要件を管理する

2010年4月13日(火)
岡崎 義明
アプリケーション開発を成功に導くには

アプリケーション開発を成功に導くには

みなさん、こんにちは。日本ヒューレット・パッカード(以下、HP)の岡崎です。前回は、アプリケーション・ライフサイクル管理(ALM)の側面から、HPのBTOソフトウエアの概要を紹介しました。今回は、ぐっとフォーカスを絞って「要件管理」について解説します。

アプリケーション開発においては、さまざまな阻害要因が絡み合って、プロジェクトが予定通りの納期とコスト、品質で完了することを妨害します。これらの要因/要素は、プロジェクトの規模によっても違いますし、ソフトウエアのタイプによっても異なります。このため、「アプリケーション開発を成功に導く」ために必要な要素を特定するのは、困難かも知れません。

しかし、対象をビジネス・アプリケーションに限定すると、話は見えやすくなります。いくつかのデータが、アプリケーション開発を成功に導くための要素を、描き出してくれています。まずは、ここの話を今回のスタート・ポイントにしましょう。

少し古いデータで恐縮ですが、NIST(National Institute of Science and Technology:米国国立標準技術研修所)が、1994年から10年間にわたるITプロジェクトの成功率を調査しました。アプリケーション開発の分野では10年間にわたってさまざまなテクノロジや開発手法が生み出されましたが、この調査結果によると、「成功した」と考えられるITプロジェクトの割合は、ほとんど変わっていないことが分かります(図1)。

なぜ要件を管理するのか

では、何がプロジェクトが成功するためのカギであると考えられているのでしょうか。同じNISTの調査では、以下のような結果がでています。

  • 経営陣のサポート(18%)
  • ユーザーの取り込み(16%)
  • 経験豊富なプロジェクト・マネージャ(14%)
  • 明確なビジネス目標(12%)
  • スコープを最小限に抑えたこと(10%)
  • 標準のソフトウエアインフラストラクチャ(8%)
  • 基本的な要件が確固としていること(6%)
  • 信頼できる見積もり(5%)

ここで注目していただきたいのは、以下の4つの項目は、すべてエンドユーザーないしはビジネスに関係しているという点です。
 

  • 経営陣のサポート(18%)
  • ユーザーの取り込み(16%)
  • 明確なビジネス目標(12%)
  • 基本的な要件が確固としていること(6%)

このデータを見る限り、ユーザーやビジネスをしっかりと把握することが、ITプロジェクトを成功に導く重要なポイントとなっているようです。

ユーザーやビジネスのニーズは、ビジネス要件としてアプリケーション開発に反映されますので、要件(特にユーザー要件)を明確に理解することが、ユーザーやビジネスをしっかりと把握することにつながります。

次ページからは、ユーザー要件を明確に理解して管理するための方法について解説します。

プログラマ、SEとして社会人スタートし、いくつかの外資系ソフトウェア会社を経て、2002年からソフトウェアのテストツールを販売するマーキュリー・インタラクティブ社に製品マーケティングとして入社。2007年、ヒューレット・パッカード社による買収にともない、日本HPへ。現在は、HPソフトウェア・ソリューションズ統括本部で、テスト製品のマーケティングを担当。

連載バックナンバー

Think ITメルマガ会員登録受付中

Think ITでは、技術情報が詰まったメールマガジン「Think IT Weekly」の配信サービスを提供しています。メルマガ会員登録を済ませれば、メルマガだけでなく、さまざまな限定特典を入手できるようになります。

Think ITメルマガ会員のサービス内容を見る

他にもこの記事が読まれています