第3回:JBoss Enterprise Application Platformのアーキテクチャを理解する (2/3)

JBoss Enterprise Application Platformの全貌
JBoss Enterprise Application Platformの全貌

第3回:JBoss Enterprise Application Platformのアーキテクチャを理解する

著者:レッドハット  三木 雄平   2007/8/28
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JBoss EAPのアーキテクチャ

   ここでJBoss EAPのアーキテクチャについて簡単に解説します。JBoss EAPではJMXに準拠した管理機能と、サービスの開始および停止といった必要最低限の機能だけを備えたマイクロカーネルと呼ばれるアーキテクチャを採用しています。

   JMXはJCP(Java Community Process)によって規定されている標準規格で、Javaシステムにおける監視と管理を実現するための仕様が定義されています。JMXの仕様に沿ってMBean(Managed Bean)と呼ばれる監視および管理されるシステム上のコンポーネントインターフェースを実装することによって、MBeanサーバと呼ばれるリポジトリおよび外部インターフェースをつかさどるサーバ機能に登録することができます。

   クライアントからのアクセスはこのMBeanサーバを経由することで、一元的に管理することができるため、管理性が非常に高くなります。JBoss EAPではこのJMXの仕様に則り、Java EEで規定されているようなサーブレットやEJB、JMSといった機能をMBeanとして実装することで、必要に応じて登録、削除を自由にできるように設計されています。同時にユーザが作成した、サービスをJava EEの機能と同等レベルのサービスとしてJBossマイクロカーネルに登録し、管理することも可能です。
JBossマイクロカーネル
図1:JBossマイクロカーネル

   これにより、以下のようなメリットがあります。

疎結合
MBean同士のやり取りがMBeanサーバを経由して行われる
管理性
すべてのコンポーネントをJMXで監視及び管理できるため管理性が向上
シンプル
オープンな仕様をベースに実装されているため理解しやすい
カスタマイズ性
コンポーネントの削除、追加が統一された設定方法によって可能。また新たなコンポーネントを作成し追加することも可能

表5:JBossマイクロカーネルのメリット


JBossマイクロカーネルと起動ロジック

   このマイクロカーネルアーキテクチャを踏まえてJBoss EAPの起動ロジックについて解説します。JBoss EAPが起動する際、起動スクリプトから最初にorg.jboss.Mainクラスのmainメソッドが呼ばれます。このmainメソッドからJBoss EAPがインスタンス化され、ブートストラップ処理が実行されます。

   このブートストラップ処理の中で「MainDeployer」と呼ばれるデプロイサービスによって「<INSTALL_DIR>/server/<サーバ名>/conf/jboss-service.xml」を読み込み、規定されているサービスをデプロイします。なお、サーバ名は起動スクリプトの-cオプションで指定された値になります。

   このjboss-service.xmlはJBossマイクロカーネルに最初にロードされるべきログ管理や、セキュリティなどのサービスとあわせて「URL Deployment Scanner」と呼ばれるホットデプロイを実行するためのサービスが記載されています。このURL Deployment Scannerはデフォルトでは「<サーバ名>/deploy」ディレクトリ以下をスキャンするように設定されており、deployディレクトリ以下に配置されたJ2EE 1.4で定義されているサービスやクラスタリングサービスをデプロイしていきます。

   またプロジェクトで作成したwarファイルやearファイルといったアプリケーションも、このdeployディレクトリの直下に配置するだけで自動的にJBoss EAPにデプロイされることになります。

JBoss EAPの起動とアーキテクチャ
図2:JBoss EAPの起動とアーキテクチャ
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   確認のため、すでにインストールされているdefault/conf/jboss-service.xmlを見てみましょう。これはURL Deployment Scannerはjboss-service.xmlの最下層のブロックに記載されており、下記のコメントが目印になります。

<!-- ============================================================== -->
<!-- Deployment Scanning                                            -->
<!-- ============================================================== -->

   設定を確認すると、defaultの設定では5秒ごとにdeployディレクトリがスキャンされ、新しいアプリケーションや更新されたサービスがあれば再デプロイされるように設定されていることがわかります。


(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

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レッドハット株式会社 三木 雄平
著者プロフィール
レッドハット株式会社  三木 雄平
JBossグループ ソリューション・アーキテクト
株式会社SRAを経て、2002年に日本BEAシステムズ入社。カスタマーサポートチームにて、アプリケーションサーバおよびJava VM(JRockit)のサポートを担当。その後、プリセールスチームにてSIP Servlet関連の製品に携わる。2007年よりレッドハット JBossグループにてプリセールスを担当。
音楽(聴く&演奏)大好き。最近はJazzyなベースとリズムに魅了されてます。


INDEX
第3回:JBoss Enterprise Application Platformのアーキテクチャを理解する
  はじめに
JBoss EAPのアーキテクチャ
  JBoss EAPのディレクトリ構成の変更と注意点
JBoss Enterprise Application Platformの全貌
第1回 Red Hatが提供するJBoss Enterprise Middlewareとは
第2回 JBoss Enterprise Application Platformを操作する
第3回 JBoss Enterprise Application Platformのアーキテクチャを理解する
第4回 JBoss Web - Tomcatエボリューション
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