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拡大していく情報端末、デザインの未来

2017年2月10日(金)
伊藤 博臣(いとう・ひろおみ)

連載第18回目です。今回は“ITエンジニア”と“デザイン”の未来について説明したいと思います。

デジタルデバイスに触れる時間の増加

今、私たちはちょっと前では考えられないほど“デジタルデバイス”に触れる時間が多くなっています。

スマホやタブレット、パソコンを触っているのは当然のこと、カーナビを使って車を運転し、電子レンジや洗濯機、テレビ、レコーダーからインターホンに至るまで、気が付けば様々なデジタルデバイスに触れているのではないでしょうか。

街に出てもビルには大型モニターを使った広告が表示されていますし、駅やバスターミナルなどのサインもほとんど電子表示になってきました。表示と通信にデジタル技術を活用した広告や案内表示を“デジタルサイネージ”と呼びますが、これからますます進歩していくと言われています。以前はちょっとした“インフォメーションボード”としての役割で情報を伝えるだけのものだったのですが、今や広告のポスター掲示やCMを映すなど活躍の場を広げています。

誰もが直感で思い通りに動かせる“操作性”

これだけ周囲に“デジタルデバイス”があふれ、また日々どんどん新しい製品が現れてくると、もはやこれまでのように「操作説明書を2時間ぐらい読み込んで、1週間操作練習をして……」といった“操作を習得する”ことを拒絶するようになると思います。

マニュアルを必要とせず直感で操作できるUIが増えてくれば、何かをしたい場合に「その前に……」とシステムの仕組みを覚えなければならないことはナンセンスになってくるでしょう。身近なところではiPhoneにも操作説明書は付いていませんよね。

人がシステムに近づいていく時代は終わり、システムが人に近づいていく時代が始まります。あいまい検索が普通になり、音声認識技術とAIを使えば優秀なコンシェルジェのような“解”を返してくれる。時代はもうそこまで来ているのです。

そういう時代では“操作しにくい”“操作がわからない”“説明書を熟読しないと使えない”“3日間の操作教育が必要”といったシステムが淘汰されていくことは間違いありません。

誰もが直感で操作できるUI設計。これが主流になるでしょう。

“楽しさ”や“誘引性”-エンターティメント

デジタルサイネージが進展すると“表現”が多様化し複雑になります。言葉だけではなくタイポグラフィ(文字)や色、写真なども駆使してデザインするからです。

複雑な表現ができるようになれば、当然その期待値も上がります。コンテンツとしてのわかりやすさは当然のこと、“楽しさ”や“誘引性”も求められるようになるでしょう。

デジタルサイネージやセルフオーダー端末の画面を見たお客さまに、「この料理が食べてみたいな」とか「ここでお洋服を見つけてみたい」と思ってもらわなければなりませんからね。

せっかく目に留まる機会があっても魅力的でなくスルーされたり、せっかく興味を持って操作してくれたのに、お客さまを案内する部分がわかりづらく、情報にたどりつけなかったりしたらどうでしょう。最悪、デジタルサイネージに起因して、その施設を嫌いになってしまうこともあるかもしれません。

しっかりとデザインして(良いシナリオを作り、良い演出をして)、システムを設計する段階でそれらの“表現”を考えていかなければならないと思います。

「え、なにこれ! すごーい! 面白い! ここに行ってみたい!」

お客さまをそんな気持ちにさせてこそ、デジタルサイネージが役割を果たしたと言えるでしょう。

ITエンジニアに必要なデザイン力の方向性

これだけデジタルデバイスに触れる機会、あるいは時間が多いということは、それらを開発する需要も多いということです。

“広告”だけだったらITエンジニアが関与する部分は少ないと思いますが、もともとレストランのメニューなどで見かけるセルフオーダー端末は、オーダリングシステムとしてITベンダから発売されています。外部設計の画面設計フェーズでUIを設計しているのです。

デジタルサイネージの分野でも、案内表示板やインフォメーションボードのような表示する情報がデータベースにあるものはITエンジニアがデザインを任されるようになってきました。だとすれば、今後は“広告”としてのデジタルサイネージにも関与するようになることは想像に難くありません。

こうした背景から、最近のUIはとても見やすくわかりやすくなっているのを感じます。「設計にデザイナーが介在しているな」と思うUIが多く出現していますね。地下鉄車内の行先案内や駅の電照看板もモニターで表示されてより視認しやすく、表現が多彩になってきました。ビルの窓に映るのも美しい。

デザイナーにITスキルが必要になってきたように、ITエンジニアにもデザインスキルが必要になってきており、いずれその垣根もなくなるのではないでしょうか。複数の専門分野が必要だとされている昨今、そのうちの1つがデザインスキルで、具体的には“直感的な操作性”と“楽しく人を惹きつける誘引性”、このあたりがこれからは必要になってくると思います。

今回はここまでです。次回もお楽しみに!

著者
伊藤 博臣(いとう・ひろおみ)

大阪芸術大学卒、大阪の制作プロダクションRECでグラフィックデザイナーとして勤務後、大手建材メーカー大建工業の広告宣伝部を経てフリーに。1997年広告機動隊を設立、広告・通販カタログ・ブランディングを中心にアートディレクターとしてクライアント企業の売上向上に努めている。

e-mail:h-ito@kidotai.com
URL:www.kidotai.com

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