第2回：現場のプロが「これ、推薦します！」 (3/3)

技術書は自分の目で確かめてから買え！

「最近はディレクトリサービスを調べるために『LDAP -設定・管理・プログラミング-』や『Active Directoryで構築する安全で管理しやすいネットワーク』が大変参考になりました。『LDAP -設定・管理・プログラミング-』はLDAP初心者にもよくわかる解説本でお勧めです。

またこういう仕事では、自社で取り扱う製品以外であっても、企業システムで主流となっている製品についての情報は必須です。『Active Directoryで構築する安全で管理しやすいネットワーク』のような製品に特化した書籍についても一通り読んでポイントを押さえています」

1年間で10数万円は技術書に費やすという高木氏。買って失敗してしまった本はないのだろうか。

「買ったけど、結局ほとんど読まないという本もたくさんあります。必要な個所がほんの一部しかない、とか。失敗か成功かは半々くらいかもしれないですね」と高木氏。決して安くはない技術書、選ぶのに失敗しないコツはあるのだろうか。

「友人とは技術書についての情報交換もよくしています。やはり、読んだ人が勧めるものは間違いが少ないですね。例えば『Mac OS X System Administration Reference Volume 1』。昨年大変お世話になった1冊です。この本のおかげで製品に国内向けの機能追加ができました。トレーナーをやっている友人に紹介されて読んだものですが、大変参考になりました。

あと心がけているのは、『必ず現物を見てから買う』ということです。現物を手に取り自分の知らない分野について書かれた章を読んでみてください。説明に納得できればその本は役立つ可能性が高いですし、よくわからなければ自分にあわないということでしょう。インターネット上の書評情報なども読みますが、それはあくまで参考ですね。

もともと本屋が好きなのでよく立ち寄るのですが、技術本のコーナーは必ずチェックします。情報が少ない技術についての書籍などを見かけたら迷わず買いますね。後で探したら絶版になっていた、なんてことは技術書にはよくあることですから。しょっちゅう開く本でなくても、お客様からピンポイントで尋ねられた時の対策用として重宝します」

ネットはキーワード、書籍は体系的知識

最近では、Webサイトなどでも技術情報を手に入れられるが、高木氏が書籍にこだわるのはなぜだろうか。

「Webサイトは検索すればすぐに該当する情報がでてきますが、どうしてもそのキーワードの情報しか手に入らない気がします。例えばどうしてこのコマンドがあるのかといった設計者の意図や、ここでこの制御方式を選択する理由といったことまで、体系的に理解するには複数の書籍を横断的に読む必要があると思います」

高木氏の最近興味がある分野はセキュリティ監査だ。自分の製品に直接関わりがあるわけではないが、お客様が今一番気にして対策を練っている部分だからだそう。お客様のニーズや問題に対しては常に敏感に反応し、対応策を考えるフットワークの軽さは現場仕込みならでは。もちろんすでに関連書籍は読破している。

購入した書籍は古くなっても捨てられないという高木氏。ボロボロになるまで読み込んできた書籍は彼の戦友ともいえる特別な存在なのだろう。

さて次回3月15日公開の「土日に買って勉強したい『ネットワーク』本」第3回では、新企画「めざせ合格！過去問への挑戦！」をお届けする。資格試験の過去の良問を取り上げ解説するので、期待して欲しい。 タイトルへ戻る