非ウォーターフォール・モデル
ウォーターフォール・モデルとの違い
ウォーターフォール・モデルと非ウォーターフォール・モデル(プロトタイプ・モデルやスパイラル・モデル)との違いを下記のようにまとめてみました(図3)。これらの内容からもわかる通り、非ウォーターフォール・モデルは、反ウォーターフォール・モデルという訳ではなく、ウォーターフォールの拡張版ととらえて良いかと思います。
・開発単位の大きさ
ウォーターフォール・モデルは、システム全体を一気に作るため、開発単位は「システム全体」となります。これに起因するウォーターフォール・モデルのデメリットの影響が大きくなってきたため、非ウォーターフォール・モデルでは、機能の深さや機能ごと(サブシステムごと)のように、開発単位を小さくする方向で改良されています。
・上流工程の位置付け、開発の進め方
ウォーターフォール・モデルは、上流工程で「すべてを見通す」というものでした。これは、上流工程をきちんと行えばすべてを見通すことができる、という前提に基づいています。この点が「現実的ではない」というゆえんにもなっているので、非ウォーターフォール・モデルでは、上流工程における要件の考慮漏れに、ある程度、柔軟に対応できるような進め方になっています。
また、ウォーターフォール・モデルの各工程は、一発勝負です。通常、工程をやり直すことはありません。しかし、現実問題としては、要件や仕様の変更、ドキュメントの不備等の影響により、実質的には工程をやり直すのと同じ位の大きな手戻りが発生し、プロジェクトがデスマーチ化することも少なくありません。ウォーターフォール・モデルでは、そのような手戻りがあまり考慮されていないのに対し、非ウォーターフォール・モデルでは、ある程度の手戻りを開発プロセスに明示的に織り込まれていると言って良いでしょう。
こぼれ話
ここでは、スパイラル・モデルでの良くある落とし穴として、私が携わったPJでの話を披露したいと思います。皆さまも十分注意してください。
・「画面を見ないとわからないなぁ」
設計書レビューの段階での、ユーザー側担当者のお言葉。その開発PJは、ウォーターフォールで開発を進めていたが、急きょ、画面モックを作り、プロトタイプ的に進めることになった。数日後、画面モックのレビューを行ったら「んー、ある程度動かないと。画面だけではわからないなぁ」と……。
プロトタイプにせよスパイラルにせよ、エンドユーザーに「ドキュメントよりは完成品に近い何か」を確認してもらいます。ドキュメントよりは確認しやすいとは言え、しょせんは試作品。通常は、完成品から機能ドロップされているので、イメージがわかないケースもあります。
事前に、試作する範囲や試作品で確認するポイントを明確にエンドユーザーと認識を合わせておくのはもちろんのこと、エンドユーザーのやる気を引き出すのも非常に重要なのです。「やる気のある人はドキュメントでも確認できる、やる気のない人は完成品でも確認できない」ということですね。
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