次世代データセンターネットワークのアーキテクチャー

2010年2月16日(火)
小宮 崇博

リソース結合ネットを広域へ拡張

リソース・エリア・ネットワークはレイヤー2ネットワークであり、本質的には局所的なネットワークである。この一方、性能の観点では不利であるものの、災害対策やマイグレーションには広域接続も必要である。

レイヤー2ネットワークを広域接続する技術には、以下のものがある。いずれにせよ、カプセル化/トンネル化することになる。

(1)レイヤー3へのカプセリング
(2)MPLSを使用したトンネリング
(3)PB/PBBを使用したトンネリング

(1)レイヤー3へのカプセリングでは、特にIP(Internet Protocol)を使ったカプセル化を想定している。IPによるカプセル化の標準にはEtherIP(RFC 3378)などがあるが、レイヤー2ベースのフラットなネットワークを効率よく構成するにはベンダー固有の拡張があった方がいい場合もある。

データセンターにはFCやInfiniBandのようなプロトコルもあるので、それぞれのプロトコル・ゲートウエイも必要になる。また、必須というわけではないが、カプセル化にIPを用いる場合、IPルーターの冗長化も重要になる(図3-1)。ここでも、ベンダー固有の技術が生きる。例えば、サーバー仮想化環境を想定する場合、標準のVRRPではなく、BrocadeのVRRP-eを使う方が効率がよい。

(2)MPLS(VLL/VPLS)を使用したトンネリングは、IPの代わりにMPLSを使う。自営のネットワークでなければ構成が難しいが、さまざまなプロトコルの疑似ワイヤーを構成できるので便利である。Brocadeではエントリ製品でもMPLSを利用できるものがあるので、決して高価な技術ではない。

(3)PB/PBB(Provider Bridge/Provider Backbone Bridge)を使用したトンネリングは、データセンター・プロトコルがEthernetで統合されている場合に有効である。プロトコル単位/システム単位にVLANを設定することで構成できる。

将来のデータセンター・ネットワークの構成

ここまで、リソース結合のためのデータセンター・ネットワークの要件と技術について解説してきた。最後に、データセンター・ネットワークの参考構成を示したい(図3-2)。

この構成は、近い将来日本でも普及するCEE(Converged Enhanced Ethernet)ベースのインフラである。図3-2で示した構成とそっくり同じものは、今日現在の技術ではまだ構築できない。というのも、さまざまな要素技術がいまだに標準化の途上にあるからである。

次回は最終回である。次世代データセンター・ネットワークに向けたBrocadeの技術と製品ロードマップを解説する。

ブロケードコミュニケーションズシステムズ
UNIXサーバメーカや運用管理ソフトウェアメーカでSEを勤め、2001年からブロケードに所属。主にFC-SANスイッチのプリセールスに携わり、2008年からは新技術、新製品の開発などの日本での技術サポートを行なう。現在は、ソリューション・マーケティングとして、FC-SANだけではなく、LAN/WANやI/O仮想化なども含めた広範なネットワークソリューションの提供に向け活動をしている。個人的にもストレージエリアネットワーク啓蒙のためのメーリングリストを主催している。
http://groups.yahoo.co.jp/group/san-tech/

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