エンジニアの本棚から 第1回

エンジニアが「本当に役に立った」技術書を紹介【Linux編】

第1回の今回は、Linuxの基礎からカーネルの仕組みまでを学べる「本当に役に立った」技術書5冊をおすすめポイントとともに紹介します。

鯨井 貴博(くじらい たかひろ)

6:30

はじめに

こんにちは! LiON(LinuC Open Network)コミュニティの鯨井 貴博です。今回から「エンジニアが本当に役に立った技術書紹介」と題して、テーマに沿った技術書を紹介していきます。

第1回のテーマは、Linux。最初のバージョンである0.01のリリースから今年で35周年を迎えたOS(Operating System)です。開発者であるLinus Torvalds氏が1991年にフィンランドのヘルシンキ大学の学生だった時に開発し、インターネット上に公開されました。現在では、サーバにとどまらず、スーパーコンピュータ・組み込み系(IoTや家電)・スマートホン(Android)やスマートウォッチ・オートモティブ(車両)など多くの場面で利用されています。

Linuxという言葉を聞いたことがある方は多いと思いますが、「どんなOSなの?」という質問に対して明確に回答するのは容易ではありません。今回は、そんな風に感じている技術者がLinuxを理解するための書籍を5冊紹介します。

【おすすめ書籍①】「入門モダンLinux」

著者:Michael Hausenblas
訳者:武内 覚、大岩 尚宏
紹介者:Sagara
URL: https://www.oreilly.co.jp/books/9784814400218/


「入門 モダンLinux」は、手元の仮想環境でLinuxに触れたり、いわゆる「初めの1冊目」にあたる書籍で学習を行い、Linuxの基本操作にある程度慣れてきて「次に何を学べばよいのだろう」と感じ始めた初学者におすすめしたい1冊です。

この書籍はシェルやファイルシステム、パーミッションといった基本事項だけでなく、Linuxカーネル、ネットワーク、systemd、コンテナ、可観測性、仮想化、セキュリティなど、Linuxを取り巻く幅広い分野をコンパクトに扱っています。さまざまな技術を1冊で横断的に学べるため、それぞれが何のために使われ、Linux全体の中でどのように関わっているのかをつかみやすいことが特徴です。

また、各分野を深堀りするために調べるとよいリンクなども都度紹介されているので、知らなかった技術や用語に出会い、さらに詳しく学ぶための入口となってくれると思います。

【おすすめ書籍②】「Linuxコマンド200本ノック―基礎知識と頻出コマンドを無理なく記憶に焼きつけよう!」

著者:ひらまつ しょうたろう
紹介者:藤田 勇斗
URL:https://gihyo.jp/book/2023/978-4-297-13425-9

初級資格(LinuCレベル1など)を取得された方の復習や、これからチャレンジする初学者の方にぜひおすすめしたい1冊です。


【本書のおすすめポイント】

  • 基礎からていねいに解説
    いきなりコマンドの話から入るのではなく、カーネルやディストリビューションなどのLinuxの基本概念や専門用語を噛み砕いて説明しているため、初学者でも安心して読み進められます。
  • 語源や由来がわかるから定着する
    lsコマンドの-r⁠ や ⁠-f⁠ などのうろ覚えになりがちなオプションも含め、コマンドの語源や由来から解説しているので、丸暗記に頼らず理解できます。
  • スキマ時間の学習・復習に最適
    全体を通して親しみやすく優しい文章で書かれているので、寝る前のちょっとした復習やパラパラ読みにもぴったりです。

 「資格は取ったけれど、実務や次のステップに向けて知識を自分のものにしたい」「Linuxのコマンドを勉強しているけどなかなか覚えられない」という方に、自信を持っておすすめできる1冊です。

【おすすめ書籍③】「ITエンジニア1年生のための まんがでわかるLinux ○○編」

著者:Piro
紹介者:宗髭
URL: https://bookplus.nikkei.com/atcl/catalog/22/04/08/00047/
https://bookplus.nikkei.com/atcl/catalog/22/06/07/00218/
https://bookplus.nikkei.com/atcl/catalog/22/09/05/00353/


Linuxの学習を始めたばかりの学生や新社会人にとって、真っ黒な画面へのコマンド入力は少しとっつきにくく感じるかもしれません。そんな方に向けて、漫画と詳しい解説で直感的に理解を深められる「ITエンジニア1年生のための まんがでわかるLinux」シリーズ(日経BP)3冊をおすすめします。

  • コマンド&シェルスクリプト基礎編
    基本コマンドやファイル操作の仕組み、初歩のスクリプト作成を網羅しています。漫画のストーリーに沿って視覚的に理解できるため、CUIへの苦手意識を払拭する最初の1冊に最適です。
  • シェルスクリプト応用&ネットワーク操作編
    条件分岐や繰り返し処理といった制御構文と、SSH接続やネットワーク確認コマンドを解説しています。実務で欠かせないリモート接続やトラブル調査の土台を固める段階に役立ちます。
  • シェルスクリプト&コマンド効率アップ編
    パイプやリダイレクト、テキスト処理や履歴活用など、作業を素早くこなす実践ノウハウに特化しています。日常の定型作業を自動化し、一歩進んだ効率化を目指す方におすすめです。

基礎の定着から応用、現場での省力化まで無理なくステップアップできる構成となっています。

【おすすめ書籍④】「はじめてのLinux(Software Design for Beginners2)」

著者:青田 直大、くつなりょうすけ、佐野 裕、武内 覚、鶴長 鎮一、中島 雅弘、水野 源、宮原 徹
紹介者:鯨井 貴博
URL:https://gihyo.jp/book/2026/978-4-297-15755-5


この書籍の良いところは、“Linux初心者がつまずかない構成”となっていることです。初心者が苦労する点として「Linuxのインストール方法が分らない」「インストールした後に何をどのようにすればいいか分からない」というものがあります。特に第1章は、先輩社員(上司)と新入社員による対話形式でLinux環境の構築や操作ができるようになっており、LinuxについてOJTのように学べて読みやすいのが特徴です。

第2章では、プロセス管理・パーミッション・ディレクトリ構造とファイルシステム・パッケージ管理について理解し、他者へ技術的内容を説明できるようになることをテーマとして書かれています。

第3章ではその知識を前提に、LVMやRAID環境の構築・プロセス管理やパーミッションの応用操作・ネットワーク設定管理について書かれており、中級者以上へのステップとして最適な1冊になっています。

【おすすめ書籍⑤】「動かしながらゼロから学ぶ Linuxカーネルの教科書」

著者:末安 泰三
紹介者:鯨井 貴博
URL:https://info.nikkeibp.co.jp/media/LIN/atcl/books/070900046/


LinuxというOperating System(Linuxディストリビューション)の核の部分であるLinuxカーネルが持つ機能とその仕組みを解説した書籍です。

私自身の経験を振り返ってもそうでしたが、Ubuntu(Debian系)やAlmaLinux(RPM系)などのディストリビューションをインストールしても、特に意識をすることなくLinuxカーネルは構成されます。この書籍では、Linuxカーネルのタスク(プロセス)管理・メモリー(物理/仮想)管理・デバイス管理・ファイルシステム・モジュール管理などについて、イラストやコマンド操作(操作例)を用いて書かれており初めてカーネルを学ぶエンジニアにも読みやすいのが特徴です。

また、仕組みの理解はLinuxカーネルソースコードの構成理解にもつながるので、Linuxカーネル開発の第一歩としても良いのではないかと思います。Linuxカーネルのビルド方法も紹介されているので、標準的なディストリビューションのインストールでは有効化されない機能の検証/利用や開発中の新機能のテスト、いち早く最新のLinuxカーネルを利用するケースなどにも活用できます。

おわりに

今回はLinuxをテーマにおすすめ書籍を5冊紹介しました。これからLinuxを学ぼうとしている方や理解を深めたいと思っている方の学習に役立てればうれしい限りです。ぜひ、書店で手に取って読んでみてください。

次回は、ネットワークに関する技術書を紹介する予定です。また、「紹介できる書籍がある」「このジャンルの書籍を紹介して欲しい」という思いをお持ちの技術者の方がおられましたら、こちらからLiONコミュニティ(Slack上のチャンネル #25_おすすめ書籍紹介)へご参加ください。お待ちしております!

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