ネットワーク層の機能(前編)―パケット転送時の役割―

2014年12月15日(月)

ネットワーク層のルーティングにLANとWANはどのように使用されるか

ネットワーク層のルーティング処理では、物理的な送信の詳細には関知しないものの、やはりビットを送信しなければなりません。データを物理的に送信するためには、ホストまたはルータのネットワーク層のルーティング処理でパケットをデータリンク層のプロトコルに渡す必要があります。そうすると、そのデータリンク層のプロトコルが物理層に実際のデータ送信を命じます。具体的には、データリンク層はパケットに適切なヘッダーとトレーラを追加してフレームを作成した後、そのフレームを各物理ネットワーク経由で送信します。

ルーティングプロセスでは、ネットワーク層のパケットがネットワーク経由で送信元から宛先まで転送されますが、各データリンクフレームは宛先までの転送処理の一部を請け負うだけです。データリンク層のフレームは、ネットワーク層の処理を行う次のデバイスにパケットを順番に移動させます。つまり、ネットワーク層がこのプロセスを「このパケットを指定された次のデバイスに送信する」のような大きな視点で捉えるのに対し、データリンク層は「パケットをデータリンクフレームにカプセル化して送信する」のような細かい視点で捉えます。図2は、図1と同じ例に、各デバイスの主なカプセル化のプロセスを追加したものです。

ネットワーク層とデータリンク層のカプセル化

図2: ネットワーク層とデータリンク層のカプセル化

ルータが新しいデータリンクヘッダーおよびトレーラを構築することと、新しいヘッダーにデータリンクアドレスが含まれることを考えると、PCとルータには使用するデータリンクアドレスを決定するための何らかの方法が必要です。ルータが使用するデータリンクアドレスを決定する方法の1つに、IP ARP(Address Resolution Protocol)があります。ARPはLANに接続されたIPホストのデータリンクアドレスを動的に学習します。たとえば、図2の一番下にある最後のステップでは、ルータR3がARPを使ってPC2のMACアドレスを学習した後、パケットをPC2に送信します。

ルーティングに関するここまでの説明は、主に次の2つの概念に基づいています。

  • ルーティングプロセスでは、パケットに宛先として含まれているレイヤ3アドレスに基づいて、レイヤ3パケット(L3PDU)を転送する。
  • ルーティングプロセスでは、データリンク層を使ってレイヤ3パケットをレイヤ2フレームにカプセル化し、一連のデータリンク経由で送信する。
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