中堅・中小企業におけるCRMの導入
はじめに
今回は、中堅・中小企業(以下、SMB)におけるCRM(Customer Relationship Management)とそれを構成するキーソリューションを紹介する。
- CTI(Computer Telephony Integration)
- SFA(Sales Force Automation)
- DWH(Data WareHouse)
CRMは「計画 → 調達 → 生産 → 販売 → 物流 → 保守/品質向上」といった一連の業務サイクルに基づいた効率的な営業活動を行い、顧客の声をくみ取って製品の品質向上を実現するという観点で重要な役割を持っている。
ほぼ成熟段階に入った現在の日本の製品市場において、顧客の製品を見る目はますますシビアになり、賢い顧客が増えてきている。こうした環境の中、企 業規模にかかわらず「いかに既存顧客を守りつつアップセル・クロスセルさせ、同時に新規顧客を獲得するか」という命題のもと、顧客資産を最大限に活用した 企業戦略のツールとしてCRMを選択するのは自然な流れだと思われる。
それにもかかわらず、第1回「SMB市場における新ITシステムの動向」で見たように、SMBのCRMへの投資優先度および導入率・導入意向はかなり低めであった。
今回はCRMの本来の役割を今一度確認することを本題に据えて、わずかではあるが、現段階でSMBに導入されているCRM/CTI/SFA/DWH のパッケージシェアをノーク・リサーチの調査結果から紹介する。そして、最後に今後のSMBにおけるCRM導入について展望していきたい。
CRMの本質は、ワンツーワンマーケティング
CRMを厳密にいえば、「顧客の満足度(CS:Customer Satisfaction)向上に軸足を置いて営業/販売/マーケティングなどの企業経営全体にわたるIT情報を、有機的かつリアルタイムに連携・活用す ることによって得られる戦略的情報システムコンセプト」といえるだろう。
CRMは、いわゆるフロントオフィスと呼ばれる顧客と直に接する営業やサービスなどを支援するシステムと同義であり、営業への支援/顧客対応を行う ヘルプデスク/客先でのモバイルコンピューティングツールなど、顧客データベースをもとにしてそれぞれが独自にシステムを構築している。
この独自に構築されたシステムとバックオフィスを連動させたものがCRMである。一元化された顧客データベースをもとにして現場の営業と財務・会計 や在庫管理などの基幹業務がリンクし、企業運営実面とデータ分析・解析による経営戦略を抱合できるようになる。そして、CRMの主要エレメントが CTI/SFA/DWHである。
何もCRMはことさら最近のコンセプトではなく、昔からの「商いの基本中の基本」がシステム化されたことに過ぎない。つまりCSを高めるために、企業が個々の顧客のために手厚い対応や気遣いをみせるやり方=ワンツーワンマーケティングを行うことになる。
次項からはCRMを構成する3つのキーソリューションを説明する。