Webサービスの基本
Webサービスとは?
今回から4回に亘って、「RESTなWebサービスの利用/開発」と題して連載します。Webサービスの基本的な仕組みや、Webサービスを利用するアプリケーションの作り方、またWebサービスそのものの作り方などの基本を紹介します。今回は、Webサービスの基本的な仕組みについて紹介します。
インターネットが一般に広く使われるようになるにつれて、インターネットを活用したシステムやサービスが増えてきました。中でも、Webはインターネットの中心的存在で、Webを使ったシステムやサービスは飛躍的に進化してきました。
Webの活用形態の1つとして、2000年代初めごろに「Webサービス」(Web Service)が登場しました。Webサービスとは、大まかにいえば、Webの通信の仕組みを利用して、コンピュータ同士でさまざまなデータをやり取りし、分散処理を行うシステムです。
Webサービスは、出始めたころはイメージが先行して、かなり期待を集めたことがありました。その後は、当初期待されたほどの普及には至っていませんが、着々と利用が広がっています。
現在では、大量のデータを蓄積している業者が、そのデータをWebサービスの形で、一般のユーザーやプログラマーに提供している事例が多くなっています。
例えば、ショッピング・サイトのAmazon.comでは、「Product Advertising API」というWebサービスを提供しています。このWebサービスを使うと、Amazon.comで扱っている商品を検索したり、ショッピング・カートを操作したりといった機能を、オリジナルのアプリケーションに組み込むことができます。
Amazon.comのほかにも、Web関係の大手企業などから、さまざまなWebサービスが提供されています(図1-1)。
WebサービスとHTTP
先ほど、「WebサービスはWebの通信の仕組みを利用している」と述べました。従って、Webサービスを利用/開発するためには、その「通信の仕組み」についての知識が必要になります。
通信手順の取り決めのことを、「プロトコル」(Protocol)と呼びます。Webの世界では、「HTTP」(HyperText Transfer Protocol)というプロトコルで、通信が行われています。
HTTPは、WebブラウザなどのクライアントがWebサーバーにデータを要求し、それにWebサーバーが答える、という形のプロトコルです。例えば、Webブラウザが、「http://○○○.com/index.html」のようなアドレスにアクセスする場合、以下の手順で通信が行われます(図1-2)。
(1)Webブラウザは、「○○○.com」のWebサーバーに接続します(サーバーは接続を受け付けます)。
(2)Webブラウザは、Webサーバーに対して「GET /index.html」という命令(メソッド)を送ります。
(3)Webサーバーは、(2)の命令に反応して、「index.html」の内容と、付随的な情報を、Webブラウザに送信します。
(4)Webブラウザは、Webサーバーから送られてきた内容を受信し、解析して、Webページとして画面に表示します。
上の例では、「GET」というメソッドを取り上げました。WebブラウザがWebサーバーにアクセスする際には、GETメソッドが使われる機会が多いです。また、フォームの送信などの際には、「POST」というメソッドも使われます。
さらに、HTTPでは「HEAD」「PUT」「DELETE」など、いくつかのメソッドが定義されています。
次ページからは、Webサービスの例をいくつか紹介しながら、RESTの特徴や、よりシンプルにWebサービスを使う試みについて解説します。