持することができます。
最後に
OpenSolaris 2008.05リリースの主な特徴を4回のシリーズで紹介してきました。オペレーティングシステム(以下OS)としてのOpenSolarisは、まだできたばかりの新しいOSですが、その中には長年商用UNIXとして培ったアーキテクチャと、Linuxやフリーウェアとして支持されてきたオープンソースの技術とがコラボレーションして凝縮されています。
OpenSolaris 2008.05リリースの一番の利点は、自由に誰でも、どこでも使えるということです。OSの良しあしは実際に使ってみないとわからないものです。しかし、大切なコンピュータに新しいOSをインストールすることは、非常にハードルが高いことでもあります。
ですからまずは、Live CD環境で試してみてください。VirtualBoxなど、仮想化技術を使ってゲストOSとして試してみてください。私たちは、できるだけ多くの方にこの新しいOpenSolarisを体験していただきたいと願っております。