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IT基盤を刷新する レガシーマイグレーション入門
IT基盤を刷新する レガシーマイグレーション入門

第3回:Webシステム化によるサーバ統合で大幅コスト削減を実現
著者:新日鉄ソリューションズ   荒木 義史   2006/6/22
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メインフレームからではないマイグレーション

   2005年3月31日、MicrosoftによるVisual Basic 6.0のサポートは、完全にサポートされるメインストリームフェーズから、限定的なサポートしか得られない延長フェーズへと移行した。

   Microsoftの「Visual Basic 6.0ファミリ製品のライフ サイクル ガイドライン」によれば、メインストリームフェーズは、製品発売日より6年間と定められている。なぜ6年で終了するのかというと、一般的にソフトウェアの開発機能は大幅に向上し、これらの向上の多くは、製品の開発期間には予測またはテストされていないので、以前の開発ツールを使用して新しいソフトウェアやアプリケーションを開発しても、有意義なエクスペリエンスは得られないからとされている。

   つまりサポートが延長フェーズに突入したVisual Basicは技術面でレガシー製品と位置づけられたことを意味する(延長フェーズ自体も2008年3月31日で終了する)。

   今回はレガシー製品となったメインフレームではない事例として、多くの企業で使われているVisual Basicで作られたクライアントサーバ型システムから、.NET技術を利用してWebオンライン型システムへマイグレーションした事例を紹介する。


膨大なサーバ台数による保守運用コスト

   Visual Basicは高い操作性を持つGUIを手軽に構築できることから、パソコンの普及や安価なRDMS製品の普及とともに、企業の情報システムにクライアントサーバ型システムを定着させた製品である。

   今回事例として取り上げる大手生命保険のB社でも、基幹系業務システム(事務系システム)を営業拠点ごとにWindows NT 3.51ベースとした、Visual Basic、COBOLにBEA Tuxedo(注1)を使ったクライアントサーバ型システムで構築していた。

※注1:
分散トランザクション処理(OLTP)システムを構築するためのミドルウェア

   クライアントサーバ型システムは、ネットワーク上のDBサーバを直接読み書きするGUIアプリケーションを、エンドユーザの各クライアントPC上で動作させる形態のシステムである。基本的に各クライアントPCにアプリケーションをインストールする必要があり、バージョンアップ時などのアプリケーション配布にコストが発生する。

   B社の場合は営業拠点が1,400箇所あり、拠点ごとに置かれたサーバが配下のクライントからのデータを集計して日中に一定間隔でホストサーバへデータを送信し、ホストサーバはそれらを夜間バッチで処理していた。

   これは構築時点では拠点と高速接続するネットワーク費用が高価だったために取ったシステム形態であったが、配下のクライアントの管理を含めた保守・運用を考えると、1,400箇所に分散配置されたサーバは大きなコストとなってきていた。ブロードバンドの普及が加速しハードウェアの性能が向上したことで、B社はシステム形態をWebシステムとして再構築する開発に着手した。

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新日鉄ソリューションズ株式会社 荒木 義史
著者プロフィール
新日鉄ソリューションズ株式会社   荒木 義史
入社以来、製鉄所生産管理システムに対して、企画〜設計〜開発〜保守のソフトウェアライフサイクル全般に渡る業務に従事。現在は鉄鋼システムでの知見をもとにレガシーシステムを中心としたコンサルティング業務を担当。

INDEX
第3回:Webシステム化によるサーバ統合で大幅コスト削減を実現
メインフレームからではないマイグレーション
  Visual BasicのアーキテクチャをWebシステムに取り込む
  多角的な観点からの性能確保への取り組み