SMB市場におけるSCMの導入実態
はじめに
中堅・中小企業(以下、SMB)は、導入しやすくて比較的早く効果が見えるようなITシステムの導入に積極的である。逆に今回紹介するような SCM(Supply Chain Management)といった、経営全般の見直しをはかり、売上拡大に繋げるといった企業戦略的なIT導入には消極的である。
多少、拡大解釈かも知れないが、次のようにSCMというソリューションの構成要素は多種多様である。
- SCP(Supply Chain Planning:時系列データに基づく需要予測)
- 物流管理
- 倉庫管理
- 在庫管理
- 店舗の実績データ管理を行うPOS(Point Of Sales)システム
- 資材管理(EDI:Electronic Data Interchangeなども含める)
- 購買管理
SMBはその企業規模から、自社が大企業をはじめとしたグループのサプライチェーンを構成する1要素となりがちである。またSCMの定義が複雑で曖 昧なため、SCMに対するイメージが漠然としているSMBユーザは多いのではないだろうか。自社で行っている事業が、結果的に「SCM的」なものになった という話もある。
第1回「SMB市場におけるITシステムの導入実態総論」 において、SCMのポイントは「工程管理の上でのコスト削減と在庫の減少を実現し、ERP(Enterprise Resource Planning)やCRM(Customer Relationship Management)と連携して、『計画 → 調達 → 生産 → 販売 → 物流 → 保守/品質向上』といった一連の業務サイクルを無駄なく効率的に形成すること」と、SCMの定義をコンパクトにまとめた。
今回はサプライチェーンの最適化を実現する上で、上記をコンパクトにまとめたSCMの定義に従い、SMBにおける導入率と今後の展望を紹介していきたい。
SMB向けSCMマーケットの現状の概観
「SMBはサプライチェーンの全体最適化を見直す必要性がないのか」「SMBにとってSCMソリューションは本当に必要なのか」そういわざるを得ないほど、SMB向けにSCMソリューションを提供するプレイヤーの姿が見当たらないのが現状だ。
ノーク・リサーチがSMB向けにSCMソリューションを提供するベンダーにヒアリングをしたところ、余りの商談の少なさに意気消沈していたところも あった。実際にSCMソリューションを提供するベンダーは大手外資系がメインであり、SMBにとって到底手の届かないような大企業向けの価格を設定してい る。こうしたSMB向けSCMマーケットの元気のなさをデータから考察していく。
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