SMB市場におけるグループウェアの導入実態

2006年2月13日(月)
伊嶋 謙二

グループウェアを活用することによるメリット

グループウェアを活用することによって、今まで多くの労力を要していた業務を減らすことができ、企業は最も力を注ぐべき業務に集中できる。社員は ルーチンワークに追われてノン・ルーチンワークに手がまわらないという状況を克服し、企業はコアコンピタンスを確認する。そういったように主要な業務に労 働力集中させるため、「情報の共有とドキュメント業務の効率化」を行う必要がある。そのために戦略的なIT活用するための、最もすぐれたソリューションが グループウェアなのだ。

そして、経営のスピードアップ化や企業内の業務の効率化を推進するグループウェアをうまく活用するには、「経営者が社内の業務プロセスを完全に把握し、組織を改革するという意識」をもって導入することが肝心である。

今のところは「LotusNotes」が優位だが、SMBでは「サイボウズ Office」が勢いを増す

図2.はSMBにおけるグループウェアのパッケージ利用しているシェアおよび利用意向シェアと評価を示したものである。まずシェアは、トップが 「LotusNotes」29.8%、2位が「サイボウズ Office」21.9%、3位が「Microsoft Exchange」14.4%となっている。
 

グループウェアのパッケージシェアと評価
図2:グループウェアのパッケージシェアと評価


次に評価を見てみたい。利用中のグループウェアについて「大変満足」「まあまあ満足」「どちらでもない」「多少不満がある」「大変不満である」のい ずれかを回答してもらい、前2者を足し合わせた割合で示されている。シェアが大きなものとして、最も高い評価を得ているのはシェア2位の「サイボウズ Office」の71.4%である。また、トップシェアの「LotusNotes」には半数強の55.5%が満足している状況だ。

利用意向シェアは評価の最も高い「サイボウズ Office」が28.6%でトップ、2位は「サイボウズガルーン」が22.2%、3位は「LotusNotes」13.8%となっている。

長年ノーク・リサーチの調査においてグループウェアのパッケージでのシェアにおいてトップの座に君臨してきた「LotusNotes」だが、評価の 高さと利用意向を見れば明らかなように、SMBでは「サイボウズ」が台頭しつつある。両者のシェアの順位がひっくり返るのも近いのではないか。

グループウェアの今後

グループウェアはその登場以来、いく度にも渡るバージョンアップが施されてきた。SMBにおいて6割強の導入率を得るようになり、その成熟度はかなり高まってきたといえるだろう。

ユーザも上手くグループウェアを使いこなすようになったことで、共有される情報の価値も高まってきていると思われる。ただ、共有される情報には外部に漏れたらコンプライアンス(法令順守)に反するような情報も含まれているかもしれない。

そういった情報への不正アクセスを防ぐためにアクセスコントロールを行う、共有・蓄積する情報は暗号化するなど、セキュリティ面については今後より一層強化していかなければならない。

この点がベンダーの手によってさらに洗練されれば、SMBユーザにもより一層グループウェアは浸透していくだろう。無駄なく社内情報の有効活用を望むSMBにとって、グループウェアが本来備えている豊かな機能がさらにユーザの購買意欲を高めるだろう。

次回は

最終回はOSS(Open Source Software)の代表格であるLinuxのSMBにおける導入状況を見ていく。

有限会社ノーク・リサーチ

1956年生まれ。1982年、株式会社矢野経済研究所入社。パソコン、PC(IA)サーバ、オフコンなどを プラットフォームとするビジネスコンピュータフィールドのマーケティングリサーチを担当。とくに中堅・中小企業市場とミッドレンジコンピュータ市場に関す るリサーチおよび分析、ITユーザの実態を的確につかむエキスパートアナリスト/コンサルタントとして活躍。1998年に独立し、ノーク・リサーチ社を設 立。IT市場に特化したリサーチ、コンサルティングを展開すると同時に、業界各誌への執筆活動も積極的に行っている。
ホームページ:http://www.norkresearch.co.jp/

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