後編:オープンソースサポートサービス、SOA/ESB、Web 2.0、仮想化、情報セキュリティ (2/3)

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後編:オープンソースサポートサービス、SOA/ESB、Web 2.0、仮想化、情報セキュリティ

著者:ThinkIT編集局   2007/1/5
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Web 2.0
エンタープライズの領域へ進出するWeb 2.0

   2006年はWeb 2.0が大流行した年といっても過言ではない。すでにITに携わらない人にも知れ渡っている言葉であり、Web 2.0の代表的な企業であるGoogleやAmazon、mixiを知らない人少ない。

   では、Web 2.0とは何であるのか。技術的に答えるのであれば、Ajax、SNS、RSS/ATOMといえるが、それは本質ではない。Web 2.0はWebの進化であり、新しいトレンドである。提案者であるティム・オ・ライリーは、「ユーザによる情報の整理」「リッチな体験」としている。

   具体的には、先のGoogleやAmazon、mixiのほかにもWikipediaやFlickrなどもあげられる。これらの企業・団体で共通していえることは、単に情報を受けるだけではなく、自ら発信していくことにある。提供側からみれば、消費者の情報をコントロールできるという手段として注目が高いのだ。

   Yahoo!やMSNといった既存の大手サービスを展開している企業においても、消費者の情報を収集する手段を段階的に投入してきている。Web 2.0のあり方は非常に効果があることを示しているといっても過言ではない。

   2006年を振り返れば、各社が消費者の情報を収集してきた。しかし、収集するだけでは意味がないといえる。その収集した情報を活用してこそ、企業ははじめて価値を生み出すことになるだろう。

   2007年では、この収集した情報を分析・最適化をしてくるはずだ。そして、消費者に情報が返ってくる。

   そうした意味では、Webの進化はこれからだといえる。Web 1.0の時代とは違い、各個人が所有するコンピュータの処理能力は段違いにあがっており、これから企業はこの収集した情報から、様々な形を用いて消費者に情報を発信していくことだろう。また、Windows Vistaの影響力は高い。例えばガジェットのサービスは、まったくの新しい情報提供の形を与えてくれるのかもしれない。
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仮想化
仮想化技術の可能性を見出した2006年

   2006年のIT業界にあがった課題の1つが「統合化」である。この統合化という言葉には業務はもちろんのこと、ITシステムそのものにも求められた。今のITシステムは非常に煩雑であり、すでに管理方法を生み出さなければならないほどだ。その煩雑なITシステムを解消する技術として、注目を集めたのが「仮想化」である。

   最近になってよく耳にするキーワードだが、そもそも仮想化技術は10数年前から存在していた。汎用機やUNIXではLPAR(ロジカル・パーティショニング)と呼ばれる技術の基、仮想化技術は盛んに使われていたのだ。

   では何故、仮想化は影に隠れていたのだろうか。それは、オープン系の流行りによるものである。当初のオープン系システムは汎用機やUNIX程の可用性もパフォーマンスもなく、それ1台で完結したシステムであったからである。しかし、ITの進化とともにオープン系システムも汎用機やUNIX程の可用性とパフォーマンスを実現できるようになり、仮想化技術を使うに相当するようになったのだ。

   しかし、企業内にはハイパフォーマンスなオープン系システムが氾濫してしまい、大量のリソースを無駄に消費する状況を生み出してしまった。そこで、仮想化技術なのだ。ハイパフォーマンスなオープン系システムのリソースを無駄なく使うことで、コストを下げると共に、管理を一元化し、統合化を果たそうということである。

   仮想化ソフトウェアの代表的なのは「VMware」とオープンソースの「Xen」である。2006年度では導入事例もいくつかあがってきており、仮想化技術の流行の兆しはかなり見通しがよい。

   しかし、仮想化の本番はこれからである。仮想化はソフトウェアだけで考えてはならないからだ。IntelやAMDが仮想化技術に対応したCPUの出荷をはじめたことは、非常に大きいインパクトを与えた。ハードウェアの対応はソフトウェアに非常に大きな影響を与えるからだ。

   また、ハードウェアを柔軟に交換できるブレードサーバと仮想化の相性は非常に良い。これからブレードサーバの導入が増えてくることを考えると、仮想化ソフトウェアの導入も同様にして増えていくことだろう。

   かといって、すべての仮想化技術のすべての準備が整ったとはいいがたい。ハードウェアの対応がより進化することは確実に見えることであり、状況は激しく変化していくであろう。またソフトウェアについては、パフォーマンスのみではなく、管理面についての要求も厳しくもとめられることになる。2007年ではこれらの対応を求められることになる。

   最後に、忘れてはならないことが1つある。仮想化はリソースを分けるだけではないのだ。リソースを統合することも仮想化である。これを見極められれば、仮想化の真の姿が見えてくるはずだ。

   2007年、仮想は進化を増すだろう。


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