自宅サーバーを粋に使いこなそう
自宅サーバーもグリーンIT
自宅サーバーを粋に使いこなすというテーマで忘れてはならないのが、グリーンITというコンセプトです。最新式のいわゆるグリーンIT対応サーバーを購入して使うことももちろんグリーンITですが、古いハードウエアを使って自宅サーバーを構築する方法でも、いくらでも環境に配慮したサーバーが構築できます。
例えば、サーバー本体は変えられずとも古いメモリやハードディスクを最新のものに入れ替えただけで消費電力が下がったという話をよく聞きますし、余分なメモリーやパーツが積まれていたら取り外すというのは、言うまでもなく消費電力節約につながります。また、ソフトウエア的にはCPUやハードディスクの稼働状況をこまめにコントロールして消費電力を極限まで落とすという方法もあります。
著者の場合、ノートPCからハードディスクを取り外しUSBメモリーにOSをインストールすることで低電力自宅サーバーを実現しています。
そして、最近話題の仮想化技術を使って複数台の自宅サーバーを1台に集約するということも、ある意味グリーンITと呼べるでしょう。自宅サーバーに常時まとまったサーバー負荷がかかるようなケースはまれでしょうから、ほとんど負荷の発生していない自宅サーバーを複数台稼働しているような環境では、極力自宅サーバーを集約して使うと環境にやさしいでしょう。
ただ、そもそも趣味の延長にすぎない自宅サーバーを立てること自体がグリーンITのコンセプトに逆行しているのでは……というご指摘を受ける気がしないでもないですが、各エンジニアがグリーンITを実現するためのノウハウを身につけるという点では有意義だと思います。
最後に
この度、3回にわたって自宅サーバーについて述べさせていただきました。サーバーを利用したことがあってもサーバーを実際に構築したことがある、もしくはサーバーOSはインストールしたことがあっても設定を厳密に行ったことがある、という人はそんなに多くないと思います。自宅サーバーというのはそういった人たちがサーバー構築の機会が得られる貴重な機会だと思っています。
自宅サーバーを使いこなせるようになるまでにはかなりの時間を費やさなければならず、ある程度のレベルに達するまでは自宅サーバーというのは面倒くさいことばかりで少しも便利ではないと感じるかもしれません。しかし逆に、ある程度のレベルに達することができると突然世の中が開けて見えてきて、自宅サーバーを使ってできないことは何もないのではないかというくらい自由な気持ちになれます。
ただし自宅サーバーをインターネット上に置く場合は社会的責任が伴います。その場合は最低限インターネット利用上のルールを守ることが重要です。いいかげんな設定のまま自宅サーバーをインターネット上に放置すると大勢の方々に迷惑をかける場合がありますので、自分が行っている設定を理解できるようになるまでは慎重に、慎重に設定を行うようにしましょう。
本連載では自宅サーバーの真の姿をお伝えしようとやや厳しいことを書きすぎた感がありますが、とはいえもし機会があればぜひそれらを乗り越えて自宅サーバーの世界に飛び込んでみていただきたいと思います。自宅サーバーの楽しさはきっとかけた時間と苦労の量に比例しますよ。