この連載では、Cisco CCENT/CCNAの資格試験対策とするために、Cisco Press公式ガイドブックに掲載されている例題を抜粋し、その例題の解答について解説を行っています。今回はIPv4のサブネット化に関する基本的な事柄について説明します。IPv4のサブネット化とは、ネットワークを複数に分割して、それぞれのネットワークにIPアドレスを割り当てる方法です。
■IPv4アドレッシングとサブネット
まず、IPv4アドレッシングとサブネットの要件に関する例題を以下に示します。
※問題2と3は『シスコ技術者認定試験 公式ガイドブック Cisco CCENT/CCNA ICND1 100-101J』 p.304より抜粋。
●ホストに必要なビット数
ネットワークをサブネット化する際には、サブネット内に最大いくつのホストやデバイスが接続することになるのかを調べる必要があります。サブネットごとにホスト数が違う場合は、ホスト数が最大となるサブネットについて調べます。スイッチのIPアドレスやルータのインターフェイスにつけるIPアドレスもホストのアドレスとして数えます。そのホスト数を基にして、ホストビットに必要なビット数を決定します。
例えば、サブネット内に50のホストが接続される場合、25=32 6=64 ですから6ビットあればサブネットの内の各ホストに個別のアドレスを割り当てることができます。よって、ホストビットとして6ビット以上必要です。
●サブネット番号とブロードキャストアドレス
ここで注意する必要があるのがサブネット番号とブロードキャストアドレスです。各サブネットの先頭のアドレスはサブネット番号、最後のアドレスはブロードキャストアドレスとして予約されており、ホストに割り当てることはできないため、利用可能なIPアドレスが2つ少なくなります。例えばホストビット数が6ビットの場合、次の表のようになります。
| 2進数表記 |
利用用途 |
| 000000 |
サブネット番号 |
| 000001 ~ 111110 |
ホストに割り当て可能 |
| 111111 |
ブロードキャストアドレス |
よって、サブネット内に50のホストが接続される場合、正確には 25-2=30 6-2=62 なので、ホストビットには6ビット以上必要、と計算しなければなりません。この「-2」を忘れないよう注意しましょう。
●サブネットに必要なビット数
次に、サブネットを割り当てるために何ビットが必要かを決定します。これはいくつのサブネットが必要になるかを調べ、ホストと同様にビット数を計算します。ホストの場合におけるサブネット番号やブロードキャストアドレスのように予約されているアドレスはないので、「-2」する必要はありません。
例えば、8つのサブネットが必要であれば 23 = 8 なので3ビット以上、31のサブネットが必要であれば 24=16 5=32 なので5ビット以上必要、となります。
●例題の読み解き
例題2はホストビット数を計算する際の「-2」の意味について問われているので、正解はdです。cも正解のように見えるかもしれませんが、デフォルトゲートウェイ(ルータ)もホストのアドレスとして数えるため、予約されるべきアドレスとは異なります。
例題3は、サブネットの数、サブネット内のホスト数からそれぞれに何ビットが必要なのかを計算する問題です。クラスBをサブネット化しているので、ネットワークは16ビットのまま変化はありません。IPv4アドレスは全部で32ビットなので、残り16ビットをサブネットビットとホストビットに分割します。サブネットの数、サブネット内のホスト数が100ですから、26=64 7=128なので、それぞれ7ビット以上が必要と分かります。「-2」しても結果は同じ7ビットですね。
よって、16ビットをサブネットビット、ホストビットともに7ビット以上になるよう分割しているbとcの2つが正解です。aもサブネットとホストともに7ビットなので要件を満たしているように見えますが、合計が30ビットしかないので間違いです。dはネットワークのビット数が変わっているので間違いです。