100Gbitネットワークを高効率利用する新しい通信技術「LFTCP」発表
東京大学の平木研究グループ、WIDEプロジェクト、NTTコミュニケーションズらの研究チームは12月11日、100ギガビットネットワークを通信距離にかかわらず高効率利用するTCP通信技術、「LFTCP」の技術を確立したと発表した。
同チームはこれまで、10ギガビットネットワークを高効率で利用するためのTCP通信技術を確立し、広く用いられる技術的基礎を築いてきた。今回は、これを大幅に超える100ギガビットネットワークにおいて、その超高性能をフルに生かすための専用のプロトコルとして、新しく「LFTCP(Long Fat pipe TCP)ソフトウェアを開発し、技術を確立した。「LFTCP」は、プロトコルおよびソフトウェアを拡張することによって、TCPとしての性質を変えることなく、ネットワークを100ギガビットに対応可能とした。LFTCPはTCPプロトコルの性質を持つため、複数のTCPストリームでネットワークを共用する場合にも、公平な帯域注の分割利用が可能であり、パケットロスがあるネットワークにおいても信頼性を持ってデータを転送することが可能。
今回行った実証実験は、11月に利用が開始された、米国テキサス州オースチン市で開催されたSC15(スーパーコンピューティング2015)国際会議の展示場に設置された、2万1153kmのネットワークで結ばれた2台のPC間のデータ通信により実施された。このネットワークの往復遅延時間は296ミリ秒で、実験の結果、通常のTCPでは29ギガビット/秒のデータ通信速度しか得られなかったことに対し、LFTCPを用いると73ギガビット/秒の通信速度を達成した。これは、単一のTCP通信によるインターネット上の通信速度として従来の記録を破る世界最高値になるという。
同グループは今回の技術確立によって、TCPの理論限界の2倍を超えるデータ転送速度を実現し、100ギガビットネットワークおよび更に高速な将来の超高速インターネット利用に道が開かれたとしている。
(川原 龍人/びぎねっと)
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