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クラウド向け分散データベースの事例

2009年9月11日(金)
藤田 昭人

おわりに

 今回はクラウド向け分散データベースの事例として典型的な事例であるGoogle BigTableとAmazon Dynamoの2つを取り上げました。両者の設計思想の違いを見ていると、クラウドコンピューティングの今後の大きな2つの流れがおぼろげに見えてくるように筆者は感じています。

 これまでGoogleは一貫して既存のデータを大量に収集・蓄積・解析を行うことによる新たな価値の創造を提示してきました。BigTableはこのような活動を支える基盤技術であり、情報処理の規模拡大を指向していることが見て取れます。その取り組みはコンピューティングの可能性を大きく拡大する試みであり、それ故に彼らの活動はこれまでも常に大きな注目を集めて来ました。

 もちろんクラウドコンピューティングの1つの方向性を指し示すものであることは間違いないものの、Googleが唯一無二の存在になりつつある現状を考えると、今後ビジネス的にも一定の成功を収められるフォロワーもなかなか出現しないのが現実ではないでしょうか。

今後のクラウドコンピューティングのトレンドは?

 もう一方の雄であるAmazonは、クラウドコンピューティングをスケールメリットに結びつける現実的なアプローチを取っているように見えます。技術的には既存のITシステムをクラウド環境に移し変えることに努力しているように見えるDynamoは、その最たる事例の1つでしょう。Googleのような革新性はあまり見られませんが、世の多くの需要を喚起し多数のフォロワーを生み出しつつあります。Amazon EC2/S3の成功はこれが顕在化した事象とも理解できます。

 現在のクラウドコンピューティングのトレンドは上記2社の方向性によってけん引されているというのが筆者の実感ですが、クラウドビジネスに名乗りを上げている多くのメジャープレーヤーは、どちらかというとAmazonのベクトルに引き寄せられているように感じます。一方、コンシューマーベースでは、Googleは依然として強い支持を得ているように見えます。

 案外、両者のベクトルの中間に位置する試みが今後のクラウドコンピューティングをけん引するのかもしれません。これから出現するであろう分散データベースの事例を注意深く見ていると、今後のクラウドコンピューティングのトレンドも見えて来るのではないかと思ったりしているところです。

【参考文献】
The Chubby Lock Service for Loosely-Coupled Distributed Systems(http://labs.google.com/papers/chubby.html)(アクセス:2009.09)

株式会社IIJイノベーションインスティテュート
2006年大阪市立大学創造都市研究科修士課程修了(社会人大学院)。2008年 IIJ Innovation Institute の第1回技術開発公募によりIIJ-IIに参画。以降、構造化オーバーレイ技術による大規模分散システムの研究開発を行い、クラウド・コンピューティング分野での事業化を推進している。

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