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車が「1日4000GBの情報を生み出す」新時代のために我々がすべきこと

2016年9月12日(月)
ReadWrite Japan

スマート技術は、これまでにない心躍るような方法で我々とその周りの環境とを接続すると謳っているが、つまりそれだけコストがかかってしまうということでもある。より多くのデバイスがオンライン化し、クラウドに大量のデータを送信するようになり、クラウド自身もまたそれらを素早く受信、解析し、答えを返せるようになる必要がある。

IntelのCEO ブライアン・クラーザーニッチ氏は、Intel Developer Forum(IDF)のキーノートスピーチで次のように語った。「今日、ここにいる人々が1日に生成するデータ量は、平均で6-700MBだが、2020年までにはこれが1人当たり1.5GBになると予測されている。さらに、平均的な自動運転車が1日に生み出すデータ量は4000GBにもなるだろう。」

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これは大変な量のデータである。実際に、完全な自動運転車に必要とされるすべてのセンサーやカメラが生み出す情報量は、1Gbpsほどになる。長距離レーダーにライダー計測、カメラ、近距離および中距離レーダーに、超音波センサーといったものによって、自動車は周辺360度を死角なく捉えることができる。

言い換えれば、この4PB(ペタバイト)と推定されるデータ量が、自動運転車から生み出されるようになろうとしているということでもある。この数字は、今日の平均的なワイヤレスユーザが167,000年かかってやっと達成できるレベルだ。

この膨大なデータの問題に対してIntelが考えるソリューションは、「車自身がこのデータを処理し実用的な情報に変換する」ことである。だが、これはソリューションの一部に過ぎない。やはり、車が周囲の状況を判断し、最適な経路を選択するとした場合、なんらかの形でクラウドとの通信が必要になってくるのは確実だろう。

交通分析、マッピング、天気情報の更新、企業の住所検索など、クラウドとのコネクションが必要な分野は多く残されている。それだけでなく、自動運転車を製造する企業自身も製品の改良やトラブルシューティングのために車にアクセスする必要がある。これらのデータはすべて、企業にとって手放すわけにはいかない大変貴重なものだ。

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新しい無線規格の登場

現在、大手通信企業のあいだで研究開発が進められている5Gは、2018年に開催される冬季オリンピックの頃には利用可能になると考えられている。しかし、次世代無線技術のための次世代標準規格もまだ定まっていないなか、これは早とちりな推測である。たとえデモンストレーションが成功したとしても、5G接続がほとんどのエリアで使えるようになるまでにはあと数年かかるだろう。

さて、通信企業にとって自身のネットワークを急速に拡大することの利益はあまりない。スマートフォンのデータプランにお金を払うことができても、同じことを自動車に対してもできるだろうか? ビジネスが前に進めるのは「収益化」によってであり、ホワイトハウスが5Gの研究開発のインセンティブのために資金を出したとしても、そのネットワークを構築・運用するための長期的コストは該当企業やその顧客が負担することになるのだ。

自動運転車の時代は必ずやってくる。問題は、そのために必要なワイヤレス・ネットワークがその時代に間に合うか否かである。

ReadWrite[日本版] 編集部
[原文4]

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