アジャイル開発を支援する

2010年4月27日(火)
岡崎 義明

アジャイルを支援するHPソフトウエア(1)

「HP Quality Center software」(以下、Quality Center)は、アジャイル開発の課題に対応し、アジャイル開発の品質プロセス管理を支援します。Quality Centerは、要件管理とテスト管理を単一のプラットフォームで実現する統合品質管理ソフトウエアであり、以下のような特長があります。

要件管理とテスト管理を単一のプラットフォームで実現

Quality Centerには、要件管理、テスト計画、テスト実行、不具合管理の各フェーズを支援する機能が含まれています。

これらは従来、ワープロ・ソフトやスプレッド・シート(表計算ソフト)を使って行われてきました。

このため、例えば、ワープロ・ソフトで定義された要件を満たすためのテストが、スプレッド・シートのテスト仕様書にいくつ定義されており、いくつ実行され、いくつ合格しているのかを一目瞭然(りょうぜん)に把握することは、極めて困難でした。

Quality Centerでは、これらを単一のリポジトリに格納し、統合されたプラットフォームで管理するため、要件と、ほかの要件、テスト、不具合との関連を双方向に把握でき、要件の変更による影響分析も素早く行うことができます。これによって、テスト管理が容易になります。

遠隔地の開発者が情報を共有

アジャイル開発では、メンバー間のコミュニケーションが重要です。このため、前述のように同じ場所で作業することが推奨されます。ところが、オフショアやソーシングの進んだ企業で大規模な開発に、このような作業環境を求めることは困難です。

ここで、Webベースのインターフェースを持つQuality Centerを使えば、開発や品質にかかわるメンバーは、物理的なロケーションにかかわらずWebブラウザを通して情報を共有することができます。

ユーザーの品質プロセスに合わせた効率化の実現

Quality Centerでは、独自にフィールドを追加したり、ワーク・フローを設定して自動化したりすることができますので、ユーザーは現在運用している品質プロセスを大きく変えることなく、効率化と可視化を実現することができます。

また、Quality CenterのオープンAPIを使ってさまざまなサード・パーティ製品と連携させることにより、総合的な開発支援/品質支援環境を構築することができます。

アジャイルを支援するHPソフトウエア(2)

さらにQuality Centerは、アジャイル開発プロセスを支援する、以下のような機能を提供しています。

複数タイプの要件を階層的構造で管理

アジャイルでは、ユーザー・ストーリ(実現すべきユーザー機能)は、さらにそれを実現するための細かいタスクに分割されます。特定のサイクル内で実装できるかどうかを判断するために、詳細な見積もり工数を評価します。

Quality Centerの要件管理機能では、独自に複数のタイプの要件を定義することができます。これらの要件は、階層的な構造で管理されますので、例えばユーザー・ストーリとタスクを要件タイプとして定義して、あるユーザー・ストーリの下位にユーザー・ストーリと関連するタスクを定義する、ということができます。

ビジネス・リスクに基づいたテスト戦略策定

前述のように、アジャイル開発では要件の優先付けが非常に重要になります。Quality Centerでは、要件に対して「ビジネスへの影響」、「エラーを含む確率」、「機能的な複雑さ」のファクタからビジネス・リスクを評価して優先付けを行うための支援機能が搭載されています。

この機能により、各サイクルで実現する機能を客観的な判断に基づいて決定することができます。

リリースとサイクルの管理

Quality Centerでは、リリースとサイクルを定義して、これを要件およびテストに割り当てることができます。このため、特定リリースにどの要件が実装されるのか、特定サイクルでどれくらいテストが進んでいるのかを、容易に把握することができます。

さまざまなグラフとExcelレポート

Quality Centerには、さまざまなグラフが組み込まれています。これにより、以下のような項目を容易に理解することができます。

  • 要件を満たすためのテストがどれくらい実施されているか(テストのカバレッジ)
  • サイクルごとに、予定したテストがどれくらい実施されているか
  • サイクルごとに不具合がどれくらい修正されているか

また、Excelレポートを作成するアドイン機能を使えば、カスタマイズしたグラフを作成することもできます。

これで、4回にわたって連載してきた筆者の寄稿は終わりです。読者の皆さんの役に立てたかどうか分かりませんが、お付き合いいただきましてありがとうございました。

プログラマ、SEとして社会人スタートし、いくつかの外資系ソフトウェア会社を経て、2002年からソフトウェアのテストツールを販売するマーキュリー・インタラクティブ社に製品マーケティングとして入社。2007年、ヒューレット・パッカード社による買収にともない、日本HPへ。現在は、HPソフトウェア・ソリューションズ統括本部で、テスト製品のマーケティングを担当。

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