クラウドのサービス継続性を確保するために必要なパフォーマンスとは?
ハイブリッドクラウドの柔軟性
ITの環境は、ユーザーの追加や新しいアプリケーションの導入といったように日々変化があります。この変化の繰り返しにより、既存のネットワークインフラを圧迫する危険性が徐々に高まっていると言えます。クラウドコンピューティングでは、多種多様の環境がこれまでのネットワークに加わってきますが、その中でもハイブリッドクラウド環境で特徴的な変更点は、取り扱いデータ量の急激な増加と新しいアプリケーションの開発&導入の2つです。
データ量の増加
データ量の増加は、企業のハイブリッドクラウドのインフラに対して複雑性とコストという負荷を生んでいます。とりわけ、企業で定めてあるバックアップウィンドウ(バックアップ目標完了時間)やリカバリ・ポイント・オブジェクティブ(目標復旧時点)に準拠する事が問題となる事があります。WAN高速化装置であるSteelheadを利用すると、データの重複除外技術により、帯域利用率を65%~95%削減できるため、データ量の増加に関わるコストを削減する事が出来ます。従来のデータ保護技術であったテープバックアップや複製技術は、データ量の増加とコストの問題に現在直面しています。
RiverbedのWhitewaterは、クラウド・ストレージ・ゲートウェイとして機能し、ネットワークとストレージの重複除外をバックアップやアーカイブに適用し、平均10倍から30倍ストレージの利用率を削減し、従来のストレージのTCOを大幅に削減できるクラウドストレージの利用を有効化します。クラウドストレージを利用する事により、データ量の増加から発生するコスト問題の緩和に役立つと考えられるのです。
新しいアプリケーション
クラウドサービスの利用拡大に伴い、新しいアプリケーション利用が促進され、結果的にネットワークのコネクションを増加させてしまい、通信に影響を及ぼす可能性があります。この解決方法の一つとして、QoS(Quality of Service、クオリティ・オブ・サービス)技術があります。管理者はビジネス上の要求に沿って、既存アプリケーションや新しいアプリケーションに対して優先制御が出来ます。また、サービスの継続性を考慮した場合、新しく導入するアプリケーションをより本番に近い環境でテストする事が重要です。
このような時は、Stingray Traffic Managerのような、開発環境やテスト環境、そして本番環境へ簡単に移行できる、ソフトウェアベースのロードバランサー(ADC)が効果的です。
ハイブリッドクラウドの弾力性
ディザスタリカバリと事業継続は、最も重要なITプロジェクトとして考えられています。ダウンタイムの時間が長ければ長い程、機会損失のコストは大きくなるからです。ビジネス側の要件として、グローバル展開や、無停止稼働という条件が近年増えています。このような要求は、データ保護のシステムを複雑にしています。 停電や災害発生時の対策として、アプリケーションやデータが何処にあっても合理的なデータ保護を実現しておくため、ディザスタリカバリの準備をしっかりと行い、ビジネスの継続性を確保しておく必要があります。
データ保護
まずハイブリッドクラウドの弾力性を確保するために重要なのは、データがデータセンターからセカンダリー拠点へ正しくバックアップできているかを確認する事です。データ保護のためのバックアップは、WAN高速化装置のSteelheadであればパブリックからプライベートクラウド間のストレージのレプリケーションを最大95% 必要帯域を削減できます。Steelheadを利用するとデータのレプリケーションが早く終了するだけではなく、QoSの技術を併用して、他のリソースを利用しているアプリケーションアクセスへの影響がないように制御する事が出来ます。
また、Whitewaterは、クラウドストレージへのバックアップやレプリケーションの利用を簡単にするだけではなく、データの高速化や暗号化、重複排除を行います。そして、Cascadeを利用する事により、データ保護のプロセスをモニタリングする事が出来るのです。 挙動(ビヘイビア)解析の技術により、IT管理者へバックアップ手順のアノマリをアラートする事が出来ます。
ディザスタリカバリ
ハイブリッドクラウドの弾力性を確保するために重要な2つ目の対策は、サイト全域が停止したとしても、機会損失やデータの損失を最小限に留めるため、迅速に復旧できるようにしておく事です。データ保護を合理的に実施するため、オフサイトのストレージ利用、セカンダリーのデータセンターや、パブリッククラウドのデータセンターへのデータ移行を行う場合、Riverbedのソリューションではディザスタリカバリの能力を改善する事が出来ます。レプリケーションを高速に行えれば、バックアップの頻度の増加やリカバリ・ポイント・オブジェクティブ(RPO)の改善、セカンダリーのプライベートデータセンター、またはパブリッククラウドストレージからの復旧を高速化し、リカバリ・タイム・オブジェクティブ(RTO)を大幅に改善する事が可能です。
事業継続
ハイブリッドクラウドの弾力性を確保するために必要な最後の対策は、円滑にサービスが継続される事です。Stingrayのようなロードバランサーを利用すると内部や外部のユーザーからのアクセスを、利用できない故障中のサーバーからサービス提供可能なサーバーへと経路を変更する事が出来ます。Steelhead Mobileのようなクライアント・ソフトウェアのWAN高速化技術を利用する事により、施設閉鎖の際も在宅環境や臨時拠点からのアプリケーションやファイル等へのアクセスを高速化する事により、生産性を確保できます。
図3:WAN最適化装置でのDRとクラウドストレージのバックアップ利用を有効化(クリックで拡大) |
まとめ
ハイブリッドクラウドでは、コスト削減、利益と生産性の向上、リスク管理を求める企業や組織に対し、パブリッククラウドやプライベートクラウドのリソースを自由に選択できるようにします。
ハイブリッドクラウドでパフォーマンスを確保するためには、プランニング、移行、サービス提供というそれぞれのフェーズで考慮しておかなければいけないいくつかの課題があります。
最後にこれらについて紹介させて頂き、本連載の締めくくりにしたいと思います。
ITプランニングでは、既存システムの相関関係とネットワーク状況の把握が重要
大きなITプロジェクトである、IT統合やクラウド導入では、共通する事が一つあります。それはネットワークで何が稼働しているかを把握する事です。ITプロジェクトで現状を把握するための作業は多くの時間が必要で、且つコストがかかり、間違いを起こしやすく、数ヶ月間ネットワークをスキャンしながら、相関関係や資産リストを作成する事があります。
数台のサーバーをパブリッククラウドへ統合する場合や、全てのデータセンターをプライベートクラウドモデルへ移行するとしても、RiverbedのCascadeソリューションでは規模に関係無く、想定したコスト削減を早期に実現し、システムの停止や移行の失敗リスクを削減できます。数時間で全システムの検出とサーバーとクライアントの相関関係と位置情報を把握し、情報をインタラクティブな形態で図化する事が出来ます。
最適化によりハイブリッドクラウドの移行、パフォーマンスと拡張性を有効化
パフォーマンスを確保しながら、プライベートとパブリックのITインフラの間に、さらなるスピードと合理性を合わせ持った橋を架けるには、ネットワークの最適化やWEBコンテンツの最適化、アプリケーション配信の最適化が必要です。
Riverbedのハイブリッドクラウドソリューションは、企業のプライベートデータセンターと複数のクラウドサービスプロバイダー間の、リソースの移行を高速化する事で、生産性を向上し、必要な場所へ距離に関係無く、必要容量やコストを削減しながらシステム構成を導入できます。
可用性、柔軟性、弾力性によるサービスの継続配信
サービスの提供が、プライベートクラウドデータセンターとパブリッククラウドのどちらから実施されていたとしても、ITの部署は企業内のサービスプロバイダー的な位置付けになります。
Riverbedのハイブリッドクラウドソリューションは、ITサービスの可用性やデータ保護やディザスタリカバリの取り組みに対して、SLAやRPO、RTOを簡単にモニタリングし、目標を達成する事が出来ます。同時に、分析や障害解析を簡単にし、バックアップや復旧の高速化、クラウドストレージ利用もの暗号化、重複排除を適用する事が出来ます。
自社のデータセンターや、複数のクラウドサービスプロバイダーを利用したとしても、最善のリソースバランスを提供します。現在の要求に応えながら、将来的に必要となるサービスの枠踏みを作成しておくためにも、クラウドのモデルに対応したパフォーマンスを発揮できるネットワーク環境を持っておく事が重要です。
<編集部より> 図3の画像が間違っていたため、修正しました。本文中に誤りがあったこと、お詫び申し上げます。(2012.2.22)
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