あなたは気付ける? やってしまいがちな「大きな誤解」が生じる小さな間違い表現「8選」

2025年3月28日(金)
宮園 順光(みやぞの よりみつ)
シーズン5の第16回となる今回は、日本人がやってしまいがちな小さな間違いから大きな誤解が生じる表現「8選」を紹介します。

はじめに

英語を話しているときに、自分では正しく言っているつもりでも、相手が何だか不思議そうな顔をしたり、正しく通じていないかもしれないという印象を持ったことはありませんか。

筆者が担当する生徒さんでも、レッスン中に「恐らくこのように言いたいのだろうな」と分かるけれども、実際には違う意味として解釈されてしまう文を話しているときがあります。

今回は「そのように言ったら相手に誤解されてしまう」という英文を見ながら、実際にどのように言えば良いのかを説明して行きます。日本人の英語学習者がよく間違えるような例文も挙げていくので、「あ、私もそう言っているかも」というものがないかも含め確認してみてくださいね。

最初に本来伝えたい内容を日本語で示し、その後に誤解を与える英文を示します。両方を見比べて、皆さん自身で何が間違っているのかを考えてみてください。最後に、本来伝えたい内容を伝えるためにおすすめの英文を示します。

合計8つの表現を取り上げるので、クイズ感覚で楽しみながら読んでみてください。それでは、早速見ていきましょう!

小さな間違い表現 その1:「あなたに許可をもらいたい」

1つ目は、話している相手から「何らかの許可がほしい」と伝える際の表現です。

We'd like you to ask for permission to …

この表現を見て、どのような誤解が生じるか考えてみてください。そう、この表現の場合は「あなたに許可を求めてほしい」という、第三者に許可を求める依頼になってしまいます。

このように“We’d like you to …”と言って「あなたに…してほしい」という文を作ってしまう方がいます。

正しい表現は、

We'd like to ask for your permission to …
となります。“We’d like to …”(youを抜かした形)で「我々が…したい」という意味になります。youを入れるか入れないかで全く意味が異なるので注意しましょう。

小さな間違い表現 その2:「お世話になりました(仕事などで)」

2つ目は、仕事などで手伝ってくれた方にお礼を述べる際の表現です。下記のような文でお礼を言うと不自然に聞こえるので注意しましょう。

Thank you for your care.

この文には文法的な間違いはないのですが、何が不自然に聞こえると思いますか。一番は“care”という単語の選択です。日本人学習者は「気遣う」「手伝う」「世話をする」と言う際に“care”を多く使う傾向にあります。これは恐らく「ケアする」というカタカナ英語が原因だと思います。

このような状況では、下記のような表現が自然に聞こえます。

Thank you for all your support.

実際に手伝ったりして支援してくれたことに対しては“support”を使うと自然になります。“Thank you for your care.”は「病気の看護」などに対するお礼に聞こえる可能性が高いので注意が必要です。

小さな間違い表現 その3:「お手洗いをお借りしてもよろしいですか」

3つ目は「お手洗いを使わせてもらいたい」と伝える際の表現です。

Can I borrow your bathroom?

この表現から、どのような誤解が生じるか分かりますか。日本人は結構言ってしまう人も多いのではないかと思います。

正解は、動詞の“borrow”を選択したところにあります。日本語だと「お手洗いを借りる」となりますが、英語の「借りる」を意味する単語の“borrow”は「一時的に自分の所有物にする」というような意味になります。

例えば「この本を貸して」と言う場合は“Can I borrow this book?”と言います。OKであれば、その本を自分の家に持っていたり、しばらく持っている状態が許されます。これを「お手洗い」で使うと「お手洗いを一時的に自分のものにして良いか」といった感じの質問になるので、不自然に聞こえるのです。

この場合は、下記のように「利用」を意味する“use”を使いましょう。

Can I use your bathroom?

このように、日本語の感覚でそのまま英訳することで誤解が生じるような場合もあるので、注意が必要です。

小さな間違い表現 その4:「気にしません」

4つ目は、何かがあった際に「私は気にしないから大丈夫です」と伝える際の表現です。

I don’t care.

この表現を使った場合、どのような誤解が生じるでしょうか。ここでまた“care”が登場していますが”I don’t care.”は「どうでもよい」や「私は興味がない」という意味になり、冷たい印象を与えてしまいます。むしろ「思いっきり気にしているな」と思わせてしまう可能性が高いと言えます。

何かについて「私は気にしませんよ」と伝える際は、次の表現を使うことがおすすめです。

I don’t mind.

mind”には「心」という意味がありますが、動詞として使うと「気にする」という意味になります。よって、否定文で使うことで「私は気にしません」となります。

また、2つの選択肢の中から「どちらかを選んで」と聞かれたときに「どちらでも気にしないですよ=良いですよ」と言う際は、“Either is fine with me.”と言うこともできます。

小さな間違い表現 その5:「私はワクワクしています」

5つ目は「私はワクワクしている」という感情を表現するものです。下記の表現はどのような誤解を与えるのか考えてみましょう。これは日本人の英語学習者がやってしまう大きな間違いのうちの1つです。

I’m exciting!

どうでしょうか。分かりましたか? これは“exciting”という-ingの形に問題があります。ingを付けることで「そういった印象や感情を与える側」になるため、“I’m exciting”と言えば「私は刺激的な人です」ということになります。

次の文のようにすることで、そのような感情に「させられた」側になります。

I’m excited!

-ingはそのような感情に「する側」、I’m excited!-edは「される側」と覚えておくと良いでしょう。他にも“surprise”(驚く)や“bore”(退屈する)といった単語でも同じことが言えるので、覚えておいてくださいね。

小さな間違い表現 その6:「私に…してほしいですか」

6つ目は、相手がこちらに何かすることを希望するか尋ねる質問です。では、誤解が生じる表現を見てみましょう。

Would you like to …?

丁寧に聞こえる表現ですが、残念ながらポイントはそこではなく「誤解を与えるかどうか」という部分です。どこが問題か分かりますか。答えは、その1の表現でもあったように「誰が」という点にあります。

上記の表現は「あなたは…したいですか?」という意味で、相手が何らかの行動を行いたいか尋ねる質問になります。そうではなく、私に何らかの行動をしてほしいかを尋ねる際は“me”を入れて“Would you like me to …?”と言う必要があります。

Would you like me to ...?

me”があるかないかで、全く異なる意味を持つ質問になるので注意しましょう。

小さな間違い表現 その7:「この人を知っていますか」

7つ目は「…を知っていますか」という表現です。今回は例として「この人」にしていますが、空欄に他の情報を入れることで応用できます。まずは次の文を見て、何がどう違うのか考えてみてください。

Do you know about this person?

この文のポイントは“about”という前置詞です。前置詞が苦手という方も多いのですが、前置詞を間違えたり、その有無で意味がかなり変わることがあります。では「この人を知っていますか」と正確に伝える文を見て、違いを確認してみましょう。

Do you know this person?

この文は「この人を知っていますか」という意味になりますが、1つ目の“about”が入った文は「この人について知っていますか」となります。全然違いますよね。これは“learn”といった単語にも言えることで、“learn”のみの場合は「…を学ぶ・知る」となり、“learn about”にすると「…について学ぶ・知る」という意味になります。

よって、“I know him, but I don’t know about him.”(彼は知っているが、彼については知りません)という文が成立するわけです。

小さな間違い表現 その8:「彼は私に電話しました」

最後は「彼は私に電話しました」という表現です。まず、誤解を与える文を見てみましょう。

He called to me.

この文を見て「私も言っているかも」と思った方も多いのではないでしょうか。実際に“call”の後に“to”を付ける学習者はとても多いです。

しかし“call to”は「(誰かに対して)叫ぶ」という意味に受け止められます。よく「叫ぶ」は“call out”とも言いますが、その場合には「誰に向かって」ということを付けるためにtoを続けます。よって、この文の場合は「彼は私に叫んだ」という意味として伝わる可能性が高いです。

He called me.

このように“to”を抜かした形にすることで「彼は私に電話した」となります。また、同じようなパターンで“contact”があります。“contact to”と言ってしまう方も多いですが“contact him/her”のように“to”は入れないと覚えておきましょう。

おわりに

今回は、ちょっとした小さな間違いで大きな誤解が生じてしまう可能性がある表現を8つ紹介しました。中には、皆さん自身が「言ってたかもしれない」というものもあったのではないでしょうか。今回の表現以外でも、本来伝えたい情報とは異なる情報が伝わってしまう表現は多くあります。

そのような誤解を与える可能性がないかも含め、英語を学習する際には意識してみるようにしましょう!

著者
宮園 順光(みやぞの よりみつ)
株式会社グローレン
株式会社グローレン 取締役。小学校〜高校卒業までをベルギーで過ごす。上智大学を卒業後、大手英会話スクールにて7年間教務主任として多くのクラスを担当。外国人講師の指導にも従事。マンツーマン英会話教室の代表を経て、2014年から現職にて語学プログラムの総監修を務める。これまで1万人以上にレッスンを提供。TOEIC990点、英検1級。

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