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社内の情報資産を最大限に活用するエンタープライズ・サーチ
第1回:エンタープライズ・サーチが求められる背景
著者:
アイ・ティ・アール 上村 陽子
2006/4/5
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エンタープライズ・サーチとは何か
このような状況を背景に、昨今エンタープライズ・サーチへの注目が高まっています。エンタープライズ・サーチとは、グループウェア/Webサイト/ファイルサーバ上のドキュメントなど企業内のあらゆるリソースに対して横断的に提供される検索サービスのことです。簡単に表現すれば、企業内部向けのYahoo!やGoogleといえるでしょう。
表2:検索サービス/一般的サーチ・エンジン/エンタープライズ・サーチの比較
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大表示します)
PC利用者の9割以上がYahoo!やGoogleなどの検索サービスを利用しており、その過半数が1日に5回以上利用しているとの調査結果があります(出典:インターネット白書2005)。検索サービスを利用してインターネット上の膨大な情報から必要な情報を探すという行為は、ビジネスにおいても日常の生活の場面においても、もはや一般的になっています。こういったサービスが企業内利用に応用されることは、自然な流れともいえるでしょう。
エンタープライズ・サーチエンジンといっても、検索の仕組みは基本的には一般的なポータルサイトの検索エンジンと同様です(図3)。検索対象として指定した範囲を巡回し、インデクサーがコンテンツの内容を分析した上でキーワードと該当データの位置情報をインデックスとして蓄積します。利用者は検索ウィンドウからキーワードを入力すると、該当する情報の一覧が表示されます。
図3:検索エンジンの基本的な仕組み
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
これまでも「グループウェア製品/文書管理製品に付随している」「社内ポータル構築時にサイトに組み込んで導入されている」形で検索機能自体は企業内に導入されています。
しかし多くの場合、検索対象は個別のリポジトリの範囲内であり、広範な情報を横断的に検索したいというニーズには対応していません。また個別に、ユーザが広い範囲を対象に情報を探したければ、それぞれのシステムを立ち上げて検索を行う必要がありました。
また、企業規模が大きくなればなるほど部門ごとに文書管理サーバが導入されるケースは多く、こういった情報は部門を超えて検索することが非常に困難です。部門横断的に情報を共有するために、すべてのコンテンツを1つのリポジトリへ統合することを検討する企業もあるようですが、現実的にはなかなか難しいようです。
エンタープライズ・サーチは既存のリポジトリをそのままに情報を探すアプローチであり、様々な場所/形式で情報を保管し、その情報量が増え続けているケースにおいて効果を発揮するものといえるでしょう。
検索の精度向上に向けて
インターネットの検索サービスと同様に、キーワード検索をした結果、大量の情報がヒットしまうというケースは当然考えられます。GoogleではWebページの被リンク数(あるWebページが他のWebページからどの程度リンクを貼られているか)をそのWebページの人気度に置き換えています。
Webページの人気度を検索結果の表示順序決定する際の判断に用いているように、単に検索結果を羅列するだけでなく、検索キーワードとの関連性の強さを判断して結果表示することも検索機能を利用する上で重要です。
また企業内のビジネス・コンテンツの場合、すべてを全従業員に開示してよいというわけではなく、コンテンツごとにアクセス制御が求められるケースは多々あります。こういった情報検索にともなうニーズに対して、エンタープライズ・サーチのテクノロジが進化してきたことも、昨今このテクノロジが注目を集めている背景の1つといえるでしょう。
第2回以降では、
エンタープライズ・サーチは企業にどのような価値をもたらすのか、検索の精度を高めるためにどのような工夫がなされているのか
ということについて述べたいと思います。
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著者プロフィール
株式会社アイ・ティ・アール シニア・アナリスト
上村 陽子(かみむら ようこ)
データウェアハウス、BI、CRM、コンテンツ管理分野の市場調査を担当する。慶応義塾大学理工学部卒業後、ユーザ企業の情報システム部門を経て、1999年より現職。
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第1回:エンタープライズ・サーチが求められる背景
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エンタープライズ・サーチとは何か