Elastic Stackで作るBI環境 誰でもできるデータ分析入門 1

Elastic Stackって何?

【誰でも簡単にログ分析!OSSのBIツールElastic Stack解説書!】 株式会社インプレスR&Dより発行された「Elastic Stackで作るBI環境 誰でもできるデータ分析入門」の立ち読みコーナー第1回です。

石井 葵

2018年5月7日 10:00

ある日、イチゴメロンパンを売っている会社で働くもふもふちゃんは、上司の人からいきなりこんなことを言われました。

「もふもふちゃん、最近いちごメロンパンの通販を受け付けるWebサイトの調子が悪いんだ。サーバーのスペックを上げた方が良いのかわからないから、1週間分のCPU使用率やメモリの使用率とかが知りたいな。あと、できればWebサーバーのApacheプロセスがどのくらい動いているか分かるといいよね。」

 CPU使用率やメモリの使用率はLinuxコマンドで調べることができますが、過去の履歴を閲覧するためには各使用率を調べるコマンドの結果をテキストに出力し、それを全て調べる必要があります。

 …数日後、もふもふちゃんは1週間分のCPU使用率・メモリ使用率などを出し、なんとかExcelでグラフを作成することができました。ファイルの読みすぎで頭はくらくら、目はチカチカします。結果を上司に提出すると、OKをもらえたので安心して立ち去ろうとしました。すると、今度はこんな頼まれごとをされてしまいました。

「もふもふちゃん、そういえば最近はTwitterの拡散力は大きいみたいだね。うちのTwitter広報はちゃんと仕事したのか知りたいなあ」

 詳しく聞くと、会社のTwitterアカウントで発言した内容と日時を知りたいようです。

「そんなー!Twitterの履歴を追いかけて時刻とかを記録するなんて無茶だよ!もう徹夜したくないよー!」

 もふもふちゃんはすっかり困り果ててしまいました。

 最近はサービスの売り上げを伸ばすためであったり、自分の作った作品を宣伝するためにはインターネット上に溢れる情報や、自前のWebサイトへのアクセス履歴を分析する場面が多くなっています。その理由もアクセスしてくるユーザーに対してダイレクトなマーケティング戦略を練るためであったり、アクセス数の推移を研究することでより買ってもらえる商品を生み出すためなど様々です。

 しかし、ログの履歴をただ追いかけるのは相当苦労します。ログ内の必要な情報を分析するだけであればまだ良いですが、もふもふちゃんのようにグラフなどで可視化する場合、ログの「見える化」作業がどうしても発生します。

「必要なログだけ収集して、ログの出力時刻とかで好きにグラフを作れたら楽チンなのにな…」

 ……実はできるんです。そう、Elastic Stackがあれば!

 Elastic StackはオランダのElastic社が提供しているツールです。日本ではElastic Stackの1つであるElasticsearchが検索エンジンとして有名ですが、Elastic Stackを組み合わせるとBIツールとして使うことができます。ここでの「BIツール」とは、企業や世の中にある色々な情報を集めて可視化し、分析することを支援するツールです。

 このElastic StackはOSSとして提供されており、そのコードはGitHub上で管理されています。日本でもElasticsearch以外のツールが使われる場面が増えてきてはいるものの、まだまだ情報が少ないのが現状です。

 しかし、Elastic Stackは一度設定が完了すればログの収集・可視化を自動で行うため、リアルタイムに情報分析ができるようになります。今のもふもふちゃんにはぴったりです。

「ちょっとこのElastic Stackってやつ、自分の環境に入れてみようかな」

 みなさんも、もふもふちゃんと一緒に快適なログ解析を始めてみませんか?今まではデバッグするとき以外ゴミ同然に扱われていたログファイルを、Elastic Stackの力で宝の山に変えることができるかもしれません。

おことわり

 この本で取り扱っている各ツールのバージョンはElasticsearch、Logstash、Kibana共に「5.4」を使用しています。Elastic Stackはバージョンアップがとても早いツールです。バージョンによって挙動がかなり違うため、別バージョンを使用した場合とコンフィグファイルの書き方や操作方法が異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

 なお、この本はログの分析方法をメインに扱う本です。そのため検索エンジンとしてのElasticsearchのスキーマ設計など、性能チューニング系のトピックは詳しく取り上げません。

 今回使用した環境はAmazon Linuxとなります。環境構築の章以外の操作コマンドはAmazon Linuxに準拠したものとなります。

 この本の情報はElastic社の公式ドキュメント・検証結果を元に作成していますが、本の情報を用いた開発・制作・運用に対して発生した全ての結果に対して責任は負いません。必ずご自身の環境でよく検証してから導入をお願いします。

Elastic社の公式URL
https://www.elastic.co/guide/index.html

表記関係について

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