ITでは「飲食ビジネス」を変えられない
メディアへの露出上手なIT企業に惑わされ、我々は本質を見失っているのかもしれない。
少し前になるが、飲食店向け予約・顧客台帳サービス「トレタ」を手がけるトレタが総額12億円の資金調達をおこなったことが話題になった。また、タブレット端末やスマートフォンから簡単にPOSレジの操作ができるアプリ「Airレジ」も登録数が24万を超えた。SquareやUSENもPOSレジの展開を始めるなど、参入企業も増え続けている。
上記の企業に加え、ぐるなび、食べログ、LINEなども予約アプリ、シフト管理ツールを提供するようになり、そのサービスの幅を広げた。そのほか、スタートアップ企業もプロダクトを矢継ぎ早にローンチしている。
「業界支援」というお題目
これらのサービスを展開する各社に共通して言えることが1つある。「業界活性に一役買いたい」、「市場を盛り上げたい」など耳障りのいい言葉をメディアを通じて日々発信しているという点だ。
一方、日本フードサービス協会が発表した外食産業や美容市場などの市場推移を見ると、1997年の29兆円から2015年の25兆円まで縮小している。この事実を我々はどう受け止めればよいのだろう?
IT企業たちは、提供するサービスで本当に「業界支援」を果たせたのだろうか。それを評価する重要な視点の1つとして、定量的に測れる「市場成長の有無」についてシビアに見るべきだ。
光をあてるべきはプレイヤー
これらのIT企業は実際に店舗を持っているわけではない。日々自分たちの有しているアイデアや技術の“題材”として、プロダクトを開発し提供しているに過ぎない。メディアもそんな彼らに光を当てる。我々も共に賞賛している。
残念ながら、すでに成熟している国内の飲食市場が大きく再成長をすることの難易度は恐ろしく高いだろう。そんな成熟市場に必要なことは、「健全な競争」と増え過ぎたプレイヤーの「淘汰」だ。そのためにも、優れたサービスや人を有した飲食店そのもの、もしくは飲食店を経営する企業そのものに光を当てるべきだと考えている。
IT企業のツールはあくまでも黒子的存在であり、舞台に立ち光を浴びるべきはプレイヤーの彼らである。
本当に市場に貢献しているサービスなのか? お題目やビジョンなどキレイゴトに惑わされ賞賛していないか? 我々は、自分自身の姿勢も含め、あらためてそれらの真価を見極める必要があるようだ。
ReadWrite[日本版] 編集部
[原文4]
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