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アジャイルソフトウェア開発

2009年4月23日(木)
上川 伸彦

アジャイルとは

 これまで見てきた開発プロセスは、システムの規模拡大に伴い必要性が認識されたものです。すなわち、システム規模が拡大するにつれて、システム品質や開発進ちょくを制御するのが困難になってきたので、これを解決するために開発プロセスが整備されてきました。言うなれば、これらの開発プロセスは、重厚長大なシステムを開発するための重量級の開発プロセスです。

 1990年代後半に入ると、この状況に変化が現れます。ハードウエアの発達やWebの普及等により、「少数の大きなシステムが存在する」世界から「多数の小さなシステムが存在する」世界にシフトしてきたのです。この変化により、開発するシステムと同様、開発プロジェクトもより小さく、軽量化してきます。そのため、それまでの重量級の開発プロセスにおける非効率な側面がクローズアップされることとなったため、「軽量級」の開発プロセスが提唱されるようになりました。

 そして、2000年代に入ると、これら軽量級の開発プロセスのエッセンスを集め、「アジャイルソフトウエア開発宣言」が発表されました。それ以降、この「アジャイルソフトウエア開発宣言」に基づいた開発手法や開発プロセス、考え方を総称して「アジャイル」と呼ぶようになりました。ですので、「アジャイルソフトウエア開発」というのは、1つの開発手法や開発プロセスを指す言葉ではなく、また、厳密に定義されて使われている言葉でもありません(図1)。なお、アジャイル(agile)という言葉自体は、「俊敏な」「機敏な」という意味を持っています。

アジャイルソフトウエア開発宣言

 アジャイルソフトウエア開発宣言では、4つの価値と12の原則を示しています。

4つの価値(http://www.agilemanifesto.org/

・プロセスやツールよりも、個人と相互作用
・包括的なドキュメントよりも、動作するソフトウエア
・契約交渉よりも、顧客との協調
・計画の順守よりも、変化への対応

 各項目において、前者にも価値はあるが、後者の価値をより重視する。

12の原則(http://www.agilemanifesto.org/principles.html

・最も重要なのは、顧客満足。初期段階から継続的に、価値あるソフトウエアをリリースすること。
・終盤での要求変更も受け入れること。アジャイルプロセスは顧客の競争力を高めるためのもの。
・数週間~数か月の単位で頻繁にリリースすること。リリース間隔は短い方が良い。
・プロジェクト中、毎日、顧客と開発者が一緒に働くこと。
・やる気を重視して開発チームを構成すること。顧客も開発チームの仕事遂行を信じサポートすること。
・開発チーム内の情報伝達は、会話が一番。
・最も重要な進ちょく尺度は、動くソフトウエア。
・アジャイルプロセスは、継続的な開発を促進する。顧客や開発者は一定のペースを保てる。
・技術や設計をレベルアップさせる意識が、より俊敏(アジャイル)さを高める。
・「手作業を行わないための工夫」が重要。
・自律的なメンバーが協調して動くチームの方が、パフォーマンスが高い。
・定期的な「ふり返り」により、開発チームのパフォーマンスをより高めるようにすること。

 現在、いろいろな局面で「アジャイル」という言葉が使われていますが、この言葉の根本の考え方には、この「アジャイルソフトウエア開発宣言」があると考えて良いでしょう。

株式会社ビーブレイクシステムズ
(株)ビーブレイクシステムズ技術担当取締役。RDB製品の開発、各種業界団体におけるXML/EDI標準の策定やSOA基盤の設計等に従事。最近は、業務システムの構築に携わることが多く、お客様からの無理難題と向き合う日々を送っている。http://www.bbreak.co.jp/

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