クラウド環境に最適なハイパーバイザー Citrix XenServer

2011年8月4日(木)
北瀬 公彦

クラウドの活用

サーバー仮想化からプライベートクラウド、そしてハイブリッドクラウドモデルへ

サーバー仮想化とプライベートクラウドとは何が違うのだろうか。

明確な答えはないが、このように考える。コスト削減のために、多くの企業はサーバー統合に取り組んだ。例えば、ハードウエアリソースの有効活用、設置スペースや消費電力の削減、システム運用管理戸数の削減などにより、コスト削減ができると見込んだわけである。

結果、かなりの効果はあったが、副産物として仮想マシンが増大し、その管理のためのコストを考慮する必要が出てくるなどの、今までは見えてなかったコストも発生した。そこで企業は、さらにコストを削減する方法として、仮想環境の自動化、リソースのさらなる有効活用、ハイパーバイザーにかかるコストの削減、ワークフローの簡素化などを考慮する事になった。

例えば、多くの企業では、複数のハイパーバイザーを既に利用し、ハイパーバイザーにかかるコスト削減、利用形態による使い分けなどを行っている(前述のクラウドの使い分けと同じ)。また、最近ではそういった複数のハイパーバイザーを管理し、仮想サーバーの管理を自動化するようなプライベートクラウド管理製品なども多く出てきている。他にも、そのサーバーの特性に応じて、パブリッククラウド、プライベートクラウドと選択肢がある。どちらにも得手不得手があり、使い分けているユーザーもかなり増えてきたように思う。

図1:レガシーシステムからクラウドへの進化の過程

複数のパブリッククラウドを使い分けている例として、ある企業では、ウェブサーバーはAmazon Web Service(AWS)で運用し、データベースサーバーを米SoftLayer社※1 のクラウドで運用している。また、プライベートとパブリッククラウドを使い分けている例としては、米Zynga社がその最たる例である。米Zynga社は、Facebook上のゲームアプリケーションを開発している世界最大手のゲーム会社である。最も人気のあるゲームユーザー数は数億といわれる。

そのゲームを動かすサーバーの運用において、パブリッククラウド(AWS)と、同社のプライベートクラウド(Z Cloud)の2つを使い分けている。初めて発表するゲームに関しては、どのような負荷がかかるか未知数なため、一時的にVMを簡単に増やす事が可能なAWS上で運用を行う。そしてある程度ゲームの負荷状況などが分かってくると(例えば、どういったユーザーが、どの時間帯、何曜日にアクセスするかなど)、運用コストを抑えるために、そのサーバーを自社のプライベートクラウドに移行する。また、開発中のゲームに関しては負荷予測が可能なため、プライベートクラウドで運用している。

このように、コストの観点から(初期投資コスト、運用コスト)と、サーバーの特性の観点から判断し、複数のクラウドを組み合わせて運用する企業が今後さらに増えていくであろう。

[※1] SoftLayer: 米国の大手クラウドサービスプロバイダー

図2:オンプレミスとクラウド向き、それぞれのワークロード

ハイブリッドクラウドを構築する際の課題

そんな万能とも見えるハイブリッドクラウドもだが、課題がないわけではない。考えうる課題をリストしてみた。

  • ハイパーバイザーの違い
    Citrix XenServer / Hyper-V / VMware / KVMなど
  • クラウドの違い
    Amazon Web Service / Rackspace / SoftLayerなど
  • 場所の違い
    地理的場所 / ネットワークパフォーマンス
  • IDの違い
    増え続けるIDの管理
CloudStack Day Japan 2014実行委員

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