すぐに使える!レビュー効果向上の秘訣

2009年3月24日(火)
安達 賢二

レビュー効果向上の4ヵ条(1~2)

 考察結果を参考として、レビュー効果を向上させるための4ヵ条を示します。

その1:メンバーでレビューに対する認識を共有する

 レビューの効果を高めるための前提条件として、レビューの目的、対象物の状態や位置づけ、それぞれの役割、主な観点などに対して、メンバー全員の認識を共有することが求められます。その実現にはレビュー前の集合形式オリエンテーションなどが効果的です。

その2:目的・状況に応じて必要な観点を取りそろえる

 レビュー目的を達成するには、必要な観点を設定する必要があります。演習では、基本事項を確認するためのチェックリストに加え、Webサイトという成果物の特徴から「シナリオ」による利用者の視点を加えました。

 ほかにも、システム化目的を知る営業担当、入力情報を構築した要員、次フェーズの作業要員(例:実装、テストなど)、システムの利用者、対象領域の専門家など異なる視点を持つ方たち、あるいは対象成果物と関連する文書類の記載内容などがレビューの観点を広げるための手段になりえます。

 必要な要員が参画できない場合には、さまざまな立場になりきって確認するなどの代替手段もあります。

 このような手段により、レビュー目的と対象物の特性に応じて必要な観点を取りそろえることが欠陥検出に効果的です。

レビュー効果向上の4ヵ条(3~4)

その3:チェックリストを有効に活用する

 基本的な観点を毎回準備するのは非効率ですから、それらをチェックリスト化して運用するのがよいでしょう。

 とはいえ、あくまでも基本的な観点や確認項目の備忘録的な位置づけですから、それを活用してレビューの効果を上げるには、以下のようなポイントがあります。

 1つ目が「チェックリストは、レビュー対象物に対する必要な観点を網羅し、適切な粒度で、具体性があること」です。

 2つ目が「レビュー目的や対象物の特性、作成者のスキルや癖、作業状況などに応じて、観点ごとの確認範囲や深さの調整、チェックリストにはない観点の追加、必要のない観点の削除などの対応を行うこと」です。

 3つ目が「レビューアは、チェック項目の内容を適切に理解し、必要な確認を確実に実施できるようになっていること」です。これには、事前教育やレビュー実施前の認識合わせが重要です。

 4つ目が「レビュー結果やテスト結果、利用時のトラブルなどから得られた知見を、チェックリストに都度フィードバックし、ますます成果が上がるように更新していくこと」です。

その4:進行役(モデレータ)にはふさわしい要員を割り当てる

 レビューの進行役(モデレータ)は、レビュー目的の達成のために必要な事項を主体的に実践し、目指す成果を獲得する重要な役割を担います。

 上記の「その1~3」への対応はもちろんのこと、事前にレビュー関係者の背景を把握したうえで、欠陥指摘が出やすい場を演出する、レビュー中に話が脱線した場合にいち早く欠陥検出の話に戻す、欠陥の手がかりを得るために質問、調整、傾聴、追加説明など関係者とコミュニケートして各自が持つ専門性や情報を引き出す、などの実践が求められます。

 その意味で進行役は、SEとしてのスキルだけではなく、リーダーシップ、コミュニケーション力、交渉・調整力、メンバーの力を引き出すファシリテーション力など総合的なスキルが求められますので、「モデレータ役がいればよい」のではなく、「ふさわしい要員を割り当てる」ことが求められます。

 「変化は進化」と言います。以上の事項を参考にしてレビュー実践を段階的に進化させ、利用者に喜んでもらえるシステムを提供してください。

株式会社HBA
現在、社内品質マネジメントシステム統括管理、各種プロセス評価・改善推進、管理者・技術者育成支援などを担当。NPO法人 ソフトウェアテスト技術振興協会 理事。
ソフトウェアテストシンポジウム札幌 実行委員長。 個人的趣味の範疇でSoftware Quality.com: http://sw-quality.com/default.aspxを運営している。

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