Rational Team Concertのある生活~チーム・リーダーの1日

2010年11月2日(火)
渡邉 雄一宮城 豊

2.5 「ソース管理」の準備

<リーダー>
『プロジェクト・エリア、チーム・エリアも準備できたので、次に、成果物を格納する「ソース管理」の準備をしよう』(コラムC4参照)。

「ソース管理」は、主に開発者のための機能なので、Eclipseの画面例で示します。

1)プロジェクト用の「ストリーム」を作る

図8: 「ストリーム」「コンポーネント」の名前変更の例(クリックで拡大)


「プロジェクト・エリア」作成すると、ストリームは自動的に生成されます。この図は、ストリームの名前とコンポーネントの名前を変えている例です。

2)Javaベース構造を共用する

図9: Java プロジェクトの作成の例(1)(クリックで拡大)


ストリームに、開発環境(Eclipse)のJavaの構造を用意します。"Java"パースペクティブに切り替えて操作しています。

図10: Java プロジェクトの作成の例(2)(クリックで拡大)


これは、おなじみのJavaのプロジェクトの構造ですよね。

この状態は、まだローカル・ワークスペースの状態です。この後、RTCのソース管理に共用させて「提出」することで、ストリームに反映されます。

ここでさらに、「ベースライン」を引くという操作が必須です。なぜなら、「ストリーム」は直接操作するものではなく、「リポジトリ・ワークスペース」を操作・設定して、それを「ストリーム」に「提出」することで反映されるからです。「ベースライン」を引くことによって、「ストリーム」をメンバーで共有することが可能になります。

3)チーム用のストリームを作る

さらに、プロジェクト用に設定された「ベースライン」をもとに、チームの共有物を格納するための"チーム用の"「ストリーム」を作成します。

【コラムC4】「ソース管理」(構成管理)の内部論理構造

RTCの「ソース管理」を理解するためには、以下の3つを理解することが重要です。

1)「ストリーム」
メンバー各自の成果物を統合する、チームの成果物を置く場所です。バージョン管理されていますが、分岐の構造はありません。メンバーは、「リポジトリ・ワークスペース」と「ストリーム」との差分(チェンジ・セットと呼びます)を「受諾」「提出」することで、ほかのメンバーと協調して成果物を作成します。
2)「リポジトリ・ワークスペース」
メンバー各自の成果物を置く場所で、サーバー内に存在します。一般的には「ストリーム」と関連付けられていますが、独立したプライベートなリポジトリ・ワークスペースも作成可能で、メンバーの判断でいくつでも作成することができます。中身は、バージョン管理された「ローカル・ワークスペース」です。
3)「ローカル・ワークスペース」
(Eclipseの)ワークスペースを指します。メンバーのクライアントPC内に存在します。

図C-4-1: 「ソース管理」の図(クリックで拡大)


「ソース管理」のメカニズムは、一見すると複雑ですが、開発者の悩みを解決する仕掛けであることが分かります。

RTCが無い環境でEclipseの作業をチームのメンバーと共有しようとすると、各人のワークスペースをzipで固めて共有サーバーにアップロードしたり、メールの添付ファイルで送ったり、といった操作が必要でした。しかし、それを繰り返していると、同じような名前のゴミ・ファイルが共有サーバーを占有する、という問題がありました。

RTCでは、「リポジトリ・ワークスペース」を介してメンバーが「ローカル・ワークスペース」を共有できるので、開発者視点で使いやすいのです。

「ソース管理」には、これ以外に「コンポーネント」「ベースライン」という重要な用語がありますが、これらは次回に説明します。

株式会社SRA

産業開発統括本部 製造・組込システム部 コンサルティンググループに所属。
RDBアプリ開発、プリンタドライバ開発、ネットワーク設計・管理(動的経路制御)などを経て、近年は、ツールの導入・活用のコンサルテーションに従事している。最近の担当分野は、「構成管理」、「脆弱性診断」、「プロジェクト管理」など。仕事上の最近の興味は「組織プロセスとツール活用の効率化・最適解」。

株式会社SRA

産業開発統括本部 製造・組込システム部 コンサルティンググループに所属。
1982年SRA関連会社より1986年SRAに。約10年間業務アプリ・エミュレータ等の開発に従事、以降現在まで、ツール導入・活用のコンサルテーション業務に従事する。Rational 製品のPurifyとは17年来の付き合い。最近メタボ体策で、知らない町をぶらぶら散歩し、道に迷う事に喜びを覚えている。

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