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世界を悩ます「ゴミ問題」はIoT活用で「ビジネスチャンス」に変化する

2016年9月1日(木)
ReadWrite Japan

専門家の予測では、2020年までに500億ものコネクテッドデバイスが世に出回るという。さて、IoTと言われて思いつくのは、自動運転車やフィットネスウェアラブル、スマートホームといったところだが、IoT技術に関連して工業的で非常に実用的な分野でもっともいい活用例がある。ゴミ管理などはその一例だ。

米国では、毎年2億3000万トンのゴミが排出されている。これは、1日で4.6ポンド/人(約2kg)のゴミを出している計算になる。限定されている予算や人口増加により、このゴミ問題は米国に限らず人類が直面している危機の一つだ。特に日本は人口に対してゴミ排出量がダントツで多いことで有名である。

しかし、解決法はある。持続可能性を求めIoTに目を向ける企業は、ゴミ問題を課題であると認識すると同時に、より低コストで効率の高いソリューションを生み出すチャンスでもあると考えている。事実、彼らはすでにセンサー技術の革新によって、かなりの進歩を遂げようとしているのだ。

センサー技術と経路の最適化

IoT企業が活用しているセンサーの1つに、超音波レベル計がある。もともとはスラリーや液体を測定するために設計されたものだが、ある企業や自治体は、固形廃棄物を測定するためのセンサーに応用している。

超音波レベルセンサーは、波の反射を計測することで機能するものだ。ゴミの嵩(かさ)がある程度の高さを超えると、エコロケーションのようなプロセスでセンサーに反応が返ってくる。ゴミ箱内部に取り付けられるゴミ量監視レーダーシステムみたいなものだと考えればいいだろう。

アイルランド ダブリンのソフトウェア企業である SmartBinは、遠隔モニタリングシステムに特化したIoT企業の1つであるが、彼らは超音波レベル計技術を使って、オーストラリアに拠点をおくゴミ回収会社 Corio Waste Managementのゴミ回収頻度を減らすための協力をおこなっている。Corio社の運転手は、6-9マイル毎に置かれているゴミ箱を定期的に回っている。数ヶ月後、Corio社は、ゴミ箱が満杯か空かどうかに関わらずトラックで回収に向かわせていることに、多大な資金面および環境的なリソースを浪費していることに気がついた。

Corio社の回収ルートをより効率的にするため、SmartBinは地域中のゴミ箱の蓋部分にレベル計を設置し、それぞれのゴミ箱がどれだけ入っているのかをモニターするツールを提供した。この情報を使うことで、Corio社は満杯になったゴミ箱だけを確認、回収するルートを計画することができ、時間およびコストの節約につながった。

ゴミ管理のためのコネクテッドシステム

手動によるゴミの満杯率のトラッキングと経路の選択は、時間もお金もかかる作業である。ゴミ箱の内部についてだけでなく他のアクティビティもトラッキングできることから、シカゴに拠点をおくOnePlus Systemsは、ゴミ箱の満杯率から回収ルート、回収履歴までを管理するユニバーサルセンサーとソフトウェアシステムを開発した。

OnePlusのシステムは、ワイヤレスによるマシン間通信(M2M)を使用することにより、これまで運用チーム全体が担っていた役割を一手に担うことが可能である。モニタリングシステムはセンサネットワークと接続し、互いに情報を共有しあうことができる。例を挙げると、ごみ箱が満杯になっているかどうかについてセンサーを使用して検知し、回収が必要になれば回収車を自動的に手配するので、時間とコストの大きな節約につながる。

センサーとM2Mデバイスを使用することにより、OnePlusやSmartBinなどの企業は、世界中のゴミ管理サービスのためのトランジットルート、持続可能性、コストパフォーマンスをより向上させることができているのだ。

IoT技術を活用することで得るものはいいものばかりではないが、マイナス部分に引きずられてはならないと考える。

著者はParkerGaleのパートナーであり、同社は収益性が高い、創業者が所有するソフトウェアやテクノロジを使ったサービスに投資する未公開株式投資会社である。また、彼らの製品の開発や販売、成長戦略についても助力をおこなっている。ParkerGaleは、OnePlus Corpへの投資もおこなっている。

ReadWrite[日本版] 編集部
[原文4]

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