OpenRoadsでロボットアプリケーションを作る
「101-VCE」でロボットを操縦する
SPC-101Cには、VB.NETを使って作られたサンプルアプリケーション「101-VCE」が添付されています。
・ボイスコマンド(音声認識)による動作
・顔認識による自律動作
・動体検知による自律動作
など、誰でも簡単にロボットを操縦することができる統合アプリケーションです。
まずは、ボイスコマンド(音声認識)に応じて動作するアプリケーションです。
ロボットへ呼びかけると何らかの反応をするというのは、プログラム的には単純ですが、やってみるとおもしろいものです。最初は市販の音声認識エンジンなどを購入していじってみたのですが、市販アプリケーションを前提としないほうが広く使っていただけると考え、マイクロソフト社の音声認識・音声合成用API「SAPI5.1」でやってみることにしました。
ここはネットワークロボットであるSPC-101Cの利点を生かし、パソコンのマイクに入った音声をパソコンのアプリケーションソフトウエアで処理して、モーションIDをロボットへ渡すことにします。Kilalaさんの「VB.NETで音声認識(その1)音声認識ライブラリを作る」(http://kilala.mydns.jp/def/VBTIPS/005/)、これをかなり参考にしてプログラムを作成しました。
できればロボットに自由言語で命令したいところですが、パソコン上ですら認識率はそれほど良くありません。それよりも特定単語を編集可能な辞書(GrammerFile)として持ち、認識結果と照合してモーションIDに変換する方が現実的です。
GrammerFileを一部抜粋したものを以下に示します。ご覧のようにXMLで記述されており、VAL="1"の部分がモーションIDになります。「
/は;
」や「/しゅ;
」などVAL="0"(無反応)を返す認識をさせているのは、マイクに入るブレス音に起因する誤認識を除くためです。/は;
/ば;
/ひ;
/ふ;
/ほ;
/し;
/しゅ;
/しゃ;
/じゃ;
/前/まえ;
/後ろ/うしろ;
/右旋回/みぎせんかい;
/左旋回/ひだりせんかい;
/シナリオ/しなりお;
ロボットのminiSDに前進、後退などのモーションを仕込み、motion.defに下記のような内容を指定してネットワークにつないでおきます。
00001:Fwd.mtr
00002:Back.mtr
00003:turnR.mtr
00004:turnL.mtr
00005:Banzai.mtr
そして、パソコンのマイクに向かって「右旋回」と言えば、パソコンのアプリケーションがGrammerFileの
/右旋回/みぎせんかい;
を参照し、モーションID 3番を_SSR_RCMD_MOTIONパケットに仕込んでロボットに送信します。それを受けてロボットは右旋回のモーションを発動させます。
いかがでしょうか。意外と簡単に音声認識で動くようになりました。モーションを更新してGrammerFileを差し替えれば、別の動作もどんどんこなしてくれます。
音声認識の様子は図3-1のデモ動画で確認してみてください。
図3-1:ボイスコマンドによるアプリケーション例
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図3-2:顔認識のデモ
OpenCVによる顔認識と動作
SPC-101Cには頭部にカメラが搭載されています。27万画素のCMOSイメージセンサーですが、光学セン サーとしてとらえるといろいろとおもしろいことができるのです。
そこで、人間の顔を検知して自律動作するアプリケーションを作成してみました。OpenCV(http://opencv.jp/) のサンプルアプリケーションに含まれている「facedetect」を利用させてもらい、カメラの画角の中で顔を認識し、認識円で囲まれた顔面の座標を導 き出します。また、認識円の径を「顔の大きさ」、すなわちその人との距離と見なす処理も行っています。
デモ動画もぜひご覧になってください(図3-2)。
なお、101-VCEは下記のURLからダウンロードできます。
http://speecys.com/application.html
以上、OpenRoadsの活用例としてVB.NETを使ってどんなことができるか?を書いてきましたが、いかがでしたでしょうか。
「簡単そうだから、使ってみようかな」と思っていただけたら幸いです。
――おわりに;
インターネットロボットSPC-101Cは、起動するとDHCPからIPアドレスをもらってネットワークに接続されます。あとはソケットでポートを開け て、パケットを流せば動きます。ロボットのハードウエアをそれほど意識することなく、ネットワークプログラミングで動くのです。
ほら、いろいろできそうだとは思いませんか?
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