そもそも情報漏えいはなぜ起こるのか
暗号化のススメ
それでは、業務に支障をきたすことなく、企業の知的財産である情報の漏えいを効率よく防ぐ方法はあるのでしょうか。実は、意外なところに答えがあります。発想を転換し、「情報漏えいを防ぐために手を打つ」のではなく「外部にデータは流出するもの」という前提に立ち、「情報が漏えいしても問題無い」方法を考えればよいのです。
「情報が漏えいしても大丈夫=外部流出した情報を部外者が読めない」状態にできれば、問題は発生しません。つまり、漏えいしたことにはならないのです。まず企業の知的財産である情報(ファイル)を「暗号化」することが、最適な解決方法です。
実際に、経済産業省が発表した『個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドライン』には、以下の文言が記載されています。
2-2-3-2 安全管理措置
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図4: 総務省と経済産業省が電子政府向けに推奨している暗号のリスト(クリックで拡大) |
しかし、これらに準拠した暗号化製品を導入すれば、すべてが解決する、というわけではありません。前述のように、これだけの強固なセキュリティを施した場合、実務上の問題は別の問題として発生してしまいます。暗号化したファイルを読める(見える)人と、暗号化の環境を管理する必要があるからです。誰でも読める(見える)のであれば、暗号化の意味はありません。ファイル作成者自身や、ファイルを閲覧(利用)できる人を制限するのであれば、その管理は、確実に行わなければなりません。
次回は、企業の実務を具体例に、さまざまなシーンでの暗号化の可能性について解説します。