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| 企業通貨を活用したアライアンス事例 | ||||||||||||
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国内でも、すでに企業通貨の提携関係があらゆる企業間でできている。最近では、自社のポイントプログラムの魅力を増すために、他社ポイントとの交換を可能にするケースが多くなってきた。前回にも一部紹介したが、「自社顧客の囲い込み」も踏まえた企業通貨の提携である。なお提携には企業通貨同士の交換のほかに、自社サービス購入時の他社ポイントの付与(逆も同様)がある。 この企業通貨をめぐる提携は最近になって急速に広まっており、その中心にいるのが航空会社2社(JALとANA)である(図3)。 なお図3では主要企業のみを掲載したが、実際の各企業の提携を図にすると、回路図のように複雑怪奇なものになる。この提携の中でJALとANAは、他社の企業通貨からの交換(=流入)が主体であり、他社の企業通貨への交換(=流出)は、ほとんどない。つまり他社から自社の企業通貨に変えてもらい、この原資金をもらっているのである。またこの流入が主体という提携は、航空マイレージが販促ツールの価値がある「基軸通貨」であるからこそ成り立つモデルである。 第1回に示した通り航空業界以外のポイントの発行量は、携帯電話や家電量販店が多い。しかし付与元が限られており、交換先も前者は機種変更の端末など、後者は自社商品などが中心で閉じている場合が多い。 |
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| マイレージ以外の基軸通貨 | ||||||||||||
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「基軸通貨」となり得る提携という視点でみれば、カルチャーコンビニエンスストア(CCC)が運営するTSUTAYAの「Tポイント」がある。その狙いは、TSUTAYAのポイントプログラムを活用して、他社と共同で顧客囲い込みを行うことにある。 ポイント交換の参加企業は現在、カメラのキタムラ、コンビニエンスストアのローソンなど、1業種1社を基本とし30数社にまで増えている。例えば、ローソンは「Tポイント」を用いて消費者を呼び込むためのインセンティブと認識している。 消費者は同距離であればどのコンビニに行こうかと迷うが、「Tポイント」が付くことで迷ったらローソンに行くという送客効果があると見ているのである。こうした送客効果を考慮した場合、TSUTAYAの1,900万人という会員規模が大きな魅力となっている。 他にも楽天では、電子ショッピングモール「楽天市場」での買い物時に現金代わりに使える「楽天スーパーポイント」を展開している。これは「楽天市場」内の店舗共通の提携ポイントとも見ることができる。「楽天市場」以外の企業通貨の提携では、ANA、TSUTAYA、ローソンなどに限られており流入が主体である。ただし流入にしても、交換手続きが1〜2週間かかるなどの不便さがあり、現状では同じシステムが使えるグループ企業が中心になっている。 また会員は1,700万人を超えているものの航空会社のマイレージなどに比べ、一般の認知度は薄い。利用者はインターネットのヘビーユーザに限定されているのが現状で、インターネット外の「リアル取引」を中心としているユーザをどう取り込んでいけるかがカギとなる。 さらにポイントを集約して管理したいといった消費者のニーズに応え、他の提携企業が発行しているポイントを自社のポイントに交換する「ポイント交換サービス」を介した提携がある。 このサービスには、三井物産系のネットマイル、住友商事系のGポイントが代表格だ。クレジットカードや他の企業通貨との交換も可能にしており、企業通貨の「外貨交換所」のような存在である。 こうしたポイント交換サービスのモデルは、多くの企業通貨を扱うことで、その差益を収入源とするものである。しかし現状では、収入源が交換差益ではなく、広告収入に依存している。自分が持っているポイントがどのポイントと交換できるかを見に来る消費者の集客効果を広告収入につなげているのである。 |
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