デザインスキルを向上するには
連載第19回目です。いよいよ、本連載も大詰めとなります。これまで、デザインの基本について説明してきましたが、それをただ“知っている”だけではデザインスキルは身に付きません。“理解できたこと”と“上手に使えること”は全く違いますからね。
そこで今回は、“よいデザイン”ができるようになるために何をするべきか、自分のデザインスキルを向上させる練習方法について考えてみたいと思います。
普段からデザインを意識しよう!
まずは、意識から変えていきましょう。デザインは“意思”を持っています。世の中にある多くの“モノ”は何らかの目的をもってデザインされているので、“モノ”を目にしただけで“無意識のうちに”様々な情報を受け取り、“無意識のうちに”感情が動き、“無意識のうちに”行動してしまうのです。ある意味、操られているわけです。
そんな“無意識”の部分を少し変えて、“意識”して目を向けてみましょう。
「このデザインで何を伝えたいのか」
「この色は、どういう目的を持っているのだろう」
「自分が受けた印象は? それでどのように行動したくなったか」
そんなことを色々と考えながら“モノ”を見ることで、飛躍的にデザインスキルはアップするでしょう。
ファッションにも目を向ける
意識するものとしては、まずは身近な“ファッション”がお勧めです。
今、自分が身に着けている洋服はどうですか。何も意識せずに着ていませんか。何かしらの目的や狙いを意識してコーディネートしていますか。
自分のファッションに気を配っている人は、「今日は何をするか」「これから誰と会うか」「それにふさわしい洋服か」「素材や色合いは合っているか」などをいろいろと考えています。
毎日スーツを着る会社員でも、その日に大事な取引先との会食があれば、いつもより“パリッ”とした上質のスーツを着て行くでしょうし、会社帰りにデートする時には、行き先や相手のファッションに合わせたスーツを選ぶと思います。
「同じメンツとしか会わないし」と考えて、いつも同じスーツの“着たきり雀”になっていると、必要なときに目的が達成できなくなることもあるので注意が必要です。見栄えだけで相手に与える印象は大きく変わりますからね。
大事なプレゼンテーションの時もそう。服装が清潔できれいに着こなしている人からは“誠実さ”が伝わってきて、「この人になら任せても大丈夫!」と思ってもらいやすくなりますよね。
ファッションもプレゼンテーションツールの1つ。それは、デザイナーやスタイリストなど「クリエイティブ系」と言われる人たちだけの話ではなく、(一見ファッションと縁遠いと思われがちな)ITエンジニアの世界でも同じなんですね。
街に出て周囲のモノに目を向けよう
街にはデザインが溢れています。ブティックやレストランの正面玄関ファサード、ミュージカルや映画のポスター、お店の看板、街灯やベンチなど、あらゆるところにデザインが施されています。
普段なら見過ごしてしまう街中のサインや看板でさえ、意識して見るといかに見やすく、わかりやすく設計されているか気づくと思います。そのカラーやデザインが、そのエリアやモールの中でデザイン的に管理されていることがわかってきます。
例えば、いつもの派手な色合いのファーストフードのお店もあるエリアではモノトーンの看板になっていたり、コンビニの看板も建物のガラスの内側でシンプルに掲げられていたりしますからね。意識して目を向けることで、デザインの奥深さと幅の広さが理解できてくるでしょう。
「お、いいデザイン!」と思ったら、スマホで写真を撮ってストックしておくのもいいですよね。のちにプレゼンのイメージ資料として使えるかもしれませんよ。
街そのものにも目を向ける
それぞれの“街”には特徴があります。街によって集まるブランドやショップ、サービスなどが違いますよね。その街のコンセプトがサインやパブリックな建物、街灯、ストリートファニチャーなどを決め、街の世界観を彩っています。その街を訪れる人たちをターゲットにお店や品揃えも考えられています。観察すると、いろいろな情報の方向性とデザインの着地点がわかってくると思います。
テーマパークに行くのもいいですね。テーマパークは、名前のとおりあるテーマに基づいてデザインされていますから、世界観をコンパクトに知るのに向いているんですね。端的で分かりやすい例です。
まとめ
今回は、デザインスキルを向上するために、普段の生活から学び取ることの重要性を説明しました。街中でいろいろなモノを見て、例えば美しく感じないモノがあれば「なぜ(どこが)美しくないのか」「美しくするにはどうすればいいのか」を、ぜひ意識して考えてみるようにしましょう。
今回はここまでです。次回もお楽しみに!