ロボットをスムーズに走らせるシステム制御
2011年6月27日(月)
はじめてのモデル
- [吉田]でもさ、技術教育1ってことは技術教育2とか3もあるのかな?
- [舟元]ETロボコンに参加すると色んな教育セミナーに参加できるんだよ。懇親会もあるんだ。
ETロボコンの教育コンテンツ
ETロボコンでは、開発に必要となる要素技術や、モデリングについて様々な教育セミナーを設けています。コンテスト参加者を対象に全国共通に行われる、「技術教育1」、「技術教育2」を始め、各地区大会ごと独自に企画されるセミナーや勉強会、技術相談会なども活発に開催されています。
図4:ETロボコンの教育コンテンツ |
5月の下旬に金沢で「ETロボコン北陸地区技術教育1」が開催され、私たちもモデリング入門のワークショップに参加してきました。 そこには北陸三県からETロボコンに出場する企業・大学のチームが集まり、各チームの進み具合など意見交換も出来ました。運営の人たちにも色々質問できました。
- [吉田]朝から夕方までみっちりだったね~。知らなかった事ばかりで頭を使ったせいか、知恵熱が出たよ。午前中の要素技術の説明はセンサー、モーターの特性や倒立振子ライブラリの説明まであって濃かったね。テスト用のコースも貰っちゃったし。
- [舟元]エンディアンの説明まであったよ。みんな熱心に聞いていたね。
- [吉田]ああ、ガリバーの話ね!
- [舟元]ガリバーは置いといて、午後からのモデルは分かった?
- [吉田]うーん。細かいところまで理解ができたかは???だけど、モデリングの必要性や内容はだいたい呑み込めた気がする!
- [舟元]じゃあ、忘れないうちに教わったことを整理してみようか。
モデリング
- モデルって?
- ソフトウエアのモデルとはソフトウエアの内容を単純化して説明したものです。
- モデルはソフトウエアの世界だけのものではありません(制御モデル、分子モデルなど)。
- モデリングの目的
- 対象システムで何を実現しようとしているのかを事前に明確にして検討します。
- どのように実現しようとしているのかを拡張性などを考慮しながら明確にして検討します。次のような観点で検討していきます。
- 機能
- 構造
- 振る舞い
- ソフトウエアのモデリングでよく使われる手法
- オブジェクト指向
- 構造化手法
- ソフトウエアのモデリングでよく使われるダイアグラム
- 機能 : ユースケース図、 コンテキスト図、DFD
- 構造 : クラス図、オブジェクト図
- 振る舞い : ステートマシン図、シーケンス図、コミュニケーション図、状態図
- [吉田]モデルを使うと、どういう機能を持ったソフトウエアなのか、どういう構造なのか、どういう振る舞いをするのかが分かり易くなって検討もしやすいんだね。でも、色んな手法やダイアグラムがあるね。しっかり身につけないと間違えた見方をしちゃいそう。最近はオブジェクト指向が使われることが多いのかな?
- [舟元]オブジェクト指向でUMLというモデリング言語を使って記述されることが多いって講師の方も言っていたね。でも、先輩によると、実際の組み込み現場では適材適所に使われることも多いんだってさ。
- [吉田]内容に応じて分かりやすく表現・把握できる手法やモデリング言語を使うって事だね。
- [舟元]そうそう。その辺が肝だよね。特に組み込みシステムの場合は、「機械屋さん」、「電気屋さん」、「制御屋さん」など色んなプレーヤがいるから、意思疎通も難しくなってきているんだ。適切なモデルを使うとシステムを分かりやすく表現出来るから、プレーヤー間の意思疎通もしやすくなるんだ。最近話題の機能安全でもモデルを使った表記を推奨しているんだ。
- [吉田]へー。じゃあ、私たちが作ったライントレースシステムもモデルで書いたら、事前に内容も把握出来て検討できるってことだね。先輩達からも意見もらえそうだね、良いよね!
- [舟元]だね、次回はそこからやってみようか。
- [吉田]分かった。キレキレで分かりやすいモデル書いちゃうぞ!
今回のまとめ
- [吉田]今回は制御理論のひとつ、古典制御のPID制御を学びました。また、ETロボコンの技術教育1に参加してモデリングについて学習しました。まとめると・・・
- 制御について
- 制御にはON/OFF制御やPID制御など色々な方式がある。
- PID制御は目標値と実際の値の誤差に応じた操作量でシステムを制御することで狙い通りの制御をしやすい。
- モデリングについて
- 色んな世界のモデルがある。
- ソフトウエアのモデルはソフトウエアの内容を単純化して説明したもの。
- モデリング手法やダイアグラムがいっぱいある。
- 最近はオブジェクト指向、UMLでのモデリングが多い。
- 機能、構造、振る舞いの観点で検討していく。
次回はモデリングの実践にチャレンジして行きたいと思います。
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