OpenSimとは?
OpenSimとは?
OpenSimとはセカンドライフのような3D仮想空間サービスを作成、公開できるBSDライセンスの仮想世界サーバーソフトウェアです。まだ開発途中ですが、その高い完成度とセカンドライフクライアントとの兼用性で、今もっとも注目されている3D仮想世界オープンソースプロジェクトになっています。
OpenSimの目的は決して、セカンドライフのクローンになることではありません。OpenSimは柔軟なモジュールプラグイン機構によって、拡張機能を簡単に追加することができます。セカンドライフのようなサービスだけではなく、こうした拡張モジュールによってさまざまなビジネス目的に沿った3Dインタラクティブアプリケーションを作成することができます。
OpenSimの一番魅力的なところは、誰でもフリーで自分の島あるいは自分の仮想世界サービスを運営できることです。本連載では、OpenSimの使い方や、仮想世界サービスの仕組みについて紹介していきます。
OpenSimの現状
原稿執筆時点(2008年8月)でのOpenSimの最新リリースバージョンは0.5.8です。Subversionのtrunkはセカンドライフのクライアントとの接続性を保ちながら、日々進化しています。開発はまだαバージョンの段階にありますが、セカンドライフのほとんどの機能をすでにサポートするようになりました。図1では、複数クライアントからOpenSimサーバにログインしている様子を示しています。
図1からわかるように、OpenSimには、空、海洋、陸地などの仮想空間要素を表現する機能、建築物などの3Dオブジェクトを表示/作成する機能、時間の変化をシミュレーションする機能、アバター外観の編集やインベントリを操作する機能、複数アバター間のコミュニケーションを実現する機能(チャットやインスタントメッセンジャーなどの文字ベースによるチャット、VOIPによる音声チャット、アニメーションとジェスチャーの実行、所有物の交換)、スクリプトのサポート機能などが備わっています。
OpenSimで作られたセカンドライフのようなサービスはすでに登場しています。ここで、いくつか有名なサービスを紹介します。
- 1つ目がOSGridです。OpenSimのテストサービスであり、開発コミュニティと密な関係を持っています。OSGrid内のSimサーバの多くが個人所有で、常に最新機能を備えたOpenSimを使っています。ユーザ、Simサーバのフリー登録サービスを提供しています。
- 2つ目がOpenlifegridです。これはOpenSimで作られた仮想空間サービスのうち、現在もっともユーザ数が多いサービスです。ユーザ登録はフリーですが、Simを持つには料金がかかります。
- 3つ目がGridPionです。上記2つは英語のサービスですが、GridPionは日本の仮想世界サービスです。もちろんOpenSimを使っています。フリーでユーザ登録、Sim作成ができます。
次はOpenSimの導入について紹介します。